女神ヘラによるヘラクレスの出生の妨害と奪われたミケーネの王位の座、古代ギリシア神話の英雄ヘラクレスの物語②
ミケーネの王女であったアルクメネは、ゼウスとの間に生まれることになったヘラクレスと、自分の本当の夫であるアムピトリュオンとの間の子であるイピクレスという神の子と人の子の双子の母となるのですが、
こうしたヘラクレスとイピクレスの双子の出生の際には、自らの夫であるゼウスの浮気に嫉妬した女神ヘラによる邪魔立てがなされることによって
その後のヘラクレスが歩んでいくことになる運命の道筋が大きく変えられていっていしまうことになります。
女神ヘラによるヘラクレスの出生の妨害と奪われたミケーネの王位の座
地上の世界において、ヘラクレスとイピクレスの双子の兄弟を身ごもっていたアルクメネが臨月の時を迎えていたその時、
天上の世界において、ゼウスは、彼のもとに集った神々の前で、自分の息子であるヘラクレスの来たるべき出生の時を祝して、
「今日この日に最初に生まれることになるペルセウスの後裔がアルゴスの全土を支配するミケーネの王となるであろう」
という誓言の言葉を述べることになります。
しかし、
この言葉を耳にして、激しい嫉妬の思いに駆られることになったゼウスの妻であった女神ヘラは、どうにかしてその言葉通りにゼウスの浮気相手の女であるアルクメネの息子であるヘラクレスがそのまま首尾よくミケーネの王座へとつくことだけは阻んでしまおうと考えて、
結婚の女神でもあったヘラにつき従っていた女神たちのうちの一人であった出産の女神エイレイテュイアに、少しの間だけアルクメネのお産を止めてしまうように命じることになります。
そして、その間に、
アルクメネと同じくペルセウスの後裔となる一族の一人であったステネロスとの子を身ごもっていたエリスの王女ニキッペのお腹の中にいた、まだ七か月の胎児が先に生まれるように仕向けてしまい、
こうした女神ヘラの策略によって無理やり早産にされて生まれてくることになってしまったステネロスの息子はエウリュステウスと名づけられることになります。
そして、その後、
前述したゼウスの誓言の言葉の通りに、
ゼウスとアルクメネとの間に生まれた神の子であるヘラクレスではなく、彼よりも先に生まれることになったステネロスの息子であるエウリュステウスが、
のちにアルゴスの全土を支配するミケーネの王位の座につくことになるミケーネの王子へと入れ替えられてしまうことになったと考えられることになるのです。
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