ノロウイルス対策の概要と心構えを総まとめすると?ノロウイルス対策⑭
今回は、これまでの「ノロウイルス対策」の総まとめをおこない、
ノロウイルスの予防対策の目標とは何なのか、何を目標に、どういう方針で対策をおこなえばいいのか、などについてしっかりと確認していきたいと思います。
ノロウイルス対策の概要をまとめると?
これまでのシリーズ「ノロウイルス対策」の内容を、簡略に概要だけまとめると、
以下のようになります。
ノロウイルスは、1年中感染がみられる一般的な感染症で、接触感染、飛沫感染、食品感染(=食中毒)という3つの感染ルートがあります。
ノロウイルスを徹底的に排除するためには、
ゴーグルまで着けるような完全防護と、患者が移動するごとの煩雑な除染作業などが必要になってしまいますが、
医療機関やレストランなどの場合ならともかく、
家庭内では、そのような徹底した予防対策をおこなうのは無理です。
そこで、家庭内でノロウイルス対策に前向きに取り組むためには、
一つでもミスがあればダメ、という完璧主義ではなく、
ノロウイルス対策の目標を、次の3段階の目標のように大きく分けて、
全体を俯瞰するように捉えておくことが重要です。
家庭内におけるノロウイルス対策の3段階の目標とは、
第1段階目=ウイルスの排除、
第2段階目=ウイルスの足止め、
第3段階目=病気からの回復、
という3段階の目標です。
このように、ノロウイルス対策の目標を大きく俯瞰して捉えておくことで、
第1段階の目標がうまくいかなくても、
その分、第2、第3段階で頑張ろうと、前向きに捉え直すことができ、
心に余裕をもって、対策に取り組むことができるでしょう。
そして、家庭内での生活に無理のない、ノロウイルス対策の具体案についてですが、
ノロウイルスの第1感染ルートの、接触感染を減らすためには、
患者の部屋に入る時はマスクとビニール手袋を着用する、トイレに入るときもマスクを着用して入る、ということで、ある程度十分な予防効果が得られます。
また、第2感染ルートの飛沫感染を減らすためには、
作業時のマスクの着用と、付着したウイルスを皮脂ごと洗い流し、蛇口の取っ手もシャボンでしっかり洗う、手順をしっかり守った手洗いが、有効な予防対策となります。
そして、第3感染ルートの、食品感染(食中毒)を減らすためには、
カキなどの二枚貝は、85℃以上で1分間以上加熱することが必要で、
調理器具・食器類は、油汚れに付着したウイルスをこそぎ落とすように、
洗剤や石鹸でしっかり洗うことが大切です。
ノロウイルスの患者を看護するうえで重要なのは、水分補給、身体の保温と体力の温存です。1時間に1回はコップ半分くらいの水分を補い、水分が急激に失われている場合は、生理的食塩水や経口補水液(ORS)で水分補給をおこないます。
部屋を暖めたり暖かい服装をして身体の保温をはかることと、患者になるべく安静にしてもらって体力の温存をはかることも大切です。
完全な感染予防対策を重視するあまり、家庭内での人間関係に亀裂を生むことになってはいけません。通常の看護を、普通におこなうなかで、相手をこまめに看護し、見守ってあげることで、いたわりの気持ちが相手に伝わり、病気の看護を通じて、家庭内の人間関係もかえって良好になるでしょう。
ノロウイルス対策の心構えを総まとめすると?
有効な予防対策が全く立てられずに、
ノロウイルスの同時発症で家庭全体が機能不全に陥り、地獄絵図になってしまうのも、
反対に、一つのミスも許さない完璧主義の予防対策にはしりすぎて、
家族全体がキリキリしてしまったり、
疎外感が高まることで、家族関係にまで亀裂が入ってしまうのも、
また、先を見据えた、落ち着いた心構えで予防対策にあたり、
生活に無理のないバランスのとれた予防対策と看護法を実践して、
うまく乗り切ることができるのも、
すべては、
ノロウイルス対策を立てるときの方針と、それを具体的に実行する心構え次第なのです。
このシリーズの第4回・第5回でも考えたように、事前に一度、
ノロウイルス対策の目標とは何なのか、といった本質論にまで立ち返って、
何を目標に、どういう方針で対策をおこなったらよいのか、
しっかりと、腰を据えて考えておくといいと思います。
そして、そのうえで、
いざという時に、その目標と方針に沿った予防対策と看護法を実際におこなうことができるように、必要な備蓄品を予め用意し、
一つ一つの予防対策や看護の手順や流れについて、具体的にイメージしながら、確認しておくようにしましょう。
そうすることで、
実際に、ノロウイルスに対峙したときに、
落ち着いた心構えで、
そのときそのときの家族全体の状況に適した対応をとることができ、
よりスムーズに、
予防対策、物理的な看護、心理的なサポートを、おこなうことができるようになるでしょう。
ノロウイルスの予防対策とその看護を通じて、
無理なく、心にゆとりをもった対策を行うことができれば、
お互いを思いやり、困難を一緒に乗り越えることで、
「災い転じて福となる」という諺のようになり、
ノロウイルス対策を、
生活を見つめ直し、家族の絆まで深める、
一つのきっかけにしていくこともできるのではないでしょうか。
まとめ
家庭内でノロウイルスの感染者がでてしまった場合、
家庭全体が機能不全に陥り、地獄絵図になってしまうのも、
完璧主義の予防対策にはしりすぎて家族関係にまで亀裂が入ってしまうのも、
バランスのとれた予防対策と看護法を実践してうまく乗り切ることができるのも、
すべては、
ノロウイルス対策を立てるときの方針と、それを具体的に実行する心構え次第です。
ノロウイルス対策の目標と方針に沿った予防対策と看護法を実際におこなうことができるように、必要な備蓄品を予め用意し、
一つ一つの予防対策や看護の手順や流れについて、具体的にイメージしながら、確認しておくようにしましょう。
そうすることで、よりスムーズに、予防対策、物理的な看護、心理的なサポートを、おこなうことができるようになるでしょう。