フロイトの心理学におけるリビドーの定義とは何か?あらゆる生命活動の原動力となる根源的な性的欲動としての心的エネルギーの概念、リビドーとは何か?②

前回書いたように、フロイトの心理学などにおいて登場するリビドーと呼ばれる心理学上の概念の直接的な語源となったラテン語におけるリビドー(libidoという言葉は、

その大本となる意味においては、美や愛を強く求めて続けていく人間における欲望や情愛のあり方のことを意味する言葉であったと考えられることになります。

そして、

こうしたラテン語におけるリビドーという言葉の大本となる意味に基づいたうで、そこに以下で述べるような二つの意味が新たに加えられていくことによって、

心理学上の概念としてのリビドーの概念が確立されていくことになっていったと考えられることになります。

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あらゆる生物の生命活動の根本に存在する種族保存の本能を満たす根源的な性的欲動としてのリビドーの定義

詳しくは前回の記事で書いたように、ラテン語におけるリビドー(libidoという言葉は、その言葉自体の一般的な意味においては、

人間の生活のなかで生じる様々な欲望や願望情愛や情欲といった心のあり方全般のことを意味する言葉であると考えられることになるのですが、

フロイトはまず、こうしたラテン語でリビドーと呼ばれる人間の心における欲望や情動の働きの源泉には、ある種の性的な性質を持った力が存在すると考え、

特に、そうした人間におけるあらゆる生命活動の根源に存在する性的な欲動の力のことを指して、こうしたリビドーと呼ばれる言葉を心理学的な概念として用いていくことになります。

人間を含むあらゆる生物の生命活動の根本には、自らの生命を保持しようとすると同時に、自らが属する種族としての生命の持続を図るための性的な本能が生得的に備わっていると考えられることになりますが、

つまり、

フロイトは、そうした人間における生物としての種族保存の本能としての性本能を満たすような人間の心の奥底に存在する根源的な性的欲動のあり方のことを指して、

こうした心理学上の概念としてのリビドーという概念を用いるようになっていったと考えられることになるのです。

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量的な概念としてのリビドーの定義と鬱積した心的エネルギーの暴走によってもたらされる神経症や心身症の仕組み

そして、

こうしたフロイトの心理学における心理学上の概念としてのリビドーの定義におけるもう一つの主要な特徴としては、

こうしたリビドーと呼ばれる人間の心の奥底に存在する根源的な性的欲動のあり方が、物理学的なエネルギーに類するようなある種の量的な概念として捉えられているという点が挙げられることになると考えられることになります。

フロイトの心理学においては、それぞれの個人において、こうしたリビドーと呼ばれる心的エネルギー全体量はある程度一定の水準を保っていくことになるとされたうえで、

例えば、

その心的エネルギーが向かう行き先が自分自身の内面へと向かう場合には、それは、自己愛(ナルシズム)へと至る自我リビドーとなり、

そのエネルギーが自分以外の他者という外的な存在へと向かう場合には、それは、対象リビドーと呼ばれるリビドーのあり方として区分されていくことになるのですが、

こうした個人におけるリビドーの総量が一定である以上、自己愛へと向かう自我リビドーの量が増えれば増えるほど、それに伴って、自らの外へと広がっていく対象リビドーの量は減少していき、

それとは反対に、自らの外へと向かう対象リビドーの量が増えれば増えるほど、それに伴って、自己の内面へと向かう心的エネルギーの量は減っていくことになると説明されていくことになります。

また、

トラウマなどの強い心理的ストレスなどが加えられることによって、そうしたリビドーのエネルギーが本来向かっていくべき行き場を失って自らの心の内にとどまったまま鬱積していってしまうような状態になると、

そうした通常の行き先を失ったリビドーのエネルギーが自分自身の心の内部で暴走することによって、神経症や心身症といった心理的な原因によって引き起こされる様々な心身の機能障害などが引き起こされてしまうことになるとも考えられることになるのです。

・・・

以上のように、

フロイトの心理学におけるリビドーの定義においては、

本来、生活のなかで生じる様々な欲望や願望情愛や情欲のあり方全般のことを意味する言葉であったラテン語におけるリビドー(libidoという言葉が、

人間におけるあらゆる生命活動と精神活動の原動力となる根源的な性的欲動としての心的なエネルギーという量的な概念として新たに捉え直されていくことによって、

心理学上の概念としてのリビドーの定義が確立されていくことになっていったと考えられることになるのです。

・・・

次回記事:リビドーと無意識とエス(イド)の違いとは?階層と機能とエネルギーという三つの観点から捉えられたフロイトの心理学における潜在意識のあり方、リビドーとは何か?③

前回記事:リビドーとは何か?①ラテン語の原義におけるリビドーという言葉の意味とローマ神話における美と愛の女神リベンティーナ

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