リビドーの質と量の違いに基づくフロイトの心理学における六つの性格類型のまとめ、リビドー過剰型と抑制型への細分化

前回の記事では、フロイトの弟子であるライヒによって提唱された人間の心の根底にある性的なエネルギーとしてのリビドーの発現のあり方という観点から見た衝動的性格・神経症的性格・性器期的性格という三つの性格分類のあり方について取り上げましたが、

こうしたライヒによる性格分類のあり方においては、衝動的性格は自らの欲望や衝動を抑制することができないリビドーの過剰性によって、神経症的性格は自らの欲求や衝動を過度に抑制しようとするリビドーの抑圧によってそれぞれ形成されていく性格類型として位置づけられていくことになります。

そして、こうしたリビドーの過剰性や抑圧性といった量的な観点から見た場合、前々回の記事で取り上げたフロイトの心理学における口唇期的性格・肛門期的性格・エディプス期的性格という三つの性格分類のあり方についても、

そうしたリビドーの発現のあり方量的に過剰であるのか、それとも量的に抑制されているのかという違いに基づいて、さらに二通りずつのパターンに分けられていくことになると考えられ、

それは、まとめていくと以下で述べるような全部で六つの性格類型へと区分していくことができると考えられることになるのです。

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口唇期的性格・肛門期的性格・エディプス期的性格という三つの性格分類のリビドー過剰型と抑制型という二つの区分への細分化

まず、前々回の記事でも取り上げたように、フロイトの心理学における三つの性格分類のうちの最初に挙げられている口唇期的性格において共通する性質としては、

おしゃべり食いしん坊甘いもの好き、さらには、愛煙家酒飲みといった口やくちびるが主体となる欲求に関わる特徴や、他者に対する依存心の強さなどがが挙げられることになります。

そして、こうした口唇期的性格におけるリビドーの発現のあり方が量的に過剰となる形で現れた場合、それは社交的で楽天的な性格へとつながっていくことになるのに対して、

そうした口唇期的なリビドーのあり方が量的に抑圧されていく場合には、自分が心理的に依存している他者からの愛情の喪失や裏切りを過度に恐れることによって、抑うつ的で猜疑心の強い性格が形成されていくことになると考えられることになります。

そして、

その次に挙げられている肛門期的性格において共通する性質としては、

肛門や泌尿器における生理的な欲求のコントロールに対する執着の強さがお金や時間の管理に対する執着心の強さへと投影されていくという点が挙げられることになります。

そして、こうした肛門期的性格におけるリビドーの発現のあり方が量的に過剰となる形で現れた場合、それは社会的な規範やルールを無視してでも自分の意志を押し通そうとする頑固で強情な性格へとつながっていくことになるのに対して、

そうした肛門期的なリビドーのあり方が量的に抑圧されていく場合には、そうした社会的な規範やルールを重視して自らの行動を強く律していく完璧主義的で几帳面な性格が形成されていくことになると考えられることになります。

そして、

最後に挙げられているエディプス期的性格において共通する性質としては、

エディプス期において現れることになる原初的な性愛感情をめぐる心理的な葛藤と抑圧の経験から、自分自身が持つ男性あるいは女性としての性質という性別的な特徴への強い執着が生じていくと同時に、

そうした性的な要素の強調や抑制を通じて自らの心の内にある葛藤や弱さを否定していこうとする力が働くことによって、積極的でリーダーシップを発揮する傾向が強い一方で、自己顕示欲虚栄心、他者に対する攻撃性や支配欲が強い人格が形成されていく傾向が見られるといった点が挙げられることになります。

そして、こうしたエディプス期的性格におけるリビドーの発現のあり方が量的に過剰となる形で現れた場合、自らが持つ性的な性質がさらに強化されていくことによって、自分の男らしさや女らしさを強調する性格へとつながっていくことになるのに対して、

そうしたエディプス期的なリビドーのあり方が量的に抑圧されていく場合には、自らが持つ性的な性質が強く抑圧されていくことによって、自分自身の性的な特徴を否定することによって無性的あるいは中性的な振る舞いを好む性格や、

自分の本来の性別とは反対の性別的な特徴を強調する性格、すなわち、男性ならば女性的な振る舞いを、女性ならば男性的な振る舞いを好む性格が形成されていくことになると考えられることになるのです。

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リビドーの質と量の違いに基づくフロイトの心理学における六つの性格類型のまとめ

以上のように、

フロイトの心理学において提示されている口唇期的性格・肛門期的性格・エディプス期的性格という三つの性格分類のあり方は、より細かく分けていくと、リビドーの量的な発現のあり方の違いに応じて、

口唇期的性格のリビドー過剰型リビドー抑制型肛門期的性格のリビドー過剰型リビドー抑制型エディプス期的性格のリビドー過剰型リビドー抑制型という全部で六つの性格類型へと区分していくことができると考えられることになります。

そして、

こうしたフロイトの心理学におけるリビドーの質と量の両方の観点から見た六つの性格類型のあり方のそれぞれの具体的な特徴について一言でまとめると、

口唇期的性格については、おしゃべり食いしん坊甘いもの好き愛煙家酒飲み、他者に対する依存心の強さといった共通する性質のほかに、

口唇期的性格のリビドー過剰型においては社交的で楽天的な性格が、
口唇期的性格のリビドー抑制型においては抑うつ的で猜疑心の強い性格がそれぞれ形成されていくことになり、

肛門期的性格については、お金や時間の管理に対する執着心の強さや、倹約家あるいはケチといった共通する性質のほかに、

肛門期的性格のリビドー過剰型においては頑固で強情な性格が、
肛門期的性格のリビドー抑制型においては完璧主義的で几帳面な性格がそれぞれ形成されていくことになり、

エディプス期的性格については、積極性やリーダーシップの強さ自己顕示欲や虚栄心、他者に対する攻撃性や支配欲といった共通する性質のほかに、

エディプス期的性格のリビドー過剰型においては自分自身の男らしさや女らしさを強調する性格が、
エディプス期的性格のリビドー抑制型においては無性的・中性的あるいは、男性ならば女性的な振る舞いを、女性ならば男性的な振る舞いを好む性格がそれぞれ形成されていくことになると考えられるのです。

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次回記事:食欲や排泄欲といった基礎的な欲求とリビドーとの関係とは?人間の心の根源にある普遍的な生命エネルギーとしてのリビドー

前回記事:フロイトの弟子ライヒのリビドーの性的側面が強調された性格分類とは?衝動的性格・神経症的性格・性器期的性格の具体的特徴

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