フライドポテトは英語でなんていうの?ドイツ語やフランス語では?
ファーストフード店やファミレス、カラオケ店などのメニューを見ていると、
フライドポテトやポテトフライ、フレンチフライなど、
スティック状にしたじゃが芋をサクッと揚げた、あのお馴染みの食品については、いろいろな言葉で表記されていますよね。
基本的には、どの呼び方も、英語を元にした表記のはずですが、
いったいどの表現が正しいのでしょうか?
フライドポテトってじゃが芋の丸揚げにもなっちゃうの?
フライドポテトやポテトフライという表現は、和製英語なので、英語圏では、基本的には正しく伝わりません。
フライドポテト(Fried potato)という表現自体は英語にもあることはあるのですが、
フライにしたポテトという、その名の通り、
油で揚げたじゃが芋料理すべてを指す表現になってしまいます。
ポテトチップスや、
ハッシュドポテト(みじん切りにしたじゃが芋を小判状にして焼いたもの)、
さらには、じゃが芋を一個丸ごと丸揚げにしてしまうような料理まで、
すべて、フライドポテトということになってしまいます。
「フライドポテトを一つ」と注文して、じゃが芋を一個丸ごと揚げたような料理が出てきてしまったら、ちょっとビックリしてしまいますよね。
さすがに、じゃが芋をそのまま丸揚げにしただけという豪快な料理は、見かけたことはありませんが、
実際、ラテンアメリカ発祥の料理で、
パパ・レジェーナ(Papa rellena、「Papa」は「じゃが芋」、「rellena」は「いっぱいに詰め込んだ」という意味です。)という、
すりつぶしたジャガイモをおにぎり大に大きく丸めたものの中に、肉などの具材を詰め込んで丸ごと油で揚げる料理はあります。
じゃが芋は南米が原産ということもあり、じゃが芋のホクホクした食感を生かした、
見た目は、コロッケやカレーパンに似た感じの料理ですが、
こうした料理も、アメリカでは、しっかりフライドポテト(Fried potato)に分類されています。
フレンチフライズとチップスはアメリカとイギリスの違いなの?
それでは、スティック状に揚げたじゃが芋、
すなわち、日本で言うところのいわゆるフライドポテトは、
英語で正しくはなんと言うのか?ということですが、
アメリカ英語では、フレンチフライズ(French fries)
または、フレンチフライドポテイトウズ(French-fried potatoes)
イギリス英語では、単に、チップス(chips)
という言い方になります。
何で、アメリカ英語で、フレンチフライズ、
つまり、フランス式の揚げ物、と呼ばれるようになったのかについては、細かく分けると諸説あるようですが、
結局、この料理法(つまり、じゃが芋をスティック状にしてから揚げるという料理法)の発祥地がベルギーであり、
ベルギーは、人口の半分くらいの人がフランス語話者で(残り半分はオランダ語話者です)、
国としても、歴史上長い間、政治的にも文化的にもフランスの強い影響下にあったので、
アメリカ人から見ると、大きく言ってしまえば、いわばフランスの方から来た食べ物だろう、ということで、「フレンチフライズ」という呼び方になってしまったようです。
そして、イギリス英語のチップスの方ですが、
チップス(chips)という表現は、
イギリス英語ではスティック状に揚げたじゃが芋、いわゆるフライドポテトを意味しますが、
アメリカ英語ではポテトチップス(potato chips)のことを意味します。
日本人からすると、アメリカ英語の意味の方が普通の感覚ですね。
では、イギリスではポテトチップスのことは何と言うのかというと、
こちらはクリスプス(crisps、カリカリに焼いた、という意味)と言います。
う~ん。なかなか込み入った、英語圏の複雑なジャガイモ事情ですね。
フライドポテトはヨーロッパではなんていうの?
さらに、英語圏以外での表現についても見ていくと、
日本で言ういわゆる※フライドポテトは、
※「いわゆるフライドポテト」と、ちょっとしつこいようですが、
毎回「いわゆる」を頭につけて呼んでいるのは、
「フライドポテト」という表現が和製英語で、英語圏では正しく伝わらないことを強調するためですので、悪しからず。
この料理法の発祥地とされる本場ベルギーでは、フリッツ(Frietjes)
フランスでは、ポム・フリット(pommes frites)または、単に、フリット(frites)
と言われています。
「pommes」は「じゃが芋」、「frites」は「揚げた」という意味です。
ちなみに、フランス語では語尾の「-es」の発音は省略されて発音されないので、
「pommes」の発音はフランス語では「ポム」になります。
ドイツでも、いわゆるフライドポテトのことは、
フランス語の表現をそのまま借用してポム・フリット(pommes frites)
と正式には言うのですが、
実際にお店で注文するときなどは、メニュー上の表記としては「pommes frites」のままで、前半の「pommes」の部分だけドイツ語読みにして、「ポメス」と呼ばれることも多いようです。
日本でも、注文の時に、メニューの表記通りに、フライドポテトやポテトフライといちいち全部いわなくても、
「ハンバーガーと、あとポテトも一つ」と言えば、フライドポテトのことだとお店の人には伝わるのと同じ感覚ですね。
まとめ
外国語が多く出てきて、少し話が込み入ってしまいましたが、
ここで、それぞれの表現についてまとめておくと、
以下のようになります。
・フライドポテトやポテトフライという表現は、和製英語なので、英語圏では、正しく伝わりません。
・スティック状に揚げたじゃが芋、日本で言ういわゆるフライドポテトのことは、
アメリカ英語では、フレンチフライズ(French fries)
または、フレンチフライドポテイトウズ(French-fried potatoes)
イギリス英語では、チップス(chips)
発祥地の本場ベルギーでは、フリッツ(Frietjes)
フランスでは、ポム・フリット(pommes frites)
または、フリット(frites)
ドイツでも、ポム・フリット
または、ポメス(表記としては共にpommes fritesのまま)
と言います。
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