真核生物と原核生物の違いとは?①細胞の内部構造と大きさの違いと単細胞生物と多細胞生物との関係
真核生物とは、一言でいうと、細胞の内部に核膜を持ち、核と細胞質が明確に区分されている細胞によって構成される生物のことを意味する言葉であり、
それに対して、
原核生物とは、核膜を持たず、細胞内にむき出しの状態でDNAが存在する細胞によって構成される生物のことを意味する言葉であると考えられることになります。
そして、
こうした真核生物と原核生物という二種類の生物の分類のあり方において、
人間や哺乳類、鳥類、魚類などの通常の動物や、種子植物やシダ植物などの通常の植物は、すべて真核生物に分類されることになるのに対して、
原核生物には、納豆菌やビフィズス菌、黄色ブドウ球菌といった細菌類や、広義における藻類にも分類される藍藻類(シアノバクテリア)などが分類されることになるのですが、
今回は、こうした真核生物と原核生物の両者に分類される生物のより具体的な特徴のあり方の違いについて、さらに詳しく考えていきたいと思います。
真核生物と原核生物における細胞の内部構造の違い
冒頭でも述べたように、
真核生物と原核生物の最も主要な特徴の違いとしては、
真核生物の細胞には、細胞の遺伝情報を担う細胞核と、細胞内のその他の部分である細胞質との間に、核膜と呼ばれる二重膜構造を持った境界膜が存在し、
細胞分裂を行う際などの特殊な状態を除いて、細胞の遺伝情報を担うDNAが配置された染色体はすべて、そうした核膜によって覆われた細胞核の内部に格納されて厳重に保護されているのに対して、
原核生物の細胞には、そうした真核生物の細胞構造に見られる核膜と呼ばれる仕切り自体が存在せず、DNAが配置された染色体は、常にむき出しの状態で、細胞の中央部分を浮遊しているという点が挙げられることになります。
そして、
真核生物の細胞の内部には、細胞核の他にも、ミトコンドリアや、ゴルジ体、リソソームといった細胞核と同じような生体膜によって覆われた細胞小器官が多数存在しているのですが、
それに対して、
原核生物の細胞の内部には、そうした細胞の内部でそれぞれの組織や器官を細かく区分けしているような生体膜自体が存在しないので、
原核生物には、核膜が存在しないのと同様に、ミトコンドリアやゴルジ体やリソソーム、あるいは、植物細胞における葉緑体といった細胞小器官も存在しないと考えられることになります。
真核細胞と原核細胞の大きさの違いと単細胞生物と多細胞生物との関係
また、
こうした細胞の内部構造の複雑性の差から、真核生物の細胞と原核生物の細胞との間には、細胞の大きさ自体にも大きな違いが見られることになり、
原核生物の細胞、すなわち、原核細胞の大きさは、だいたい直径1~5マイクロメートル(0.001~0.005ミリメートル)程度であるのに対して、
真核生物の細胞である真核細胞の大きさは、だいたい直径30マイクロメートル(0.03ミリメートル)前後であるとされていて、
両者の細胞の大きさは、直径の長さにして10倍程度、
体積の大きさにして10×10×10、つまり、およそ1000倍程度の規模の違いがあると考えられることになるのです。
そして、
こうした比較的単純で小規模な構造をした原核細胞からは、複雑な構造を持った多細胞生物が構成されることはなく、それらの細胞はすべて単細胞生物となるのに対して、
より複雑で大規模な構造をした真核細胞からは、単細胞生物だけではなく、様々な多細胞生物も構成されていくことになります。
逆に言えば、
地球上に存在する単細胞生物は、ミドリムシやアメーバ、ゾウリムシといった真核生物に分類されるケースと、細菌類や藍藻類といった原核生物に分類されるケースというの二通りのケースがあるのに対して、
人間が日常的に目にする動物や植物といった地球上に存在するすべての多細胞生物は、そのすべてが核膜と細胞小器官が存在する真核細胞によって構成される真核生物に分類されることになると考えられることになるのです。
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以上のように、
真核生物と原核生物に分類される生物の具体的な特徴の違いとしては、
①真核生物は細胞の内部に核膜を持ち、核と細胞質が明確に区分されているのに対して、原核生物は細胞の内部に核膜を持たず、染色体がむき出しの状態で細胞の中央部分を浮遊している。
②真核生物の細胞にはミトコンドリアやゴルジ体やリソソーム、葉緑体といった細胞小器官が存在し、細胞内のそれぞれの組織や器官において役割の特化と作業の分業が進んでいるのに対して、原核生物の細胞にはそうした細胞小器官自体が存在しない。
③原核細胞の大きさはだいたい直径1~5マイクロメートル程度と比較的小規模な構造となっているのに対して、真核細胞の大きさはだいたい直径30マイクロメートル程度とより大規模な構造となっている。
④原核生物に分類される生物はすべて単細胞生物であるのに対して、真核生物に分類される生物には単細胞生物と多細胞生物の両方が含まれる。
といった点が挙げられることになると考えられることになるのです。
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次回記事:真核生物と原核生物の違いとは?②細胞内の生命活動のシステムの違いと家内制手工業と工場制手工業の関係との類比
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