鏡もちにはどんな意味があるの?なぜ丸いの?なぜ2段重ねるの?
お正月には、神棚や床の間に、年神様(としがみさま)に供える鏡もちを飾るのが、
日本古来の風習でした。
最近では、鏡もちセットという、
プラスチックのケースに入った鏡もちが市販されています。
プラスチック製の容器の中に、
個別に包装された小型のもちが2段に重ねられて入っていて、
みかんや扇や水引などの縁起物がついているものもあります。
たくさんの種類の鏡もちセットが販売されているということは、
それを飾ってすませる家庭がだんだんと増えてきている、ということなのでしょう。
さて、鏡もちには、どんな意味があるのでしょうか?
また、どうして鏡もちっていうのでしょうか?
今回は、鏡もちについて、いろいろ調べてみました。
お正月に鏡もちを飾るのにはどんな意味があるの?
鏡もちは、年神様(毎年、お正月に各家庭にやってくる神様)への供え物です。
年神様(歳神様とも書きます。地方によっては、恵方神、大歳神、とんど、としどん、などとも呼ばれます)は、穀物神ですから、
年の始めに供え物をすると同時に、
その年の豊作を祈念するという意味がありました。
また、年神様は、私たちに生命力を与えてくださる神様であり、
各家々の祖霊(家を守ってくれる祖先の霊)でもある、といわれています。
したがって、鏡もちには、
今年1年間の健康と幸せを願う気持ちが込められている、といえるでしょう。
新年を迎えるにあたって鏡もちを飾る、という風習は、
垂仁天皇(すいにんてんのう)の時代のお話に由来する、といわれていますが、
なにしろ、紀元前(BC29年~)のお話ですから、
史実性からいうと、分からない、というしかありません。
鏡もちを神前へ捧げるという儀式は、奈良時代にはすでにおこなわれていたようです。
それが一般に普及したのは、室町時代以降といわれています。
伊勢神宮では、今でも、古式にしたがって、お正月に鏡もちをお供えしています。
鏡もちはなぜ丸いの?なぜ鏡もちっていうの?
鏡もちの形がなぜ丸いのか?
それは、昔の鏡(銅鏡)が丸かったからです。
昔から、鏡は神様が宿るところとされ、
丸い形は、魂(たましい)を表す、といわれています。
したがって、鏡をかたどったもちは、神様の魂が宿ったもち、という意味で、
鏡もちといわれるんですね。
そして、神様の生命力にあふれた鏡もちを、
お正月の終わりに、私たちが食べることによって、
神様の生命力をいただくことになるのです。
鏡もちはなぜ二段重ねるの?
鏡もちは、大小2つのもちを重ね合わせますが、その意味は、
2つのもちが、月(陰)と日(陽)を表していて、
福徳が重なって縁起がいいと考えられたからで、
その他にも、二段重ねるのは、
円満に年を重ねるという意味がある、とも、
1年をめでたく重ねる、という意味ともいわれます。
いずれにせよ、鏡もちを年神様にお供えするという行為は、
1年間無事であったことを感謝する気持ちと、
今年1年間の幸せを願う気持ちが込められた、
日本固有の文化の一つなのです。
鏡もちは、鏡開きの日(1月11日)まで、
大きな鏡もちを家の床の間などに飾っておき、
小さな鏡もちを各部屋に飾っておくのが一般的だそうです。
あっ、うちには床の間なんてないわ、っていうお宅の場合は、
玄関から遠い、奥まった位置に鏡もちを置くのが良い、とされています。
念のため。
まとめ
鏡もちは、年神様への供え物で、
今年1年間の健康と幸せを願う気持ちが込められています。
昔の丸い鏡をかたどったので鏡もちの形は丸く、神様の魂が宿ったもちという意味で、鏡もちといわれます。
大小2つのもちを重ね合わせるのは、福徳が重なって縁起がいいと考えられたからで、
円満に年を重ねる、1年をめでたく重ねる、という意味ともいわれます。
鏡もちは、鏡開きの日(1月11日)まで、家の床の間などに飾っておくのが一般的です。