虫媒花が原因となる花粉症とは?ウメやリンゴやイチゴやモモが原因となる花粉症と職業アレルギーと口腔アレルギー
前回の記事で書いたように、花粉症と呼ばれる疾患は、基本的には、スギやヒノキやブタクサなどといった空気中に大量の花粉を散布することによって花粉の受粉を行う風媒花に分類される植物によって引き起こされるアレルギー症状であると考えられることになるのですが、
その一方で、
こうした風媒花を原因とする一般的な花粉症と比べて、かなり稀なケースではあるものの、ウメやリンゴ、イチゴやモモなどといった虫媒花や鳥媒花に分類される植物が原因となることによって花粉症の症状が引き起こされてしまうケースも存在するとは考えられることになります。
職業アレルギーの一種としての虫媒花を原因とする花粉症の位置づけ
風媒花に分類される樹木や草花が、大量の花粉を空気中へと散布していくことによって花粉の受粉を行い、自らの子孫をふやしていこうとするのに対して、
虫媒花や鳥媒花に分類される樹木や草花は、花の蜜を吸いにやってくる昆虫や鳥類といった動物たちを花粉の運び手とすることになり、
そうした花粉の運び手となる虫や鳥たちが花から花へと選択的に花粉を運んで行ってくれることによって、少量の花粉でも効率よく花粉の受粉が行われていくことになると考えられることになります。
したがって、
一般的な日常生活のなかでは、こうした虫媒花や鳥媒花に分類される植物たちが花を咲かる時期になっても、花粉症の症状が引き起こされてしまうことはないと考えられることになるのですが、
その一方で、
こうしたウメやリンゴ、イチゴやモモなどといった虫媒花や鳥媒花に分類される植物たちと日頃から密に接触し続けている果物の栽培農家などで働いている人などの場合には、
これらの植物の開花時期などに目のかゆみやくしゃみなどといった花粉症の症状が現れるケースがあることが報告されていて、
特に、ビニールハウスでの果物の栽培などの際に、人間の手で一部の花を切り取って、他の花へと直接的に花粉を振りかけていくといった人工授粉の作業を繰り返し行っている場合などには、
こうした虫媒花や鳥媒花に分類される植物の花粉を原因とする花粉症が引き起こされてしまうリスクが高まることになると考えられることになるのです。
バラ科の植物を原因とする口腔アレルギーとシラカバ花粉症やハンノキ花粉症との関係
ちなみに、
こうした職業アレルギーの一種として引き起こされてしまうことになる虫媒花を原因とする花粉症とは別に、
そうした果物の栽培などに従事しているわけではない一般的な人においても、花粉症の症状の一環として、前述したウメやリンゴ、イチゴやモモなどといったバラ科に分類される植物の果物を食べた際に、口腔アレルギーなどの症状が引き起こされてしまうケースもあると考えられることになります。
そして、こうした症状は、
シラカバ(白樺)やハンノキ(榛の木)などといったカバノキ科に分類される風媒花の花粉が、前述したウメやリンゴやイチゴやモモなどといったバラ科に分類される植物の花粉と非常によく似た構造をしているために、
人間の免疫細胞の側が、これらのバラ科に分類される植物に含まれているアレルゲン物質をシラカバやハンノキの花粉に含まれているアレルゲン物質と誤認することによって、これらの風媒花に分類される植物の花粉に触れた時と同様のアレルギー反応が引きこされていると考えられることになるのですが、
そういった意味では、
こちらの方は、厳密な意味においては、虫媒花を原因とする花粉症であるとは言えず、それは、むしろ、
風媒花の一種であるシラカバやハンノキによって引き起こされるシラカバ花粉症やハンノキ花粉症によって引き起こされることになる派生的なアレルギー症状として位置づけられるべきアレルギー症状であると考えられることになるのです。
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次回記事:スギやヒノキなどの木本植物の花粉の飛散時期の比較、全部で20種類の代表的な樹木の春の時期を中心とする花粉の飛散
前回記事:花粉症の原因となる代表的な植物の種類とは?風媒花に分類される木本植物と草本植物の代表的な種類
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