乳酸菌に分類される代表的な八つの細菌の種族とは?発酵食品への利用や腸内細菌としての働きを持つ細菌の種類の具体的な特徴
以前に書いた 球菌 や 桿菌 といった細菌のグループについてまとめた一連の記事のなかでは、
乳酸球菌や乳酸桿菌といったヨーグルトやチーズなどの発酵食品の製造などに利用されることなどで有名な乳酸菌に分類される細菌の種類について取り上げてきましたが、
こうした乳酸菌と呼ばれる細菌のグループには、より具体的にはどのような種類の細菌の種族が分類されていくことになると考えられることになるのでしょうか?
乳酸菌に分類される代表的な八つの細菌の種族
乳酸菌(Lactic acid bacteria、ラクティック・アシッド・バクテリア)という言葉は、その名の通り、糖類を養分として分解することによって乳酸をつくる働きを持つ細菌の総称として用いられる言葉であり、
こうした乳酸菌と呼ばれる細菌のグループは、その形状の違いに応じて、
球形の形状をした乳酸菌のグループにあたる乳酸球菌と、
棒状の形状をした乳酸菌のグループにあたる乳酸桿菌と呼ばれる二つのグループへと分類されていくことになると考えられることになります。
そして、上記の図において示したように、
乳酸球菌に分類される代表的な細菌の種族としては、
エンテロコッカスやラクトコッカス、ペディオコッカス、リューコノストック、ストレプトコッカス、アエロコッカスといった直径1マイクロメートルくらいの大きさをしたグラム陽性の嫌気性球菌に分類される細菌の種族の名が挙げられることになるのに対して、
乳酸桿菌に分類される代表的な細菌の種族としては、
ラクトバチルスやビフィドバクテリウムといった幅0.5~1マイクロメートル、長さ1~2マイクロメートルくらいの大きさをしたグラム陽性の嫌気性桿菌に分類される細菌の種族の名が挙げられることになるというように、
こうした乳酸球菌と乳酸桿菌と呼ばれるそれぞれの細菌のグループには、上述したような全部で八種類の代表的な乳酸菌の種類を分類していくことができると考えられることになるのです。
そして、
このうち、球形の形状をした乳酸菌のグループに位置づけられることになる代表的な細菌の種族としてはじめに挙げた
エンテロコッカス(Enterococcus)と呼ばれる細菌の種族に属する乳酸球菌は、人間の大腸などに生息している代表的な腸内細菌の一種でもあり、整腸剤などに配合されることも多い細菌の種族であるのに対して、
その次に挙げた
ラクトコッカス(Lactococcus)と呼ばれる細菌の種族に属する乳酸球菌は、球菌が横に二つ並んだ双球菌または一つ一つの球菌が鎖状の形状に連なった連鎖球菌の配列を示す乳酸菌の種族であり、牛乳やチーズなどの乳製品に含まれていることが多い細菌の種類として位置づけられることになります。
そして、その次に挙げた
ペディオコッカス(Pediococcus)と呼ばれる細菌の種族に属する乳酸球菌は、ピクルスに代表されるような植物性の発酵食品に多く含まれている球菌が四つ並んだ四連球菌の配列を示す乳酸菌の種族であり、
リューコノストック(Leuconostoc)は、前述したペディオコッカスと同様に、キャベツの漬物の一種であるザワークラウトなどの植物性の発酵食品などに含まれていることが多い双球菌または連鎖球菌の配列を示す乳酸菌の種族、
ストレプトコッカス(Streptococcus)は、ブルガリアヨーグルトに代表されるような一般的なヨーグルトの製造に用いられることが多い連鎖球菌の配列を示す乳酸菌の種族、
アエロコックス(Aerococcaceae)は、土壌や海中あるいは塩漬けの漬物の溶液中などにおいて検出されることがあるほか、尿路感染症の原因となることもある球形または卵型の形状をした乳酸菌の種族としてそれぞれ位置づけられることになります。
そして、それに対して、
棒状の形状をした乳酸菌のグループに位置づけられることになる代表的な細菌の種族としてはじめに挙げた
ラクトバチルス(Lactobacillus)と呼ばれる細菌の種族に属する乳酸桿菌は、前述したラクトコッカスなどと同様に、ヨーグルトや乳酸飲料などの乳製品の製造に用いられることが多い乳酸菌の種族であるのに対して、
最後に挙げた
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)は、別名ではビフィズス菌とも呼ばれていている乳幼児のなかでも特に母乳を飲んでいる乳幼児の腸内において多く存在する腸内細菌の一種として位置づけられることになると考えられることになるのです。
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次回記事:ビフィズス菌と乳酸菌の違いとは?生物学的な分類や利用できる栄養素の違いなどに基づく四つの主要な特徴と性質の違い
前回記事:海水を飲んでも水分補給ができない具体的な理由とは?生命を育む母なる海から死をもたらす塩の海への変遷の歴史
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