ユングの分析心理学とは何か?フロイトとユングの決別による新たな心理学の分野の確立、深層心理学とは何か?⑥

分析心理学とは、20世紀前半のスイスの心理学者であったカール・グスタフ・ユングによって創始された心理学の学派であり、

それは、人間の心の仕組みについて研究する学問分野である心理学の中でも、特に、無意識といった深層心理の領域についての探究を行う学問分野である深層心理学の一部門として位置づけられることになります。

そして、ユングがこうした分析心理学と呼ばれる新たな心理学の分野を切り拓いていくにあたっては、

その背景として、彼が自らの心理学理論を発展させていくにあたって深い影響を受けた同時代の心理学者であるフロイトとの関係が重要な要素として挙げられることになります。

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フロイトの自由連想法からユングの連想実験への発展

冒頭でも述べたように、分析心理学(Analytical Psychologyとは、20世紀前半のスイスの心理学者および精神科医であったカール・グスタフ・ユングCarl Gustav Jung、1875年~1961年)が創始した深層心理学の学派ということになるのですが、

その学派の創始者であるユングは、スイスのバーゼル大学において精神医学を学んだのち、

自分と同じスイスの精神科医であり、深層心理学という言葉を学術用語としてはじめて提唱した人物であるともされているオイゲン・ブロイラーEugen Bleuler、1857年~1939年)に師事し、彼のもと、スイスのチューリヒ大学において心理学の研究を進めていくことになります。

そして、ユングは、

そうしたチューリヒ大学時代の心理学研究において、フロイトの精神分析学における自由連想法(Free Associationと呼ばれる心理療法の手法を発展させた

連想実験(Association Experimentと呼ばれる心理分析の方法を確立させていくことによって、徐々にその頭角を現していくようになっていきます。

フロイトの自由連想法の段階においてもすでに、連想ゲームのような言葉の自由な想起の連鎖を通じて無意識的な心理過程の流れを見いだしていく心理学的な技術はある程度確立されていたのですが、

ユングの連想実験においては、そうしたフロイトの自由連想法における手法に加えて、被験者が一つの単語から別の単語を連想するまでにかかる時間を測定することなどを通じて、

平均的な応答時間よりも、応答に異常に長い時間がかかっている連想に特に注目していくことによって、そうした特定の単語の連想関係の背後にある無意識的なコンプレックスをあぶり出していくというように、

統計的な処理が可能なより客観的な形での心理分析の技術が確立されていくことになります。

そして、

心理療法の技術的な面においては、こうしたユングが確立した連想実験と呼ばれる心理分析の手法が中核となることによって、のちに分析心理学と呼ばれることになる新たな心理学の分野が切り拓かれていくことになったと考えられるのです。

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精神分析学への接近とフロイトとの決別による分析心理学の確立

以上のように、

ユングは心理学者としてのキャリアの初期の段階にあたるチューリヒ大学の助手として研究を行っていた頃から、

自由連想法無意識の領域への観念の抑圧といったフロイトの精神分析学の理論からの多大な影響を受けることによって自らの心理学研究を進めてきたが考えられることになるのですが、

その後、ユングは、1909年に大学を離れて、精神科医として個人開業した際に、彼のチューリヒ大学時代の師でありフロイトの良き理解者でもあったオルゲン・ブロイラーを通じてフロイトと直接はじめて対面することになります。

そして、その後、フロイトとユングの二人は、

フロイトの精神分析学を通じてヒステリーや精神分裂病(現在の統合失調症)など精神疾患の治療を進めていく研究を共に進めていくなど、互いに親交を深めていくことになり、

1911に設立された国際精神分析協会の設立の際には、フロイトの代わりにユングが初代会長としての地位につくなど、フロイトからも深い信頼を得るようになっていくことになるのですが、

人間におけるあらゆる心的活動の原動力となるエネルギーであるリビドーや、人間の心における無意識の構造の捉え方などにおいて二人の間の見解に大きな相違点が目立つようになってくると、

1913、ユングは自らの新しいリビドー解釈に基づく心理学理論を新たに分析心理学と名付けて公表することによって二人の間の心理学的見解の違いが決定的となり、

さらに、その翌年の1914、ユングが自ら国際精神分析協会を脱退してしまうことによって、フロイトと完全に袂を分かつことになります。

つまり、

こうした1913におけるユングの新たな心理学理論の公表と、1914におけるユングの国際精神分析協会の脱退という二つの出来事を通じたフロイトの精神分析学からの決別をもって、

ユングの分析心理学と呼ばれる新たな心理学の学問分野が確立されることになったと考えられるのです。

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次回記事:ユングの分析心理学とフロイトの精神分析学の違いとは?無意識の構造とリビドーの捉え方の相違点、深層心理学とは何か?⑦

前回記事:オバマ前大統領のマケイン上院議員の葬儀における追悼演説の全文和訳のまとめ

このシリーズの前回記事:自我と超自我とエスという人間の心の三つの部分の具体的な特徴と性質とは?フロイトの精神分析学③、深層心理学とは何か?⑤

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