実効再生産数と基本再生産数の違いとは?感染症の流行が終息する数値的な条件と代表的な感染症の基本再生産数の比較

感染症医療の分野においては、特定の感染症に罹患した1人の感染者から新たに生み出されることになる二次感染者数の平均値のことを意味する概念として、

実効再生産数基本再生産数と呼ばれる二つの概念が用いられることがあります。

それでは、なるべく具体的に分かりやすく説明していくとすると、

こうした感染症における実効再生産数基本再生産数と呼ばれる二つの概念には具体的にどのような意味の違いがあると考えられることになるのでしょうか?

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基本再生産数の具体的な定義とインフルエンザや麻疹などの代表的な感染症における基本再生産数の比較

そうすると、まず、感染症医療の分野において、

基本再生産数とは、一般的に、

特定の感染症に対してすべての人々が感受性を有する状況において1人の感染者が新たに生み出すことになると推定される二次感染者数の平均値として定義されることになります。

ここで言う感受性とは、特定の感染症に対する免疫の有無のことを意味していて、ある特定の感染症に対して感受性を持つ人というのは、

その感染症に対する免疫を持っている人、すなわち、その感染症に感染する可能性がある人のことを意味することになります。

つまり、一言でいうと、

感染症における基本再生産数とは、

ある感染症に対する免疫を誰も持っていない通常の状態において1人の感染者から平均してどれだけの数の人々病気がうつることになるのかを示す数値として定義することができると考えられ、

それは、別な言い方をするならば、それぞれの感染症が本来持っていると考えられる基本的な感染力の強さのことを表す一つの指標として捉えることができると考えられることになるのです。

例えば、

麻疹(はしか)基本再生産数1218
風疹(ふうしん)基本再生産数57
おたふく風邪基本再生産数47
インフルエンザ基本再生産数23

であるとそれぞれ推計されることになるのですが、

こうしたそれぞれの感染症における基本再生産数の違い互いに比較していくと、

飛沫感染によって感染が広がっていくインフルエンザなどと比べて、空気感染を引き起こす代表的な感染症である麻疹感染力が非常に強いということが数値として明確な形で把握することができると考えられることになります。

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実効再生産数の具体的な定義と流行が終息するための数値的な条件

そして、それに対して、

実効再生産数とは、一般的に、

感染症が流行しているある集団特定の時点において1人の感染者から新たに生み出された実際の二次感染者数の平均値として定義されることになり、

こうした感染症医療の分野における実効再生産数具体的な数値は、

それぞれの社会における集団免疫の状態や、公衆衛生のレベル、あるいは、それぞれの国家が講じている防疫対策の効果などに応じて刻々と変化していくことになります。

また、ここで言う集団免疫とは、ワクチン感染症からの回復によって免疫を持った人々集団の内部に増加していくことによる社会全体における感染症に対する抵抗力の強さのことを意味していて、

ワクチン接種感染症の蔓延などを通じて集団を構成する大部分の人々が感染症に対する免疫を持った状態へと至ることになれば、

その感染症に新たに感染する可能性がある人はほとんどいなくなってしまうことになるため、もともとの感染力がどんなに強い病原体であっても、その感染症の流行必然的に終息へと向かっていくことになります。

そして、一般的には、

ある集団における感染症実効再生産数1より大きい場合には、その集団の内部では1人の感染者からより多くの新たな感染者が常に生み出されていくことになるので、感染症の流行拡大へと向かっていくことになるのに対して、

その反対に、

ある集団における感染症実効再生産数1より小さい場合には、その集団の内部における感染症の流行終息へと向かっていくことになると考えられることになるのです。

・・・

そして、以上のように、

感染症における基本再生産数実効再生産数違いについて、一言でまとめると、

基本再生産数とは、

ある感染症に対する免疫を誰も持っていない通常の状態において1人の感染者から平均してどれだけの数の人々病気がうつることになるのかを示す推計値のことを意味するのに対して、

実効再生産数とは、

感染症が実際に流行しているある集団特定の時点において1人の感染者から平均してどれだけの数の人々実際に病気がうつっているのかを示す実数値のことを意味するという点に、

両者の概念における具体的な意味の違いがあると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:ゾルとゲルの違いとは?ラテン語の語源に基づく具体的な意味とゾル状とゲル状の物質の具体例

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