小胞体とは何か?粗面小胞体と滑面小胞体の違いとは?
以前に「細胞小器官とは何か?」の記事で書いたように、
一般的な動物や植物などの真核生物を構成している細胞の内部には、特定の役割を担うために機能的に分化した組織化された構造体である様々な種類の細胞小器官が存在していて、
こうした細胞小器官の代表的な種類としては、ミトコンドリアやゴルジ体、小胞体、リソソーム、中心体といった五つの細胞小器官の名前が挙げられることになるのですが、
このうち、小胞体と呼ばれる細胞小器官は、さらに、粗面小胞体と滑面小胞体と呼ばれる二つの種類へと分類されることになります。
それでは、
こうした粗面小胞体と滑面小胞体と呼ばれる細胞小器官とは、それぞれ具体的にどのような構造と機能を持った細胞小器官であると考えられることになるのでしょうか?
粗面小胞体の具体的な機能と構造と膜表面におけるリボソームの働き
動物や植物などの真核生物の細胞を構成している細胞小器官の一つである小胞体(しょうほうたい)は、
細胞内において物質の合成と輸送の役割を担う働きを持ったへん平な袋状の膜構造が幾重にも折り重なった構造をした細胞小器官であり、
冒頭でも述べたように、こうした小胞体と呼ばれる細胞小器官は、さらに、
粗面小胞体(そめんしょうほうたい)と滑面小胞体(かつめんしょうほうたい)と呼ばれる二つの種類の細胞小器官へと分類されることになると考えられることになります。
そして、
このうちの前者である粗面小胞体は、その名の通り、膜構造の表面に多数の釘や鋲(びょう)が打たれたようなゴツゴツした形状をしていて、
そうした粗面小胞体の膜の表面にみられるゴツゴツした部分の一つ一つは、リボソーム(ribosome)と呼ばれる粒子状の複雑な形状をした構造体を形成しているのですが、
こうしたリボソームと呼ばれる構造体は、
細胞核の内部に存在する染色体上のDNAからメッセンジャーRNA(伝令RNA、mRNA)を介して伝えられた遺伝子情報を読み取り、その情報に基づいてアミノ酸の結合を行うことによって、
細胞体を形づくる材料となるタンパク質の合成を行う機能を持った構造体であると考えられることになります。
つまり、
粗面小胞体は、こうした自らの膜構造の表面に存在するリボソームと呼ばれる構造体を用いるによって、タンパク質の合成を行い、さらに、それをゴルジ体などの他の細胞小器官へと輸送する働きを担うという、
細胞体を形づくる材料となるタンパク質の合成と輸送という細胞の内部において最も重要な基幹的な働きの一つを担っている細胞小器官であると考えられることになるのです。
滑面小胞体の具体的な構造と粗面小胞体との細胞内における役割の違い
それに対して、
はじめに挙げた二つの小胞体の内の後者である滑面小胞体には、粗面小胞体に見られるようなリボソームといった構造体は存在しないので、
膜構造の表面に粗面小胞体におけるようなゴツゴツした粒状の構造は見られず、滑面小胞体の膜構造の表面はツルツルしたなめらかな形状をしていると考えられることになります。
そして、
こうした滑面小胞体と呼ばれる細胞小器官には、前述したように、細胞の遺伝情報を読み取るために必要なリボソームが存在しないので、粗面小胞体のように細胞体を構成する主材料となる複雑で多様な種類が存在するタンパク質の合成を行うことはできないのですが、
その代わりに、
滑面小胞体においては、中性脂肪、コレステロール、ステロイドホルモンといった細胞の生命活動に関わるその他の様々な物質の合成が行われていくことになると考えられることになるのです。
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以上のように、
細胞内において物質の合成と輸送の役割を担うへん平な袋状の膜構造を持った細胞小器官である小胞体は、
さらに、粗面小胞体と滑面小胞体と呼ばれる二つの種類の細胞小器官へと分類されることになると考えられることになります。
そして、
こうした粗面小胞体と滑面小胞体と呼ばれる細胞小器官の細胞内における具体的な機能や構造の違いとしては、
①粗面小胞体の膜構造の表面にはゴツゴツした粒状の構造体が見られるのに対して、滑面小胞体の膜構造の表面はツルツルしたなめらかな形状をしている。
②粗面小胞体には細胞の遺伝情報を読み取る機能を持った構造体であるリボソームが存在するのに対して、滑面小胞体にはリボソームが存在しない。
③粗面小胞体はリボソームを用いることによってタンパク質の合成を行う機能と役割を担っているのに対して、滑面小胞体は中性脂肪・コレステロール・ステロイドホルモンといった物質の合成を行う機能と役割を担っている。
といった全部で三つの主要な特徴の違いを挙げることができると考えられることになるのです。
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次回記事:リボソームとリソソームの違いとは?細胞内の破壊者としてのリソソームと創造者としてのリボソーム
前回記事:植物細胞にのみ存在する二つの細胞小器官とは?液胞と葉緑体の具体的な機能や構造のあり方
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