定型肺炎と非定型肺炎の違いとは?両者の症状の具体的な特徴と原因となる代表的な病原菌の種類
前回の記事で書いたように、肺炎の原因となる病原体としては、最も代表的な細菌の種類として挙げられる肺炎球菌のほかにも、それと非常に似通った名前を持つ肺炎桿菌といった細菌の種類も挙げられることになるのですが、
こうした人体の外部からの何らかの病原体の感染によって引き起こされる感染症としての肺炎のあり方は、大きく分けて、
定型肺炎と非定型肺炎と呼ばれる二つのグループへと分類されていくことになります。
それでは、こうした
定型肺炎と非定型肺炎と呼ばれる二つの肺炎の病態のあり方には、具体的にどのような特徴の違いがあり、両者の肺炎の原因となる代表的な病原体の種類としては具体的にどのようなものが挙げられることになると考えられることになるのでしょうか?
定型肺炎の具体的な特徴と定型肺炎の原因となる代表的な病原菌の種類
まず、
こうした定型肺炎と非定型肺炎と呼ばれる二つの肺炎の分類のあり方のうちの前者である定型肺炎は、別名では細菌性肺炎とも呼ばれるように、
それは、一言でいうと、細胞壁を備えた球菌(球形の細菌)や桿菌(細長い棒状の細菌)といった一般的な細菌を原因とした肺の急性炎症のことを意味する言葉であり、
そうした細胞壁を備えた一般的な細菌の感染によって、高熱や痰を伴う湿った咳といった典型的な肺炎の症状を引き起こされるために、こうした定型肺炎という言葉が用いられていると考えられることになります。
そして、
こうした定型肺炎の原因となる代表的な病原菌の種類としては、
前回取り上げた肺炎球菌や肺炎桿菌といった細菌の種類のほかに、インフルエンザ菌(インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスとは無関係)や、黄色ブドウ球菌や緑膿菌、
あるいは、大腸菌やモラクセラといった人間の粘膜や上気道などに存在する常在菌の種類も挙げられることになるのです。
不定型肺炎の具体的な特徴と不定型肺炎の原因となる代表的な病原体の種類
そして、それに対して、
後者の不定型肺炎とは、一言でいうと、前述した定型肺炎の原因となるような一般的な細菌に分類することができない病原体によって引き起こされる肺の急性炎症のことを意味する言葉であり、
こうした不定型肺炎と呼ばれる肺炎の具体的な症状としては、必ずしも高熱が出るとは限らず、痰を伴わない乾いた咳が長期間にわたって続くといった症状の傾向が見られるといった点が挙げられることになります。
そして、
こうした不定型肺炎の原因となる代表的な病原体の種類としては、
まずは、
細胞壁を一切持たない超小型の細菌であるマイコプラズマや、細胞壁自体はあるものの、そうした細菌の細胞壁に特有の構造であるペプチドグリカンの層を形成しない特殊な細菌であるクラミジア(クラミドフィラ)、あるいは、細胞内寄生菌の一種であるレジオネラ菌といった特殊な細菌の種族が挙げられることになります。
そして、
アデノウイルスやインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスといった様々なウイルスによって引き起こされるウイルス性肺炎、
あるいは、
ニューモシスチス肺炎やクリプトコッカス症やアスペルギルス症といった真菌すなわちカビや酵母の仲間によって引き起こされる肺炎などもこうした非定型肺炎に分類されることなるほか、
さらには、
2002年に中国で流行したSARSコロナウイルスによって引き起こされた重症急性呼吸器症候群(SARS、サーズ) や、
2012年にサウジアラビアなどの中東地域で流行したMERSコロナウイルスによって引き起こされた中東呼吸器症候群(MERS、マース)といった重症のウイルス性の呼吸系疾患なども、
広い意味においては、こうした不定型肺炎と呼ばれる肺炎のグループの内に含まれることになると考えられることになるのです。
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以上のように、
こうした定型肺炎と非定型肺炎と呼ばれる二つの肺炎のグループのそれぞれにおける具体的な特徴の違いとしては、
前者の定型肺炎は、細胞壁を備えた球菌や桿菌といった一般的な細菌の感染が原因となる高熱や痰を伴う湿った咳といった典型的な肺炎の症状を引き起こす肺炎のグループとして位置づけられることになり、
こうした定型肺炎の原因となる代表的な病原菌の種類としては、肺炎球菌や肺炎桿菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、モラクセラといった細菌の名が挙げられることになるのに対して、
後者の不定型肺炎は、一般的な細菌とは構造の異なる特殊な細菌やウイルスあるいは真菌などが原因となる痰を伴わない乾いた咳が長期間にわたって続くといった症状を引き起こす肺炎のグループとして位置づけられることになり、
こうした不定型肺炎の原因となる代表的な病原菌の種類としては、マイコプラズマやクラミジア(クラミドフィラ)、レジオネラ菌といった特殊な細菌の種族が挙げられることになるほか、
アデノウイルスやインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルス、ニューモシスチス、クリプトコッカス、アスペルギルス、SARSウイルスやMERSウイルスといった病原体の名が挙げられることになるのです。
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次回記事:市中肺炎と院内肺炎の違いとは?両者の具体的な定義と原因となる代表的な病原体の種類
前回記事:肺炎球菌と肺炎桿菌の違いとは?人体に対する強毒性と弱毒性の違いとグラム陽性の球菌とグラム陰性の桿菌としての特徴の違い
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