ゾルとゲルの違いとは?ラテン語の語源に基づく具体的な意味とゾル状とゲル状の物質の具体例
固体・液体・気体と呼ばれる物質の三つの状態のいずれにも分類することができず、それぞれの性質をあわせ持った中間的な性質を示すような物質の種類としては、
ゾルとゲルあるいは柔粘性結晶や液晶と呼ばれるような物質の状態が挙げられることになりますが、
このうち、ゾルとゲルと呼ばれる二つの物質の状態のあり方には、具体的にどのような性質の違いがあると考えられることになるのでしょうか?
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そうすると、まず、
英語におけるゾル(sol)という言葉は、もともと、
ラテン語において「堅い」「固体の」あるいは「ぎっしりと詰まった」「隙間のない」といった意味を表す形容詞であるsolidus(ソリドゥス)に由来する言葉であり、
狭義においては、
本来は固体の状態にある微細な粒子が分散媒となる液体中に均一に分散していくことによって、全体として流動性の高い液体のような性質を示している状態のことを意味することになります。
また、広義においては、
こうしたゾルと呼ばれる物質の状態において分散媒となる液体中に分散していくことになる微細な粒子は、固体だけではなく液体や気体の微粒子である場合も含まれることになりますが、
その場合でも、分散媒となる液体中に分散していくことになる分散質としての液体や気体の微粒子は、水溶液などのように溶媒中に完全に溶けきって一体となってしまうことはなく、分散媒の中でコロイドと呼ばれる粒子の分散状態を保ち続けることになります。
そして、
こうしたゾルと呼ばれる状態にあると考えられる具体的な物質の代表的な例としては、
例えば、
石けん水や液体のり、牛乳や豆乳、マヨネーズなどといった物質の種類が挙げられることになるのです。
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そして、それに対して、
英語におけるゲル(gel)という言葉は、もともと、
ラテン語において「凍結された」「石化した」といった意味を表す形容詞であるgelatus(ゲラトゥス)に由来する言葉であり、
一般的には、
前述したゾルと呼ばれる状態にある物質が温度の低下や化学変化などによって流動性を失うことにより固まってゼリー状の状態になったもののことを意味することになります。
そして、
こうしたゲルと呼ばれる状態にあると考えられる具体的な物質の代表的な例としては、
寒天や豆腐、こんにゃくやゼラチン、乾燥剤や除湿剤などに用いられるシリカゲルなどが挙げられることになるのですが、
そういった意味では、
こうしたゾルとゲルと呼ばれる二つの物質の状態変化のあり方を、具体例を挙げていく形で、一言で説明するならば、
ゾル状の飲料である豆乳がゲル化した食品が豆腐であると理解しておくのが最も分かりやすい理解の仕方であると考えられることになります。
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以上のように、
ゾルとゲルと呼ばれる二つの物資の状態の違いについて、
一言でまとめると、
ゾル(sol)とは、固体または液体や気体などの微細な粒子が分散媒となる液体中に均一に分散していて全体として流動性の高い液体のような性質を示している状態のことを意味するのに対して、
ゲル(gel)とは、ゾルの状態にあった物質が温度の低下や化学変化などによって流動性を失うことによりゼリー状に固まっている状態のことを意味するという点に、
両者の物質の状態における具体的な性質の違いがあると考えられることになるのです。
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