心理学における防衛機制としての「分裂」の定義と具体例そして「分離」といった他の防衛機制のあり方との違いとは?防衛機制とは何か?⑳

このシリーズの前回までの一連の記事で書いてきたように、心理学における「分離」や「解離」といった防衛機制の働きにおいては、

人間の心は過度な心理的ストレスなどから自分自身の心を守るために、そうしたストレス状況の認識に関わる記憶や感情の一部を自らの意識から切り離して、無意識の領域の内へと抑圧していくことになると考えられることになります。

そして、

特に、後者の「解離」と呼ばれる心の働きにおいては、そうした分離された記憶や感情の一部が自立化して、自分自身の本来の人格とは別の独立した意識を持った一つの人格であるかのような振る舞いを見せることによって、

二重人格や多重人格などとして知られる解離性同一性障害などの深刻な精神障害へと進展してしまうケースもあると考えられることになるのに対して、

前者の「分離」と呼ばれる防衛機制のあり方においては、そうした意識の領域から分離された感情や観念は、永続的に無意識の領域の内で抑圧され続けていくことになると考えられるのですが、

こうした「分離」や「解離」と呼ばれる心の働きと似通った性質を持った防衛機制の種類としては、そのほかに、「分裂」と呼ばれる心の働きも挙げることができると考えられることになります。

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心理学における防衛機制としての「分裂」の定義とその具体例とは?

詳しくは、「防衛機制としての「分離」および「情動分離」の定義」の記事で書いたように、「分離」(Separationと呼ばれる心の働きにおいては、

自分が置かれた過酷な状況に対する認識やそれに対応する行動の内から、自分自身の心の安定を脅かす悪いイメージを持った負の感情や情動の部分だけが取り去られ無意識の領域の内へと抑圧されていくことによって、

そうした状況や行為がもたらす心理的ストレス対する防衛がなされていくことになると考えられることになります。

そして、それに対して、

心理学における防衛機制としての「分裂」(Splitting と呼ばれる心の働きは、

認識の対象となる物事についての良い側面と悪い側面とを区別して互いに分け隔てていくことによって、自分の認識における良いイメージが悪いイメージによって否定されて脅かされることを防ぎ

それによって自分自身の心の安定性を保とうとする心の働きとして定義されることになると考えられることになり、

具体的には、

家族や恋人といった自分にとって関わりの深い人物に対する悪いイメージを抱きたくないがゆえに、そうした自分にとって大切な人物が持っている悪い部分や負の側面を無視して見ないようにしてしまうことによって、

そうした人々が行う悪事を見逃してしまったり、場合によっては、そうした悪事に自分自身も巻き込まれて加担してしまったりするケースや、

自分自身が持っている人格の欠点や反省すべき悪い部分を認めずに、良い部分だけを受け入れようとすることによって、そうした自分自身が持っている悪い性質を周りの人間に対して投影して責任転嫁を行ってしまうようなケースがなどが、

こうした「分裂」と呼ばれる自我の防衛機制の働きが関わる認識や行動の具体例として挙げることができると考えられることになるのです。

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「分裂」と「分離」の防衛機制の働きにおける共通点と相違点とは?

そして、

こうした「分離」と「分裂」と呼ばれる心の働きにおいては、どちらの場合においても、

過酷な状況に対する負の感情や情動、あるいは、認識対象についての悪いイメージといった自分自身の心の内部における心的要素の分断が進められていくことになるといった点において、

こうした両者の心の働きは、互いに共通する性質を持った防衛機制のあり方として捉えることができると考えられることになるのですが、

その一方で、

前者の「分離」と呼ばれる心の働きにおいては、そうした心理的ストレスの強い過酷な状況と対面していくなかで自分自身の心の内部に生じた感情が分断の対象となっているのに対して、

後者の「分裂」と呼ばれる心の働きにおいては、自分が他者や自己などを含めた様々な認識対象に対して抱いている外的なイメージが分断の対象となっているといった点において、

両者の心の働きの間には明確な相違点も存在すると考えられることになります。

つまり、

「分離」と「分裂」と呼ばれる二つの防衛機制の働きの性質や特徴の違いについては、自らの心を守るために行われる心理的な分断が、

自分自身の心の内において生じる内部感情の側において進んでいくことになるのか、それとも、自分自身の心の外へと対象化されたイメージの側において進んでいくことになるのかという

心理的な分断の方向性の違いという点において、両者の防衛機制の働きの間の具体的な性質の違いを見いだすことができると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:心理学における「合理化」と「知性化」の違いとは?現状の認識の側を歪める「合理化」と自分自身の心の側を変化させる「知性化」の相違点、防衛機制とは何か?㉑

前回記事:心理学における「解離」の定義と日常的な具体例そして二重人格や多重人格といった病的な状態への進展のあり方とは?防衛機制とは何か?⑲

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