古代ギリシアの代表的な八つの植民都市の位置関係とフェニキア人からギリシア人へと続く地中海における植民活動の歴史の流れ

前回の記事で書いたように、ミケーネ文明が滅亡した後の400にもおよぶ無文字時代にあたる暗黒時代の後に続く古代ギリシア前古典期の時代においては、

アテナイスパルタミレトスなどといった古代ギリシア世界の各地において、都市国家としてのポリスが成立していくことになります。

そして、こうした古代ギリシアの都市国家においては、それまでの古代ギリシア世界の中心地であったエーゲ海を超えて地中海世界全体へと広がっていく大規模な植民活動が進められていくことになります。

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フェニキア人からギリシア人へと続く地中海における植民活動の展開

古代ギリシアの植民時代に建設された地中海における代表的な八つのポリスの位置関係

そうすると、まず、

こうした地中海沿岸の地域における植民活動を最初に進めていくことになったのは古代ギリシア人ではなくフェニキア人であったと考えられ、

紀元前15世紀ごろから現在のシリアの西に位置するレバノンにあたる地域に都市国家を形成していくことになったフェニキア人たちは、その後、

古代ギリシア暗黒時代にあたる紀元前12世紀~紀元前8世紀頃にかけて海上交易を通じて地中海全域へと活動範囲を広げていくことによって、

北アフリカから現在のスペインが位置するイベリア半島にまでおよぶ地中海沿岸の各地にカルタゴに代表されるような植民市の建設を進めていくことになります。

そして、その後、

こうした地中海世界における植民活動は、フェニキア人が使用していた文字であるフェニキア文字を元にしてギリシア文字を新たに考案することによって暗黒時代を脱した古代ギリシア人たちへと引き継がれていくことになり、

紀元前8世紀~紀元前6世紀頃にあたる古代ギリシア前古典期の時代へと入ると、交易などによって繁栄し、人口も増加していくことになった古代ギリシアの都市国家においては、

ギリシア本土のすぐ西隣に位置するイタリア半島を中心に、西はイベリア半島から、南は北アフリカ、そして、東は黒海の沿岸地域に至るまで大規模な植民活動とそれぞれの地域における植民都市の建設が進められていくことになったため、

こうした古代ギリシアにおける前古典期の時代は、別名では古代ギリシアにおける植民時代とも呼ばれていくことになるのです。

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古代ギリシアの植民時代に建設された代表的な八つの植民都市

そして、

こうした古代ギリシア植民時代とも呼ばれる紀元前8世紀~紀元前6世紀頃の時代に建設されていくことになった代表的なギリシア人の植民都市としては、

クロトンシュラクサイネアポリスビザンティオンキュレネシノペマッサリアエンポリオンといった八つの植民都市の名前などが挙げられることになります。

このうち、最初に挙げた

クロトンは、その形がブーツや靴にたとえられることが多いイタリア半島「つま先」の少し手前の部分に位置する古代ギリシアの植民都市であり、

古代ギリシアを代表する数学者にして哲学者でもあるピタゴラスによって創設された学術集団にして宗教結社でもあったピタゴラス教団が拠点を置いていたことでも有名な古代都市として位置づけられることになります。

そして、その次に挙げた

シュラクサイは、シラクサという呼び名でも知られているシチリア島の南東部に位置する古代ギリシアの植民都市であり、

のちに、古代ローマカルタゴが戦った第二次ポエニ戦争におけるシラクサ包囲戦において、古代ギリシアを代表する数学者にして物理学者でもあったアルキメデスが自らの発明した兵器によって都市の防衛を行ってローマ軍を苦しめたのち、ローマ兵の手にかかって命を落とした土地としても知られています。

また、その次に挙げた

ネアポリスは、現在のイタリアの南部に位置する都市であるナポリの起源となった都市にあたり、こうしたネアポリスという言葉は、古代ギリシア語においては「新しいポリス」「新しい都市」といった意味を表すことになります。

そして、その次に挙げた

ビザンティオンは、現在のトルコの都市にあたるイスタンブールの起源となった古代ギリシアの植民都市にあたり、のちにこの都市は東ローマ帝国の首都となることによって、長い間、コンスタンティノープルという名として知られていくことになります。

また、その他にも、

現在のリビアが位置する北アフリカの沿岸地域にはキュレネ現在のトルコ北部に位置する黒海の沿岸地域にはシノペ

そして、現在のフランス南部に位置する港湾都市にあたるマルセイユの起源となったマッサリア現在のスペイン東部に位置するエンポリオンといった数多くの植民都市が建設されていくことになります。

そして、

こうした古代ギリシア前古典期あるいは植民時代とも呼ばれる紀元前8世紀~紀元前6世紀頃の時代におけるギリシア人による大規模な植民活動を通じて、

アテナイスパルタといった古代ギリシアを代表する都市国家たちが台頭していくことになる紀元前5世紀からはじまる古代ギリシア古典期の時代においては、

それまでギリシア本土エーゲ海の沿岸地域にとどまっていた古代ギリシア世界地中海世界全体へと大きく拡大していくことになっていったと考えられることになるのです。

・・・

次回記事:ミレトスの建設とミケーネ文明滅亡後のイオニア人による再建そしてアテナイへと続く古代ギリシア哲学の系譜

前回記事:古代ギリシア語におけるポリスの二つの意味の違いとプラトンの『ポリテイア』とアリストテレスの『ポリティカ』のポリス観

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