おひつじ座のギリシア神話における由来とは?プリクソスとヘレーの二人の兄妹と空飛ぶ黄金の羊の物語

黄道十二星座の一つとして位置づけられている牡羊座(おひつじざ)は、黄道十二宮における白羊宮(はくようきゅう)の領域とも結びつけられることによって、

二十四節気のうちの春分から穀雨の頃までの期間にあたる 321日から419までの30日間の時期を司る星座としても位置づけられることになるのですが、

こうしたおひつじ座と呼ばれる星座は、ギリシア神話においては具体的にどのような由来を持つ星座であると考えられることになるのでしょうか?

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プリクソスとヘレーの二人の兄妹と空飛ぶ黄金の羊の物語

そうすると、まず、

こうしたおひつじ座と呼ばれる星座のギリシア神話における由来となったと考えられる金色の毛を持つ神獣としての羊の姿は、

ギリシア神話の物語においては、古代ギリシアの都市国家の一つであったボイオティアの王子と王女であったプリクソスヘレーという名の二人の兄と妹をめぐる逃避行の物語のなかで描かれていくことになると考えられることになります。

・・・

アテネスパルタと並ぶ古代ギリシアにおける中心都市の一つであったテーバイが位置するボイオティアの君主であったアタマス王は、

ギリシア神話における主神ゼウスが自らの妻であった女神ヘラの姿を象って雲から造り出したネペレーという名の雲のニンフ(妖精)最初の妻として迎え、

アタマス王とネペレーの間には、プリクソスヘレーという名の王子王女が生まれることになります。

そして、その後、

アタマス王は、彼の二人目の妻として、テーバイの王女であったイーノーを迎え、彼女との間に、レアルコスメリケルテースという名の二人の息子をもうけることになるのですが、

かねてから自分の息子たちを差し置いて先妻の子であるプリクソスボイオティアの王位の座を継ぐことになるのを忌々しく思っていた嫉妬深い王妃であったイーノーは、悪企みを計って、

プリクソスの妹であったヘレーをだまして、その年に作付けすることになっていた小麦の種を火にかけて煎ってから畑に蒔くように仕向けることにします。

そして、その後、

イーノーの計略にかかって、ヘレーが芽を出すことがない小麦の種を畑に蒔いてしまったことで、大規模な不作と飢饉に襲われることになったボイオティアでは、

このことを不審に思ったアタマス王がこうした国の窮地を救うための方法を神に祈って神託を受けるためにデルポイの神殿へと使者をつかわすことになるのですが、

この時を待っていた王妃イーノーは、あらかじめ計っていた通りに、デルポイへと向かった使者を手なづけて、王に偽りの神託を伝えるように説き伏せることに成功することになります。

そして、そうした偽りの信託の言葉によって、

ボイオティアを不作と飢饉から救い出すためには、ゼウスへの供物として、王が最も大切に思うもの、すなわち、最愛の息子であるプリクソスの命犠牲として捧げることが必要であるということを聞かされたアタマス王は、

はじめはその神託を受け入れずに拒否しようとはしたものの、飢饉に苦しむボイオティアの人々の声を無視することができずに、彼らに強制されるような形で、自らの息子にしてボイオティアの王子であったプリクソスを犠牲となる供物を捧げる祭壇へと連れていくことになります。

しかし、この時、

こうした一連の出来事を空から眺めていて、かつて自分が自らの妻であった女神ヘラの姿を象って雲から造ったニンフであったネペレーの子供たちが理不尽に殺されそうになるのを見て不憫に思ったゼウスは、

同じく雲の中から翼を持った金色の毛に輝く羊を連れてきて、この羊を彼らの母親であったネペレーへと与えると、

雲のニンフであったネペレーは、すぐさま自分の二人の子供たちのもとへと飛んで行き、二人をこの金色の羊の背中のうえに乗せて空中へと飛び立たせることになり、

こうしてプリクソスヘレー二人の兄と妹は、二人の生まれ故郷であったボイオティアの地から空飛ぶ黄金の羊の背中に乗って異国の地へと飛んでいく逃避行の旅へと赴いていくことになるのです。

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ヘレーが落ちた海の名とプリクソスが捧げた黄金の羊に由来する星座の名

そして、その後、

プリクソスヘレー二人の兄と妹は、二人で仲良く空飛ぶ黄金の羊の背中に乗って、いくつもの山と川を越え、大地を横切り、海を渡っていくことになるのですが、

二人がギリシアの地を離れて、エーゲ海を越えてさらに東へと進んでいき、ちょうどヨーロッパとアジアとの境界をなす現在のダーダネルス海峡のあたりまで来た時、

プリクソスの妹であったヘレーは、長旅の疲れからか、自分が乗っている空飛ぶ羊の背中の毛から、つい手を放してしまい、そのまま真下に広がる海へと真っ逆さまに落ちていってしまうことになります。

プリクソスは、羊を駆ってすぐに海面まで降りていき、海へと落ちてしまった妹のことを救い出そうとするのですが、

ヘレーが落ちた場所の海の水深はあまりにも深く、彼女はそのまま深海へと深く沈み込んで行ってしまったため、それがそのまま二人の別れの時となってしまい、

その後、こうして空飛ぶ黄金の羊の背中から落ちたボイオティアの王女ヘレーが沈んでいったとされているこの海は、ギリシアの人々からは彼女の名前をとってヘレースポントス、すなわち、「ヘレーの海」という意味のギリシア語で呼ばれるようになったと語り伝えられています。

そして、その一方で、

兄であるプリクソスの方は、妹を失ってしまった失意のなか、その後も一人で逃避行の旅を続けていくことになり、

彼はやがて現在のトルコの北に隣接するグルジアのあたりに位置するコルキスの地へとたどり着き、この地でコルキス王アイエテスに客人として迎え入れられることになります。

そして、その後、

プリクソスは、アイエテスの娘であったカルキオペを妻として、この地で幸せに暮らしていくことになるのですが、

このことをゼウスに深く感謝したプリクソスは、かつて自らの父の手によって供物として捧げられそうになった自分の命の代わりに、その命を救ってくれた黄金の羊を供物としてゼウスへと捧げることになり

こうしてプリクソスの手によって祭壇へと捧げられた黄金の羊がそのまま天空にいるゼウスのもとへと還っていき、夜空に輝く星座となったのが、

こうしたギリシア神話におけるおひつじ座と呼ばれる星座の名前の具体的な由来であると考えられることになるのです。

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次回記事:おうし座のギリシア神話における由来とは?美しく白い牡牛の姿をしたゼウスと異国の王女エウロパの恋と誘惑の物語

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