しし座のギリシア神話における由来とは?ネメアの獅子と英雄ヘラクレスの戦いの物語と強靭な肉体と英雄の象徴となる星座の姿

黄道十二星座の一つとして位置づけられている獅子座(ししざ)は、黄道十二宮における獅子宮(ししきゅう)の領域とも結びつけられることによって、

二十四節気のうちの大暑から処暑の頃までの時期にあたる 723日から822までの31日間の期間を司る星座としても位置づけられることになるのですが、

こうしたしし座と呼ばれる星座は、ギリシア神話においては具体的にどのような由来を持つ星座であると考えられることになるのでしょうか?

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怪物の王テュポーンを父とするネメアの獅子と英雄ヘラクレスとの戦い

そうすると、まず、

前回取り上げたかに座の由来に続いて、今回取り上げるしし座の由来についても、そうしたしし座と呼ばれる星座において描かれる夜空を駆ける巨大な獅子の姿は、

ギリシア神話の物語においては、ギリシア神話における半神半人の英雄であるヘラクレス怪物退治の物語のうちにその具体的な由来を求めていくことができると考えられることになります。

・・・

ギリシア神話における半神半人の英雄であり、怪力を持つ豪傑としても有名なヘラクレスは、十二の功業として知られる怪物退治の偉業を成し遂げるために、ギリシア各地へと赴いて行くことになるのですが、

そうしたヘラクレスの十二の功業と呼ばれる十二の偉業のうちの最初の戦いは、ネメアと呼ばれる地にいた巨大な獅子つまり百獣の王であるライオンとの戦いからはじまっていくことになります。

こうしたネメアの獅子と呼ばれるライオンは、大地の女神ガイア暗黒と深淵を司るタルタロスとの間に生まれた怪物の王にあたるテュポーンを父とする猛獣であり、

この猛獣がギリシアのペロポネソス半島の東北部に位置する古代都市であったアルゴスの南西に位置するネメアの谷に住み着いていたため、こうした呼び名が与えられることになったと考えられることになります。

そして、

自分が戦いを挑むことを定められたこの獅子が天上と地上の世界を通じて一番の怪力を誇る自らの力と比べても勝るとも劣らない強大な力を持つことを感じとったヘラクレスは、

戦いの準備のために訪れていたクレオナイの町の人々に、天界の主であるゼウスへの供物を捧げるのを三十日間待つように申し述べたうえで、

三十日ののちに、もしも幸運にも自分がこの獅子を討ち取ることができたとするならば、その時にはその獅子の肉ゼウスへの供物として祭壇に捧げ、

もしも不幸にも自分がこの獅子に敗れて死ぬことになったとするならば、その時には死者となったヘラクレスのことをゼウスへの供物として祭壇に捧げるように言い残して、ネメアの獅子との戦いに赴いていくことになるのです

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ネメアの獅子が持つ強靭な肉体と英雄の象徴としての星座の姿

そして、

こうした並々ならぬ覚悟をもって獅子との戦いへと赴いたヘラクレスは、ネメアの谷において獅子を見つけ出し、ますはその体を弓矢で射抜くことによって獲物を仕留めようと試みることになります。

しかし、

いかなる刃物も弾き返す強靭な毛皮によって覆われた鋼のような肉体を持つ獅子の体は、ヘラクレスが力を込めて放った矢の一撃によっても傷一つ付けることができなかったため、

それに続いて、ヘラクレスは、

こん棒によって獅子を追い立てて、前と後ろに二つの入り口がある洞窟へとこの猛獣を追い込んでいくことにします。

そして、

獅子が洞窟の中へと入ったのを見たヘラクレスは、その入り口の一方を大岩によって塞いで自分と獅子の両方にとっての退路を断つと、もう一方の入り口から入って獅子のもとへと進んで行き、

ヘラクレスは、暗い洞窟の中で、ネメアの獅子三日三晩にわたって死闘を繰り広げていくことになります。

そして、両者の戦いは、

力の強さにおいては互いに優劣がつかなかったものの、四つ足の獣とは違って両手の自由が利くヘラクレスは、獅子の首に腕を巻きつけてしがみつくと、そのままこの猛獣の首を力いっぱいに締め上げていくことになり、

いかに鋼のような強靭な肉体を持つ猛獣であるとはいえ、首を絞められて窒息しながらでは自らの力を十分に発揮することができなくなったこの獅子は、その後もしぶとく戦い続けたものの、ついに三日目に力尽きてしまうことになります。

そして、その後、

自分が打ち倒した獲物を肩に担いでクレオナイの町へと帰還したヘラクレスは、この地で獅子の肉ゼウスへの供物として祭壇に捧げたうえで、

それ以降の戦いでは、彼は、ネメアの獅子の体を覆っていた、そうしたいかなる武器をも弾き返す強靭な獅子の毛皮を頭からかぶって自らの鎧として用いていくことになったため、

こうした獅子やライオンと呼ばれる猛獣は、ギリシア神話における最大の英雄であるヘラクレスを象徴する猛獣、すなわち、英雄を象徴する動物としても位置づけられるようになっていったと考えられることになります。

そして、

こうした一連の出来事を天空から眺めていたゼウスによって、ネメアの獅子英雄ヘラクレスと繰り広げた死闘が讃えられることでその姿は夜空に輝く星々が結ぶ星座の形としてとどめられることになり、

その星座の姿は、こうしたネメアの獅子が持つ強靭な肉体強大な力、そして、英雄を象徴する星座としても位置づけられていくことになっていったというのが、

こうしたギリシア神話におけるしし座と呼ばれる星座の名前の具体的な由来であると考えられることになるのです。

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次回記事:おとめ座のギリシア神話における由来とは?豊穣の女神デメテルの娘にして冥界の王ハデスの妻ともなったペルセポネの物語

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前回記事:かに座のギリシア神話における由来とは?ヘラクレスの怪物ヒュドラとの戦いの物語と大ガニのカルキノスの勇敢さと不屈の精神

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