UFOとユングの集合的無意識との関係とは?シンクロニシティ(共時性)による複数の人物の同時的なUFOの目撃体験の説明
前回の記事で書いたように、超常現象としてのUFOの正体を地球外生命体が乗った宇宙船といった何らかの物理的な存在のうちに求める地球外仮説(ETH)に代わる有力な仮説理論としては、
その正体を心理的な錯覚や幻覚あるいは自分自身の心の内奥を映し出す神秘体験といった精神的な存在のうちに求める心理社会的仮説(PSH)が挙げられることになります。
そして、こうしたUFOに関する心理社会的仮説(PSH)は、20世紀を代表する心理学者であるユングの分析心理学の理論のうちにそのルーツとなる考え方を見いだしていくことができると考えられることになります。
UFOの存在とユングの心理学における集合的無意識と元型イメージとの関係
前回も書いたように、心理社会的仮説(PSH)においては、超常現象としてのUFOの存在は、人間自身の精神の内奥に存在するある種の普遍的なイメージが外界へと投影されることによって生じる心理現象として捉えられることにあるのですが、
ユングの心理学においては、そうしたUFOのイメージの出所となる心の場所は、個人の心における無意識の領域よりもさらに深い階層に位置する集合的無意識と呼ばれる心の領域のうちに求められることになります。
集合的無意識とは、一言でいうと、人間の無意識の最深層に存在する全人類に共通する普遍的な意識や心の構造のことを意味する概念として定義されることになり、
その内部には、元型と呼ばれる個人の経験を超越した神話や宗教的イメージへと通じるような普遍的な観念の存在が見いだされることになるのですが、
こうしたユングの心理学における集合的無意識の概念に基づくと、超常現象としてのUFOの存在は、そうした人間の心の集合的無意識の階層に存在する元型イメージが外界に投影されることによって生み出された姿として捉えることができると考えられることになるのです。
シンクロニシティ(共時性)による複数の人物の同時的なUFOの目撃体験の説明
また、
UFOの目撃情報においては、複数の人が同時に目撃することによってその目撃証言の確度が高まり、個人の見間違えや錯覚などでは説明がつかないケースがありますが、
こうしたケースについても、ユングの心理学におけるシンクロニシティ(共時性)と呼ばれる概念によって、合理的な説明がつくとも考えられることになります。
シンクロニシティ(共時性)とは、一言いうと、物理的な空間を介した通常の因果関係を超えて働く複数の出来事や複数の人間の心同士の間に成立する非因果的連関のあり方のことを意味する概念として定義されることになり、
具体的には、
夢の中にきれいな色をしたコガネムシが出てきてふと目を覚ますと、窓の外に夢で見たのとまったく同じ姿をしたコガネムシが止まっていたといった現象や、
数年間にわたって疎遠になっていた友人のことを何の前触れもなく、ふと思い出して電話をかけてみたら、ちょうど同じ瞬間に相手の友人もこちらのことを思い出して電子メールを送ったところだったといった体験などが
そうしたシンクロニシティ(共時性)と呼ばれる現象の具体例として挙げられることになります。
そして、そういった意味では、
こうした複数の人間に共有されるUFOの目撃体験のあり方は、ユングの心理学とそれに基づく心理社会的仮説(PSH)の観点からは、
集合的無意識の階層に存在するある特定の元型イメージが、シンクロニシティと呼ばれる現象を通じて、複数の人間の意識のうちで共有される形で同時多発的に外界へと投影されたものがそうしたUFOの姿の正体として捉えることができると考えられることになるのです。
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次回記事:多次元仮説および多元宇宙論に基づくUFOの存在の解明、地球外仮説と心理社会的仮説の矛盾点を克服する第三の仮説
前回記事:UFOに関する地球外仮説(ETH)と心理社会的仮説(PSH)の違いとは?自分の心の内奥を映す神秘体験としてのUFOの正体
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