ティタノマキアにおけるティターン神族とオリュンポスの神々の戦いと大地の女神ガイアと巨人たちの加勢によるゼウスの勝利

前回の記事で書いたように、ギリシア神話においては、自分の子供たちを生まれた先から次々に飲み込んでしまう暴君であったクロノスのもとから、母であった女神レアの機転によって救いだされたゼウスは、

その後、知恵に優れた泉の女神であったメティスと協力して、自分の父であるクロノスが飲むネクタルの蜜酒に眠り薬を混ぜて飲ませることによって、

クロノスの腹の中に入っていたポセイドンやハデスやヘラといったのちにオリュンポスの神々と呼ばれることになる兄弟姉妹たちを救出することに成功することになるのですが、

その後のギリシア神話の物語においては、

今度は、こうしたクロノスとレアとの間に生まれたゼウスを盟主とするオリュンポスの神々と、クロノスを盟主とするティターン神族との間で、

ティタノマキアとも呼ばれる宇宙の支配権とすべての神々を総べる天界の王位の座をめぐる壮大な神々の戦いが繰り広げられていくことになります。

ティタノマキアにおけるティターン神族とオリュンポスの神々の戦い

自分の実の父であるウラノスから天界の王位の座を奪って、ウラノスに続く第二代の神々の王として君臨していたクロノスは、

原初の神々である大地を司る女神であるガイアと、天空を司る神であるウラノスとの間に生まれたティターン神族と呼ばれる古代の巨神族の盟主として位置づけられる存在でもあったのですが、

そうしたクロノスの息子と娘たちにあたる、のちに、オリュンポスの神々と呼ばれていくことになるゼウス、ポセイドン、ハデス、ヘラ、デメテル、ヘスティアといった神々は、

自分たちのことを長い間、何も見えない真っ暗な腹の中に閉じ込めることによって苦しめてきたクロノスに対して復讐を果たし、その暴政に終止符を打って天界と宇宙の支配権を手にするために、

自分たちの実の父であるクロノスを盟主とするティターン神族と呼ばれる巨神族たちに戦いを挑んでいくことになります。

そして、

こうしたゼウスを盟主とするオリュンポスの神々と、クロノスを盟主とするティターン神族の間で行われた天界と宇宙の支配権をめぐる神々の壮大な戦いは、

古代ギリシア語においては、ギリシア神話の主人公にあたるオリュンポスの神々と古代の巨神族であったティターン（Titan）との間で戦われた戦い（マキア、makhia）であるという意味で、ティタノマキア（Titanomakhia）といった呼び名でも呼び表されていくことになるのです。

大地の女神ガイアと巨人たちによるオリュンポスの神々の軍勢への加勢と神々の王としてのゼウスの君臨

そして、

こうしたティタノマキアと呼ばれるオリュンポスの神々とティターン神族との間の戦いにおいては、

双方の陣営とも不死なる力を持った神によって軍勢が率いられているうえに、巨大な体を持つとされている巨神族にあたるティターン神族の神々は、

個々の神々の体格と力といった面においては、オリュンポスの神々のことを大きく凌駕していたため、その戦いの間には苦戦が続き、地上の世界においては十年にもおよぶ長い期間にわたって戦乱の時が続いていくことになるのですが、

そうした天上の世界における一連の戦いの成り行きを見守っていたすべての神々の母にして大地を司る原初の女神でもあったガイアは、

自分の夫であったウラノスと同じように、自分の子供たちのことを虐げてきたクロノスの行いを良しとしなかったため、ティターンたちではなくオリュンポスの神々へと加勢することを心に決め、

彼らに対して、地底の牢獄にあたるタルタロスに閉じ込められている自分の息子たちであるキュクロプス（一つの目の巨人）とヘカトンケイル（百手巨人）の助けを借りることができれば、この戦いに勝利することができるという助言を授けることになります。

そして、

こうした母なる女神ガイアの言葉を聞いたオリュンポスの神々は、すぐに地の底のタルタロスへと赴いてガイアに言われた通りに巨人たちを牢獄から解放すると、

そのことに恩義を感じた巨人たちは、まずは、

金属を鍛錬して武器を鋳造する技術に優れていたキュクロプスと呼ばれる一つ目の巨人たちが、

ゼウスには雷光と稲妻を自由に操ることができる金剛杵、ポセイドンには海の波と嵐の力を自由に操ることができる三叉の矛、ハデスには自らの姿を見えなくすることができる隠れ兜といった強力な力を持った武具と防具を与え、

一人一人の巨人が五十の頭と百本の手を持つヘカトンケイルと呼ばれる怪力の巨人たちは、

ティターンたちに、自らが持つ無数の剛腕で、無数の大岩を投げつけていくことによって、オリュンポスの神々の軍勢を大きく助けていくことになります。

そして、その後、オリュンポスの神々は、

こうした大地の女神ガイアとその息子たちにあたるキュクロプスとヘカトンケイルと呼ばれる巨人たちの助けを借りることによって、ティターン神族たちの軍勢を打ち破り、

ティターン神族の盟主であるクロノスを捕らえて、巨人たちが閉じ込められていた地底の牢獄であるタルタロスに幽閉してしまうことによって、

こうしたティタノマキアと呼ばれるオリュンポスの神々とティターン神族の間で行われた神々の戦いは、オリュンポスの神々の側の勝利に終わることになります。

そして、

こうしたティタノマキアにおけるオリュンポスの神々の側の勝利によって、

オリュンポスの神々の盟主であったゼウスは、自らの父であったクロノスに代わって、ウラノスとクロノスに次ぐ第三代の神々の王として、天界の王位の座に君臨していくことになるのです。

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次回記事：ギガントマキアにおけるオリュンポスの神々とガイアが生んだ十二体のギガースたちの戦いと半神半人の英雄ヘラクレス

前回記事：自分の子供を飲み込むクロノスとゼウスによる兄弟姉妹の救出、オリュンポスの神々のクロノスの腹の中からの第二の誕生

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