雌雄同株と雌雄異株の違いとは?両者に分類される植物の種類の代表例とイチョウなどの雌雄異株における雌株と雄株の区別
雌雄同株と雌雄異株という生物学において用いられる二つの用語は、主に、雄花や雌花といった単性花をつける植物の分類のあり方を示す用語として用いられる概念であり、
雌雄同株と雌雄異株の違いについて、一言でいうと、
雌雄同株(しゆうどうしゅ)とは、単性花をつける植物の中で、雌花と雄花が同一株、すなわち、同一の個体に咲く植物のことを意味する言葉であるのに対して、
雌雄異株(しゆういしゅ)とは、単性花をつける植物の中で、雌花と雄花が別々の株、すなわち、互いに異なる別々の個体に咲く植物のことを意味する言葉として定義されることになります。
それでは、こうした雌雄同株と雌雄異株のそれぞれに分類される植物の種類としては、具体的にどのような種類の木や草花の名前が挙げられることになるのでしょうか?
雌雄同株と雌雄異株のそれぞれに分類される植物の種類
前々回の「両性花と単性花の違い①」の記事で書いたように、
一般的に、雄花と雌花の区別のある単性花をつける植物としては、裸子植物に分類される植物の名前が多く並べられることになるのですが、
そうした単性花をつける植物のうち、
雌雄同株に分類される植物の代表的な種類としては、
スギ(杉)、ヒノキ(檜)、アカマツ、クロマツ、カラマツ、エゾマツ、トウヒ、モミ、アスナロ、メタセコイア
といった裸子植物の木々の名前が挙げられるほか、
カキ(柿)、クリ(栗)、ハンノキ、ヘチマ、キュウリ、カボチャ、スイカ、トウモロコシ
といった一部の被子植物の木や作物の名前も、雄花と雌花が同一の個体において咲く雌雄同株の植物として分類されることになります。
それに対して、
雌雄異株に分類される植物の代表的な種類としては、
イチョウ、ソテツ、イチイ、ネズ、カヤ、マオウといったやはり裸子植物の木々の種類が挙げられるほか、
クワ(桑)、ヤナギ(柳)、ホウレンソウといった一部の被子植物も、雌花と雄花が別々の個体において咲く雌雄異株の植物として分類されることになります。
イチョウなどの雌雄異株の植物における雌株と雄株の区別
ちなみに、
上述したように、雌雄異株の場合、雌花と雄花は、それぞれ別々の個体において咲くこととなり、
一本一本の木において、雌花だけが咲く木と、雄花だけが咲く木のどちらかへと分かれていくことになるのですが、
そうした雌雄異株に分類される植物においては、一本一歩の木や草花の個体自体が、雌花だけが咲く雌株(めかぶ)と、雄花だけが咲く雄株(おかぶ)のどちらかに区別されることになります。
例えば、
こうした異性花をつける雌雄異株の植物の代表格であるイチョウにおいても、
イチョウの木は、種子の元となる胚珠を自らの内に形成し、花粉を受粉して種子を育てる役割を担う雌株と、花粉をつくる役割を担う雄株とに区別されることになるのですが、
このうち、独特の臭いがすることで有名なイチョウの種子にあたる銀杏(ぎんなん)ができるのは雌株のイチョウの木だけであり、
雄株のイチョウの木は、上空で人間の目ではほんとんど見ることができない形で細かい花粉を放出するだけということになります。
したがって、
単に景観を良くすることなどを目的として、街路樹などとしてイチョウの木が植林されるときには、意図的に、雄株のイチョウの木の方だけが好まれて植えられるケースも多くあり、
そうすることによって、頭上から突然降ってくる銀杏の実や、その独特の臭いに悩まされることなく、イチョウ並木の黄葉(こうよう)を楽しむことができるようになっているとも考えられることになるのです。
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以上のように、一般的に、
雌雄同株とは、単性花をつける植物において、雌花と雄花が同一株、すなわち、同一の個体に咲く植物のことを意味する言葉であるのに対して、
雌雄異株(しゆういしゅ)とは、単性花をつける植物の中で、雌花と雄花が別々の株、すなわち、互いに異なる別々の個体に咲く植物のことを意味する言葉であり、
雌雄異株においては、それぞれの個体において雌花と雄花のどちらが咲くのかによって、雌花だけが咲く雌株と、雄花だけが咲く雄株という個体同士の雌雄の区別が生じることになるという点に、
雌雄同株と雌雄異株という両者の生物学的な用語の具体的な意味の違いがあると考えられることになります。
そして、
雌雄同株と雌雄異株に分類される植物の具体的な種類については、
雌雄同株に分類される植物の種類としては、
スギ、ヒノキ、アカマツ、クロマツ、カラマツ、エゾマツ、トウヒ、モミ、アスナロ、メタセコイア、カキ、クリ、ハンノキ、ヘチマ、キュウリ、カボチャ、スイカ、トウモロコシ
といった木や作物の種類が挙げられるのに対して、
雌雄異株に分類される植物の種類としては、
イチョウ、ソテツ、イチイ、ネズ、カヤ、マオウ、クワ、ヤナギ、ホウレンソウ
といった植物の名前が挙げられることになるのです。
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次回記事:雌雄同株と雌雄異株の広義と狭義における意味の違いとは?シダ植物とコケ植物における雌雄同株と雌雄異株の分類
前回記事:両性花と単性花はどちらの方がどのくらい多いのか?、両性花と単性花の違い②
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