素数は数字のアイデンティティー①数字にも個性があるの?
素数(prime number、基礎となる数)は、
現代数学の整数論では、
「正の約数が1と自分自身のみである自然数で、1でない数」
すなわち、
「1と自分自身以外では割り切れない、1より大きい自然数」
※ただし、自然数とは、正の整数、つまり、1以上の整数のこと。
と定義されていて、
具体的には、
2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31・・・
と続いていきます。
すべての数字は素数の組み合わせでできている
そして、
すべての数字は、
数字の基礎となる数である
素数の組み合わせによって、
合成することができます。
言い換えれば、
すべての数字は、
素数の積によって表すことができるということです。
ある数字が、
どのような
素数の組み合わせ、素数の積によって
作られているのかを調べるためには、
実際に、
その数字が、
自分より小さい素数で割り切れるか
順番に一つずつ調べてみればよく、
このように、
ある自然数(正の整数)を、
素数で割っていって分解して、
素数の積の形で表すことを、
素因数分解と言います。
例えば、
42という数字の場合、
42をはじめの素数である2で割ってみると、
42÷2=21で割り切れるので、
42の素因数分解には2が含まれていると分かります。
さらに、
42を2で割った商(ある数を他の数で割って得られた結果の数値)である
21を次の素数である3で割ってみると、
21÷3=7で割り切れるので、
42の素因数分解には3も含まれていると分かります。
次に、
21を3で割った商である
7を次の素数である5で割ってみると、
7÷5=1あまり2
となって、
割り切れないので、
42の素因数分解には5は含まれていないと分かります。
そして、
21を3で割った商である
7をさらに次の素数である7で割ってみると、
7÷7=1でぴったり割り切れて、
これで1になるまで素数で割り切ることができ、
これ以上は他の数字で割ることはできないので、
ここで、
素因数分解は終了となります。
そして、その結果、
42の素因数分解に含まれる素数は、
2と3と7
ということが分かり、、
式で表すと、
42の素因数分解は、
42=2×3×7
となります。
このように、
すべての数字は、
素因数分解によって、
それぞれの数字につき、
一通りの素数の組み合わせで表現することができるのです。
素数は数字の個性、アイデンティティー
ここまでで述べた、
すべての数字は、それぞれ
一つ一つの数字につき、
一通りの素数の積、つまり、
ただ一通りの素数の組み合わせで表現できる
という性質を利用すると、
以下のような
数字遊びを考えることもできるでしょう。
例えば、戯れに、
2は女性、3は男性、5は子供、7は大人、11は足が速い、
13は読書好き、17は音楽好き、19は映画好き、23はピアノが得意、
29はサッカーが得意、31は料理が得意・・・
というように、
それぞれの素数に、適当な
属性を割り振ってみると、
すべての数字は、
ある特定の人物がもっている属性の集合
に対応することになります。
例えば、
2990という数字なら、
2990を素因数分解すると、
2990=2×5×13×23となりますが、
これを、上記の
素数と属性の対応表と照らし合わせると、
2=女性、5=子供、13=読書好き、23=ピアノが得意
となるので、
数字の2990は、
読書好きでピアノが得意な女の子
ということになります。
この対応表に基づいて、
他の数字でも同様のことを試してみると、
数字の4785は、
47853=3×5×11×29となるので、
サッカー好きで足が速い男の子、
数字の8246は、
8246=2×7×19×31となるので、
映画好きで料理の得意な大人の女性、
ということになります。
このように考えると、
まるで、
一つ一つの数字に、
個性や、性格まであるようなイメージがわいてくるように思います。
つまり、
素数は、
素因数分解を通じて、
一見、
無味乾燥で無機質な存在に見える
数字に、
それぞれの数に独特の
属性や個性を与えてくれるので、
素数は、
数字のアイデンティティー(identity、同一性、独自性、個性)
を形成する存在と考えることもできるのではないか
ということです。
・・・
ちなみに、
一つの数字につき、
対応する素数の積が一つに決まるという、
こうした
素数と素因数分解の性質は、
次回の「素数は数字のアイデンティティー②公開鍵暗号の仕組みと素因数分解」で取り上げるように、
公開鍵暗号という、
コンピュータネットワーク上の
メールなどの通信情報を
他人に盗み見られないように
秘匿化する仕組み
などにも応用され、
現実社会の中でも
役立てられていたりもしています。