毒キノコに含まれる自然毒の代表的な種類とは?①比較的毒性の高い毒キノコに含まれる主要な毒成分の種類
以前に「毒キノコに分類される代表的な20種類のキノコとは?」の記事で書いたように、食中毒の原因となる毒キノコの種類のなかでも、
死に至る危険性もある猛毒を持つ毒キノコの種類や、死亡にまで至るケースは比較的少ないものの比較的食中毒の事例が多い毒キノコの種類としては、
担子菌類に分類されるドクツルタケ、タマゴテングタケ、シロタマゴテングタケ、ニガクリタケ、コレラタケ(ドクアジロガサ)、ドクササコ、ニセクロハツ、タマシロオニタケ、ドクヤマドリ、ツキヨタケ、クサウラベニタケ、カキシメジ、テングタケ、ベニテングタケ、イッポンシメジ、ワライタケ、オオワライタケ、スギヒラタケといった毒キノコの種類と、
子嚢菌類に分類されるカエンタケ、シャグマアミガサタケといった毒キノコの種類が挙げられることになるのですが、
このうち、前半の十種類の毒キノコに含まれている主要な毒成分の種類としては、以下で述べるような全部で八種類の毒素の名称が挙げられることになると考えられることになります。
猛毒御三家に分類される毒キノコに含まれる主要な毒成分の種類
①アマトキシン、②ファロトキシン
まず、はじめに挙げたドクツルタケやタマゴテングタケ、シロタマゴテングタケという毒キノコの猛毒御三家としても挙げられることになるテングタケ科に属する毒キノコに含まれていることが多い主要な毒成分としては、
アマトキシン(Amatoxin)やファロトキシン(Phallotoxin)といった毒素の種類が挙げられることになります。
また、
こうしたアマトキシンに分類される毒素の種類は、テングタケ科ではなくフウセンタケ科に分類される毒キノコの種類であるコレラタケ(ドクアジロガサ)に含まれている食中毒の原因となる主要な毒成分でもあるということが分かっているのですが、
こうしたアマトキシンやファロトキシンといった毒素によって引き起こされる食中毒においては、摂食後しばらくしてから下痢やけいれんといった比較的軽症の初期の中毒症状が現れるか、そのまま無症状のまま経過したのち、
その後、数日間かけて肝臓や腎臓の細胞が徐々に蝕まれていくことによって、肝不全や腎不全といった命に関わる重篤な中毒症状が引き起こされてしまうことになると考えられることになるのです。
その他の比較的毒性の高い毒キノコに含まれる主要な毒成分の種類
③ファシクロール
そして、その次に挙げたニガクリタケに含まれている毒性成分としては、ファシクロール(Fasciculol)と呼ばれる細胞における代謝の阻害や神経伝達の阻害を引きこする可能性のある毒素の種類が特定されているものの、致死性を示すような強力な毒性を持った毒素の種類の特定については、いまだ未解明のままとなっていると考えられることになります。
④クリチジン
また、その次のドクササコに含まれている毒性成分としては、クリチジン(Clitidine)と呼ばれる神経系や筋肉などに作用して硬直化を引き起こす毒素の存在などが判明しているのですが、その他の毒素の種類も含めて、それぞれの毒素が全体的な中毒症状の発現にどのように関わっているのか?といったことについては、いまだ十分には解明されていないと考えられることになります。
⑤2-シクロプロペンカルボン酸
そして、その次のニセクロハツに含まれている主要な毒成分としては、2-シクロプロペンカルボン酸(Cycloprop-2-ene carboxylic acid)と呼ばれる化学物質の存在が挙げられることになり、
こうした2-シクロプロペンカルボン酸と呼ばれる化学物質は、細胞に対して直接毒性を発揮することはないものの、体内において生じることになる化学反応の過程において、筋肉組織に対して溶解反応を引き起こすことによって、横紋筋融解症といった重篤な中毒症状を引き起こす危険性があると考えられることになるのです。
⑥アリルグリシン
また、その次に挙げたタマシロオニタケに含まれている主要な毒成分としては、アリルグリシン(Allylglycine)と呼ばれる毒素の種類が挙げられることになり、
こうしたアリルグリシンによって引き起こされる食中毒においては、細胞内における酵素の代謝が阻害されることによって、正常な神経伝達が阻害されることになるといった神経系の中毒症状が引き起こされることになると考えられることになります。
⑦イルジン
そして、その次のツキヨタケに含まれている主要な毒成分としては、イルジン(Illudin)と呼ばれる毒素の種類が挙げられることになり、
こうしたイルジンを原因とする食中毒においては、下痢や嘔吐や腹痛といった消化器系を中心とする中毒症状が引き起こされることになると考えられることになります。
⑧ボレベニン
そして、その次のドクヤマドリに含まれている主要な毒成分としては、ボレベニン(Bolevenine)と呼ばれるタンパク質性の毒成分の種類が挙げられることになり、
こうしたボレベニンなどのタンパク質性の毒成分によって引き起こされる食中毒においては、下痢や嘔吐や腹痛といった消化器系の中毒症状のほか、発熱や腎障害といった症状も引き起こされるケースがあると考えられることになるのです。
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前回記事:フグ毒に分類される代表的な四種類の毒素の種類とは?パリトキシンと呼ばれるテトロドトキシンをも超える猛毒の神経毒
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