防衛機制とは何か?①無意識の衝動や感情を統制するバックグラウンドシステムとしての自我の無意識的な働きに基づく心理的な防衛機能

以前に「自我と超自我とエスの具体的な特徴と性質」の記事で書いたように、フロイトの心理学においては、

人間の心のあり方は、意識前意識無意識、あるいは、自我超自我エスと呼ばれる三つの心の領域から構成される心理学な階層構造と、そうした心の各領域の同士間に働く相互的な影響関係によって説明されていくことになります。

そして、

こうした三つの心の領域から構成される人間の心の階層構造の内部においては、

人間の心の根底に存在する無意識的な思念の力を司るエス(イド)と呼ばれる心の領域から、意識や自我の領域へと向けて様々な欲求や衝動が突きつけられていくことになるのですが、

それに対して、

意識や自我の側も、こうした無意識やエス(イド)と呼ばれる心の領域から突きつけられてくる様々な欲求や衝動に対して、そのまま言いなりになってしまうような無防備な状態にあるわけではなく、

そうした様々な欲求や衝動を現実の状況に合わせて適切に処理していくために、防衛機制と呼ばれるある種の心理的な防衛システムを構築していくことになります。

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無意識のレベルにおける衝動や感情を統制するバックグラウンドシステムとしての心理的な防衛機能

冒頭でも述べたように、

人間の心の階層構造の内部においては、周囲の環境や人間関係などの外界の状況や自らの心身の内的な状況の変化に応じて、

無意識やエス(イド)と呼ばれる心の領域から、意識や自我の領域に対して、「~が欲しい」「~したい」といった本能的欲求や衝動的欲求、あるいは、「~したくない」「~は嫌だ」といった不安や恐怖といった原始的な強い感情などが突き上げられてくることになるのですが、

それに対して、

意識や自我の側においては、そうした無意識やエスの領域から突きつけられる激しい衝動や感情を直接受け止めることによって、自らの人格に障害や崩壊をきたしてしまうことや、そうした本能や衝動のままに暴走してしまうことなどがないように、

そうした無意識の領域における強い衝動や感情を、自我にとってなるべく害の少ない形で処理していくための防衛手段として、防衛機制(defence mechanismと呼ばれるシステムが構築されていくことになります。

そして、

こうした防衛機制と呼ばれるシステムは、それが無意識の領域に存在する自我にとって有害な衝動や感情が自我自身によって直接的に意識されることを未然に防ぐことを目的とした心理的な防衛システムであると考えられる以上、

それは、自我の側からの働きかけによって無意識の領域にある様々な衝動や感情を統制しようとするシステムでありながら、そうした防衛機制と呼ばれるシステム自体は、自我においては直接的には自覚されない形で構築されていくことになると考えられることになります。

つまり、

こうした防衛機制と呼ばれるシステムとは、それが人間の意識的な選択や行動を司る自我の自我の機能の一つとして位置づけられるシステムでありながら、それ自身は、自我の表層的な領域である意識の領域においては通常の場合は自覚されることがない自我における無自覚的な心理的機能として位置づけられることになり、

それは言わば、

自我のメインシステムにあたる意識の領域の背後において常に機能しているバックグラウンドシステムのような存在として捉えることができると考えられることになるのです。

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現実の状況に合わせた適切な処理を行う適応機制としての防衛機制の働き

以上のように、

こうしたフロイトの心理学などにおいて登場する防衛機制(defence mechanismと呼ばれる概念は、一言でいうと、

外界の環境や心身の変化に対応して沸き起こる無意識のレベルにおける不安や恐怖欲望や衝動から自分自身の心を守るために、自我の無意識的な働きによって構築される心理的な防衛システムのことを意味する概念であると考えられることになります。

そして、

こうした防衛機制と呼ばれる心理的な機能においては、通常の場合、そうした無意識のレベルで沸き起こる様々な衝動や感情が自我や意識のレベルにおいて悪影響を及ぼさない状態へと現実の状況に合わせた適切な形で処理されていくことになるので、

それは、現実の状況にうまく適応するように自らの心を無意識的にコントロールする心理的な機能としても捉えられるという意味において、適応機制と呼ばれる概念として言い表されることもあるのですが、

詳しくは、また次回以降の記事で改めて考察していくように、

こうした防衛機制によって生じる様々な心理的な防衛のあり方のなかには、上述したような現実の状況に合わせてうまく適応できるようになる適応的な防衛のあり方のほかに、

長期的には当人の心をより不安定な状態へと移行させていくことによって、現実における全体的な環境に対して適応することをむしろ難しくさせていってしまうことになる不適応的な防衛のあり方も存在すると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:アンナ・フロイトによる防衛機制の十種類の分類とそれぞれの概念の具体的な定義とは?防衛機制とは何か?②

前回記事:自我リビドーと対象リビドーの違いとは?③内向的性格と外交的性格の分類とリビドーの方向性との関係

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