火神山医院と雷神山医院の由来とは?陰陽五行説と道教思想に基づく祝融と雷帝と呼ばれる二柱の神々
中国の武漢を中心に世界規模で感染が拡大している新型コロナウイルスに対応するために、中国政府は新型コロナウイルスに感染した肺炎患者の専門病院として、
火神山医院(かしんざんいいん)と雷神山医院(らいしんざんいいん)と呼ばれるそれぞれに約一千人ずつの患者を収容できる二つの巨大な病院をわずか10日間ほどの工期で建設したと伝えられていますが、
こうした中国の武漢に新たに建設されることになった火神山医院と雷神山医院という二つの病院の名前の由来としては古代中国におけるどのような神の存在が挙げられることになると考えられることになるのでしょうか?
火神山医院の由来となった火を司る神である祝融と陰陽五行説との関係
そうすると、まず、
前者の火神山医院の名前の由来となっている火神(かしん)と呼ばれる神の名は、
直接的には、
中国神話において古代中国の礎を築いたとされている伝説上の帝王である炎帝神農氏(えんていしんのうし)の末裔とされる火を司る神にして、
現在の武漢を含む湖北省そして湖南省を中心とする広い地域を領土としていた古代中国の楚の国の人々の伝説上の祖先とされることもある祝融(しゅくゆう)と呼ばれる神のことを意味していると考えられることになります。
また、
古代中国における陰陽五行説の思想においては、万物の根源とされる木・火・土・金・水という五つの要素は、
五臓と呼ばれる人間の臓器との関係においては、それぞれ、肝臓・心臓・脾臓・肺・腎臓という五つの臓器へと対応づけられることになります。
したがって、
新型コロナウイルスが人体に引き起こす主要な症状にあたる肺炎は、こうした陰陽五行説の思想に基づくと、金の行にあたる肺を毒する病ということになるわけですが、
さらに、こうした陰陽五行説の思想において五行が互いを殺し合う関係にあたる相剋(そうこく)と呼ばれる関係においては、火は金を熔かすことによって金を剋するとされているので、
こうした古代中国の陰陽五行説の思想に基づいて、
陰陽五行説の金の要素によって司られている肺を毒する病である新型コロナウイルスによる感染症を金を剋する火の力によって打ち払うという意味で、
こうした中国神話の火の神にあたる祝融の名が古代中国の楚の国が位置していた武漢の地に新たに建てられることになった病院の名前に用いられることになったと考えられることになるのです。
雷神山医院の由来となった道教思想における雷と裁きの神にあたる雷神
そして、それに対して、
後者の雷神山医院の名前の由来となっている雷神(らいしん)と呼ばれる神は、
古代中国の神話においては雷公あるいは雷帝といった名でも呼ばれている雷を司る神のことを意味していると考えられ、
『山海経』と呼ばれる古代中国の地理誌においては、こうした雷公と呼ばれる雷の神は、竜の体と人間の頭を持ち、腹の部位にある太鼓を打ち鳴らすことによって稲妻と雷鳴を呼ぶ神として描かれています。
そして、特に、
古代中国の道教思想においては、こうした雷公や雷帝と呼ばれる雷を司る神は、天の意思に反する悪行を働いた者に雷を落として成敗するという厳しい罰を下す裁きの神としても位置づけられることになります。
ちなみに、
中国の習近平国家主席は、1月28日にWHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長との間で行われた北京での会談において、
新型コロナウイルスのことを指して、
「このウイルスは悪魔であり、我々は悪魔が隠れることを許さない」と話したと伝えられていますが、
そういった意味では、
地上において罪なき人々を苦しめる新型コロナウイルスという悪魔のことを世界の隅々に至るまで追いかけて行って見つけ出し、正義の裁きを下して悪しき病を打ち払う神という意味で、
こうした中国神話や道教思想における雷と裁きの神である雷神や雷帝と呼ばれる神の名が雷神山病院というもう一つの病院の名前に用いられることになったとも考えられることになるのです。
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以上のように、
こうした火神山医院と雷神山医院という二つの病院の名前の由来について、一言でまとめると、
前者の火神山医院については、陰陽五行説の思想において金の要素に属する肺を毒する病である新型コロナウイルスを金を剋する火の力で打ち払うという意味で、中国神話の火の神にあたる祝融のことを意味する火神の名がつけられたと考えられるのに対して、
後者の雷神山医院については、罪なき人々を苦しめる新型コロナウイルスによる悪しき病を打ち払う正義の裁きを下すといった意味で、中国神話や道教思想における雷と裁きの神にあたる雷神の名がつけられることになったと考えられることになるのです。
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