心理学における「解離」の定義と日常的な具体例そして二重人格や多重人格といった病的な状態への進展のあり方とは?防衛機制とは何か?⑲

前々回前回の記事を通じて詳しく考察してきたように、「分離」や「情動分離」と呼ばれる自我の防衛機制のあり方においては、

それが「知性化」による観念化を通じた意識の領域の内における思考と感情の再統合へと向かっていくようなことがない限りは、

いったん無意識の領域の内へと抑圧されていく形で通常の意識における思考や認識のあり方から分離された感情や情動は、半永久的に無意識の領域にとどまり続けることになると考えらることになるのですが、

前回取り上げた強迫神経症の例などを見てもわかる通り、こうしたケースにおいては、無意識の領域の内に閉じ込められ続けている負の感情のエネルギーが新たな心理的ストレスとなることによって、

「抑圧」や「情動分離」の力が働いている本人の心全体の安定が脅かされていく場合もあると考えられることになります。

そして、

こうした「抑圧」や「情動分離」といった自我の防衛機制の働きがさらに強く働き続けていくことによって、こうした心の状態がより進展していってしまうようなケースにおいては、

それは、「解離」と呼ばれるような自分自身の人格全体に対してより深刻な影響をもたらす危険性もあるより複雑な防衛機制のあり方へと進展していってしまうことになると考えられることになるのです。

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心理学における「解離」の定義と日常的な具体例とは?

まず、心理学の分野においては、「解離」(Dissociationと呼ばれる概念は、一般的には、

人間の心が過度で深刻なストレス状況にさらされた時などに、意識の領域の内から自分自身の人格を形成している記憶や感情の一部を分離させて自分の人格が存在する領域とは別の心の領域の内へと隔離してしまうことによって自らの心を守ろうとする自我の無意識的な防衛機制の働きのことを意味する概念、

あるいは、そういした防衛機制の働きによって、人間の心全体として統合性が失われてしまう状態のことを意味する概念として定義されることになると考えられることになります。

そして、

こうした「解離」と呼ばれる心の働きは、日常生活のレベルにおいても、極めて弱い形ではあるものの実際にある程度機能している場合があると考えられ、

例えば、

旅行などの際に、電車などの交通機関を使って長距離を移動することになった場合、何もすることがない退屈な状態で長時間過ごしているときなどに、

別に寝ていたというわけではないのに、ふと気づくと、いつの間にか目的地に着いていて、まるで時間が飛んでしまったかのうように感じられるといったケースや、

過度な飲酒などによって意識の状態に変性をきたして羽目を外して大騒ぎしてしまった場合などに、

意識を失うほど酔っていたわけではないものの、翌朝になると前日の記憶がまったくないことに気づいて困ってしまうといったケースなども、

広義の意味においては、こうした「解離」と呼ばれる心の働きがある程度関係していると考えることによって心理学的に説明することができる現象であると考えられることになるのです。

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二重人格や多重人格といった病的な状態への「解離」の進展

それに対して、

こうした「解離」と呼ばれる心の働きがより本格的に機能していく場合には、そうした自分自身の心の内における意識や人格の変性がより永続的で不可逆的な形で進展していってしまうことになると考えられ、

そうしたケースでは、自分の意識や人格の内から分離されて永続的に隔離されていくことになった感情や記憶は、そうした無意識の領域の内で隔離された状態のまま一定の力をもって徐々に成長していくことになると考えられることになります。

そして、

「情動分離」において、無意識の領域の内に抑圧されていた分離された感情や情動が新たな心理学的ストレスとなることで自分自身の心全体の状態を不安定にすることによって、それが強迫神経症などの遠因となることがあるのと同様に、

「解離」と呼ばれる防衛機制の働きによって無意識の領域の内において隔離された感情や記憶も、自分自身の心全体の安定性や統合のあり方により深刻な形で悪影響を及ぼしていくことになると考えられるのですが、

「解離」の場合には、しばしば、そうした隔離された感情や記憶が無意識の領域だけではなく、直接的に意識の領域にまで影響を及ぼしていくこともあると考えられ、

そのようなケースにおいては、

無意識の領域の内に抑圧されていたはずの隔離された感情や記憶がまるで当人の本来の人格とは別の独立した意識を持った一つの人格であるかのような振る舞いを見せることによって、

二重人格や多重人格といった状態に代表される解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorderと呼ばれるようなより深刻な精神障害へと進展していってしまうケースもあると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:心理学における防衛機制としての「分裂」の定義と具体例そして「分離」といった他の防衛機制のあり方との違いとは?防衛機制とは何か?⑳

前回記事:強迫神経症と「抑圧」そして「情動分離」との関係とは?無意識の領域における思考と感情および行動と感情の分裂、防衛機制とは何か?⑱

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