市中肺炎と院内肺炎の違いとは?両者の具体的な定義と原因となる代表的な病原体の種類
前回の記事で書いたように、感染症としての肺炎は、細菌やウイルスや真菌といった病原体の違いや典型的となる肺炎の症状の違いといった観点からは、
大きく分けて、定型肺炎と非定型肺炎と呼ばれる二つのグループへと分類されることになるのですが、
その一方で、
こうした肺炎と呼ばれる疾患は、肺炎を発症した人物が置かれている実際の生活状況といった観点からは、市中肺炎と院内肺炎と呼ばれる二つのグループへと分類されることになると考えられることになります。
それでは、
こうした市中肺炎と院内肺炎と呼ばれる二つの肺炎のグループは、それぞれ具体的にどのような特徴を持った肺炎のグループとして定義されることになり、
両者のグループには、それぞれどのような肺炎の原因となる代表的な病原体の種類が分類されていくことになると考えられることになるのでしょうか?
市中肺炎と院内肺炎の具体的な定義とは?
まず、
こうした市中肺炎と院内肺炎という二つの言葉は、それぞれ具体的にどのような意味を持つ言葉として定義されるのか?ということについてですが、それについては、
前者の市中肺炎(しちゅうはいえん)は、市中すなわち街の中で日常的な社会生活を営んでいる人が突然発症する肺炎のことを意味する言葉として定義されることになるのに対して、
後者の院内肺炎(いんないはいえん)は、すでに何らかの病気などによって医療施設に入院している人がそうした入院中に新たに発症する肺炎のことを意味する言葉として定義されることになります。
また、
市中肺炎のうちには、在宅療養中や通院中の患者が入院へと至る前に発症した肺炎なども含まれることになるので、
こうした市中肺炎と呼ばれる言葉は、ほぼ健康な状態で日常生活を営んでいる人だけが感染する肺炎のあり方のことを意味する言葉であるとまでは言えないのですが、
そうは言っても、
院内肺炎に感染することになる入院中の患者よりは、そうした市中肺炎に感染する在宅療養中や通院中の患者の方が、肺炎に罹患する前の病状は比較的軽い状態にあったとは考えられることになるので、
そういった意味では、一般的に言って、
市中肺炎と比べて、院内肺炎に分類される肺炎の方が、免疫力が低下している状態にかかりやすい肺炎の種類として位置づけられることになると考えられることになるのです。
市中肺炎と院内肺炎の原因となる代表的な病原体の種類とは?
それでは、
こうした市中肺炎と院内肺炎と呼ばれる肺炎の原因となる代表的な病原体の種類としては、具体的にどのような細菌やウイルスの種類が挙げられることになるのか?ということについてですが、
それについては、まず、
前者の市中肺炎を引き起こす代表的な病原体の種類としては、
肺炎球菌が最も多く、そのほかにも、インフルエンザ菌やマイコプラズマ、レジオネラ菌やクラミジアといった細菌、さらには、アデノウイルスやインフルエンザウイルスやコロナウイルスなどの呼吸系疾患を引き起こすウイルスの種類などが挙げられることになります。
そして、それに対して、
後者の院内肺炎を引き起こす代表的な病原体の種類としては、
黄色ブドウ球菌や緑膿菌といった細菌や、サイトメガロウイルスなどの弱毒性のウイルス、あるいは、アスペルギルスやカンジダやかつてはカリニ原虫という名で呼ばれていたニューモシスチス・イロベチイといったカビの仲間にあたる真菌の種族といった
主に免疫力が低下している人にだけ感染する日和見感染症の原因となる病原体の種類が数多く挙げられることになると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:市中肺炎の四大病原菌とそれぞれの肺炎の具体的な症状の特徴とは?肺炎球菌とインフルエンザ菌とマイコプラズマとクラミジア
前回記事:定型肺炎と非定型肺炎の違いとは?両者の症状の具体的な特徴と原因となる代表的な病原菌の種類
「医学」のカテゴリーへ