リボソームとリソソームの違いとは?細胞内の破壊者としてのリソソームと創造者としてのリボソーム

人間を含むあらゆる動物と植物の体を構成している細胞の内部に存在する細胞小器官のなかには、

リボソームリソソームと呼ばれる互いに非常に似通った名前をした細胞小器官が挙げられることになりますが、

この両者は、細胞内においては、互いに正反対と言ってもいいほどの対照的な機能と役割を担っていると考えられることになります。

今回は、こうしたリボソームリソソームと呼ばれる細胞小器官それぞれの具体的な特徴の違いについて、

両者の語源となる言葉自体の意味と細胞内における具体的な機能と役割のあり方といった観点から詳しく考えていきたいと思います。

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リボソームの語源と遺伝情報の解読者と生産者としてリボソームの働き

まず、

こうしたリボソームとリソソームと呼ばれる二つの細胞小器官のうち、

はじめに挙げたリボソーム(ribosomeとは、

英語におけるリボ(ribo-という接頭辞と、ソーム(-someという接尾辞が結びついてできた言葉であると考えられることになります。

このうちの前者にあたるリボ(riboとは、

DNA(デオキシリボ核酸)と同様に細胞の遺伝情報を担う物質の一種であるRNA(リボ核酸)の構成物質であるリボース(riboseと呼ばれる五炭糖(炭素原子が5個含まれる構造をした単糖類)のことを意味する言葉であり、

それに対して、

後者にあたるソーム(someとは、

もともとは、古代ギリシア語やラテン語において生物学的な意味における体、すなわち、「~体(たい)」のことを意味する言葉として用いられていたソーマ(somaという言葉に起源をもつ言葉であると考えられることになります。

そして、

こうしたリボソームと呼ばれる細胞内部の構造体においては、リボソームRNAと呼ばれるRNA(リボ核酸)物質が含まれていて、

リボソームは、細胞核の内部に存在する染色体上のDNAからメッセンジャーRNA(伝令RNAmRNAを介して伝えられた細胞の遺伝子情報を、こうしたリボソームRNArRNAと呼ばれる部位を用いて読み取ることができると考えられることになるのですが、

こうしたリボソームと呼ばれる細胞小器官は、リボソームRNAを通じて読み取られた遺伝情報に基づいてアミノ酸の結合を行うことによって、細胞体を形づくる材料となるタンパク質などの物質の合成を行う機能と役割を担っていると考えられることになるのです。

リソソームの語源と分解者と破壊者としてリソソームの働き

それに対して、リソソーム(lysosomeという言葉の方は、

英語において「分解」を意味する接頭辞であるlysis-(リシス)と、前述したように生物学における「~体」のことを意味する接尾辞である-some(ソーム)が結びついてできた言葉であり、

こうしたリソソームと呼ばれる細胞小器官においては、その内部に含まれている加水分解酵素を用いることによって、細胞外から取り入れられた物質などの細胞内消化が行われ、物質の分解が進められていくことになると考えられることになります。

また、

リソソームは、細胞が障害を受けた際には崩壊して、自分の内部にあった分解酵素をすべて放出してしまうことによって細胞自身をも消化してしまうという自己融解作用も持っていて、

そういう意味では、リソソームは、細胞外から取り入れた外部の物質だけではなく、自分の細胞自体をも溶かして破壊していしまうことによって細胞に破壊的な死をもたらすネクローシス(壊死)の原因となる細胞小器官ともなっていると考えられることになるのです。

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細胞内の創造者としてのリボソームと破壊者としてリソソーム

以上のように、

リボソームリソソームと呼ばれる二つの細胞小器官のそれぞれの名称の語源と、細胞内における具体的な機能の違いのあり方についてまとめると、

リボソーム(ribosomeは、遺伝物質の一種であるRNA(リボ核酸)の構成物質であるリボースのことを意味するリボ(riboと、生物学における「~体」のことを意味するソーム(someが結びついてできた言葉であり、

リボソームRNAによって読み取った遺伝情報に基づいて細胞体を形づくる材料となるタンパク質などの物質の合成と生産を行う機能と役割を持った細胞器官であるのに対して、

リソソーム(lysosomeは、「分解」を意味するリシス(lysisと、生物学における「~体」のことを意味するソーム(someが結びついてできた言葉であり、

細胞外から取り入れた様々な物質の細胞内消化や、細胞が障害を受けた際に自己崩壊して細胞自身をも消化してしまうという自己融解作用も持った細胞内外の様々な物質の分解と破壊を行う機能と役割を持った細胞器官であると考えられることになります。

つまり、そういう意味では、

リボソームが、それだけでは無機質なデータの集まりに過ぎないDNAとRNAに基づく遺伝情報を読み取ることによって、細胞に対してタンパク質によって構成される実体と形を与えるという、言わば、細胞内における生産者または創造者のような存在であるのに対して、

リソソームは、外から入ってきた他の細胞体のタンパク質などを分解する役割を担うと共に、さらにその最期には、自らの細胞体をも分解してしまうことによって、細胞自身の死をもたらすという分解者または破壊者のような存在であるとも捉えられることになるという点において、

リボソームリソソームと呼ばれる二つの細胞小器官は、互いに似通った名称を持ちながら、

クリエーター(創造者)デストロイヤー(破壊者)という互いに似て非なる働きをもった細胞小器官であると考えられることになるのです。

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次回記事:アポトーシスとは何か?①ギリシア語の語源と生物学的な七つの特徴

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