エンベロープウイルスの大きさはどのくらいなのか?代表的な35種類のエンベロープウイルスウイルスの大きさの比較

前回までの一連の記事で書いてきたように、ウイルスと呼ばれる微小な病原体たちは、ウイルス粒子の構造や形状という観点からは、大きく分けて、

エンベロープウイルスノンエンベロープウイルスと呼ばれる二つのグループに分類されることになるのですが、

それでは、このうちの前者にあたるエンベロープと呼ばれる膜構造を持つことを特徴とするエンベロープウイルスたちは、具体的にどのくらいの大きさをしていると考えられることになるのでしょうか?

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インフルエンザウイルスやコロナウイルスなどの球形のエンベロープウイルスの大きさの比較

20200413① エンベロープウイルスに分類される35種類の代表的なウイルスの大きさの比較

そうすると、まず、

こうしたエンベロープウイルスに分類されるウイルスのなかでも、最も有名なウイルスであると考えられるインフルエンザウイルスコロナウイルスといった呼吸系の感染症の原因となるウイルスたちは、それぞれ、

インフルエンザウイルス直径80120ナノメートル※コロナウイルス※直径80220ナノメートルほどの大きさの球形の形状をしたエンベロープウイルスの種類として位置づけられることになります。

1ナノメートル(1nm)=10億分の1メートル=0.000001 ミリメートル

コロナウイルス科に属するウイルスには強毒株にあたるSARSコロナウイルスMERSコロナウイルス2019新型コロナウイルスなども含まれる。

そして、こうした球形の形状をしたエンベロープウイルスとしては他にも数多くのウイルス種類が挙げられることになり、例えば、

HIVウイルス直径100ナノメートルB型肝炎ウイルスD型肝炎ウイルス直径40ナノメートル

口唇ヘルペスなどの原因となる単純ヘルペスウイルスや、水ぼうそうや帯状疱疹の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスといったヘルペスウイルス科に属するウイルスは直径120200ナノメートルほどの大きさの球形のエンベロープウイルス、

風疹の原因となる風疹ウイルスや、蚊が媒介するチクングニア熱の原因となるチクングニアウイルスといったトガウイルス科に属するウイルスは直径70 ナノメートルほどの大きさの球形のエンベロープウイルス、

 C型肝炎ウイルス日本脳炎ウイルス、蚊が媒介するデング熱の原因となるデングウイルスや、黄熱病の原因となる黄熱ウイルス、ウエストナイル熱の原因となる西ナイルウイルスや、ジカ熱の原因となるジカウイルスといったフラビウイルス科に属するウイルスは直径4060ナノメートルほどの大きさの球形のエンベロープウイルスとしてそれぞれ位置づけられることになります。

また、その他にも、

多形性の形態をとることがあるものの、通常の状態では球形の形態をしていることが多いエンベロープウイルスの種類としては、

麻疹(はしか)の原因となる麻疹ウイルスや、おたふく風邪の原因となるムンプスウイルスいったパラミクソウイルス科に属する直径150350ナノメートルほどの大きさのエンベロープウイルス、

クリミア・コンゴ出血熱の原因となるクリミア・コンゴ出血熱ウイルスや、腎症候性出血熱の原因となるハンタウイルス、リフトバレー熱の原因となるリフトバレー熱ウイルスや、重症熱性血小板減少症候群の原因となる重症熱性血小板減少症候群ウイルスといったブニヤウイルス科に属する直径100ナノメートルほどの大きさのエンベロープウイルス、

ラッサ熱の原因となるラッサウイルスや、アルゼンチン出血熱の原因となるフニンウイルス、ブラジル出血熱の原因となるサビアウイルス、ベネズエラ出血熱の原因となるガナリトウイルス、ボリビア出血熱の原因となるマチュポウイルス、チャパレ出血熱の原因となるチャパレウイルスといったアレナウイルス科に属する直径50300ナノメートルほどの大きさのエンベロープウイルスの種類などが挙げられることになるのです。

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天然痘ウイルスやエボラウイルスなどの卵型や円筒型やひも状の形をしたエンベロープウイルスの大きさの比較

そして、それに対して、

こうしたエンベロープウイルスに分類されるウイルスのなかでも、より大型のウイルスの種類としては、

天然痘ウイルス牛痘ウイルスといったポックスウイルス科に属する全長が220450ナノメートルにまでおよぶレンガ型あるいは卵形のエンベロープウイルスの種類などが挙げられることになります。

また、その他にも、より変わった形状をしたエンベロープウイルスの種類としては、

直径は75ナノメートル長さは180ナノメートルほどの大きさをした円筒形のエンベロープウイルスである狂犬病ウイルスや、

エボラ出血熱の原因となるエボラウイルスや、マールブルグ熱の原因となるマールブルグウイルス といったフィロウイルス科に属する直径は80ナノメートルほどであるものの、長さは14,000ナノメートルほどにおよぶこともある多形性の細長いひも状の形態をしたエンベロープウイルスの種類なども挙げられることになるのです。

・・・

そして、以上のように、

こうしたエンベロープウイルスに分類されるウイルスの大きさについては、ウイルスごとの形状の違いによって例外はあるものの、

上記の図において示したように、だいたい40450ナノメートルくらいの大きさの範囲に位置づけることができると考えられ、

その中でも、特に、

インフルエンザウイルスコロナウイルスHIVウイルスヘルペスウイルスなどといった球形の形状をした大部分のエンベロープウイルスは、

だいたい100200ナノメートルくらいの大きさをしていると結論づけることができると考えられることになるのです。

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次回記事:ノンエンベロープウイルスの大きさはどのくらいなのか?代表的な15種類のノンエンベロープウイルスの大きさの比較

前回記事: エンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスの違いと代表的なウイルスの種類のまとめ

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