ウイルスの大きさはどのくらいなのか?代表的な50種類のウイルスの大きさの比較
ウイルスとは、単独では生命活動を営むことができずに、生きた細胞に寄生することによって自己複製と増殖を行っていく細菌よりもさらに微小な病原体のことを意味する言葉ですが、
こうしたウイルスと呼ばれる微小な病原体たちは、具体的にどのくらいの大きさをしていると考えられるのでしょうか?
今回の記事では、こうしたウイルスの大きさはどのくらいなのか?という問いについて、代表的な50種類のウイルスの大きさを互いに比較していくことを通じて詳しく考えていきたいと思います。
エンベロープウイルスの大きさ=40~450ナノメートル
そうすると、まず、
ウイルスは構造や形状という観点からは、大きく分けて、エンベロープと呼ばれる膜構造を持つかどうかでエンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスと呼ばれる二つのグループに分類されることになり、
一般的には、前者のエンベロープウイルスの方がそうしたエンベロープと呼ばれる膜構造を持つ分だけウイルス粒子の大きさが大きく、形についても複雑な形状をしたウイルスの種類が多いと考えられることになります。
そして、詳しくは「エンベロープウイルスの大きさはどのくらいなのか?代表的な35種類のエンベロープウイルスの大きさの比較」の記事で考察したように、こうしたエンベロープウイルスに分類されるウイルスのうち、
インフルエンザウイルスやコロナウイルス、HIVウイルスやヘルペスウイルスなどといった球形の形状をした大部分のエンベロープウイルスは、だいたい直径100~200ナノメートルくらいの大きさをしていることが多いと考えられることになります。
※1ナノメートル(1nm)=10億分の1メートル=0.000001 ミリメートル
しかし、その一方で、こうしたエンベロープウイルスに分類されるウイルスのなかでも、B型肝炎ウイルスやD型肝炎ウイルスのように直径40ナノメートルくらいの大きさの比較的小さな球形のウイルスの種類もあるほか、
天然痘ウイルスや牛痘ウイルスなどのように全長が220~450ナノメートルにまでおよぶレンガ型あるいは卵形のエンベロープウイルスの種類もあると考えられ、
その他にも、フィロウイルス科に分類されるエボラウイルスやマールブルグウイルスなどのように、直径は80ナノメートルほどであるものの、長さは14,000ナノメートルにおよぶこともある細長いひも状の形態をしたエンベロープウイルスの種類も挙げられることになります。
そして、こうしたことを考え合わせると、エボラウイルスやマールブルグウイルスのような一部の例外を除くと、上記の図において示したように、
エンベロープウイルスに分類されるウイルスの大きさはだいたい40~450ナノメートルくらいの大きさの範囲に位置づけられることになると考えられることになるのです。
ノンエンベロープウイルスの大きさ=30~80ナノメートル
そして、それに対して、
もう一方のウイルスのグループであるノンエンベロープは、エンベロープと呼ばれる膜構造を持たないため、ウイルス粒子は大きさが小さめで、形も単純な球形の形状をしたウイルスの種類が多いと考えられることになります。
そして、詳しくは「ノンエンベロープウイルスの大きさはどのくらいなのか?代表的な15種類のノンエンベロープウイルスの大きさの比較」の記事で考察したように、こうしたノンエンベロープウイルスに分類されるウイルスのうち、
ノロウイルスやライノウイルス、エンテロウイルスやポリオウイルスなどといった小型球形のノンエンベロープウイルスたちは、だいたい直径30ナノメートルくらいの大きさをしていることが多いと考えられることになります。
そして、こうしたノンエンベロープウイルスに分類されるウイルスのなかでも、直径80ナノメートルほどの大きさの球形のノンエンベロープウイルスであるアデノウイルスなどのように一回り大きいウイルスの種類もあるほか、
タバコモザイクウイルスなどのように植物の感染症を引き起こす直径は18 ナノメートル、長さは300 ナノメートルほどにおよぶ細長い棒状のウイルスの種類などもエンベロープを持たないウイルスの種族という意味で、広義におけるノンエンベロープウイルスに含まれることになります。
そして、こうしたことを考え合わせると、タバコモザイクウイルスなどのような一部の例外を除くと、
ノンエンベロープウイルスに分類されるウイルスの大きさはだいたい30~80ナノメートルくらいの大きさの範囲に位置づけられることになると考えられることになるのです。
・・・
以上のように、
こうしたエンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスというウイルス粒子の形態的な分類のあり方に基づいてウイルスの大きさを比較していった場合、上述したように、
エンベロープウイルスに分類されるウイルスの大きさはだいたい40~450ナノメートルであるのに対して、
ノンエンベロープウイルスに分類されるウイルスの大きさはだいたい30~80ナノメートルくらいの大きさをしていると考えられることになります。
そして、こうしたことを考え合わせていくと、上記の図において示したように、ウイルスと呼ばれる微小な病原体の大きさは、全体的に見るとだいたい30~450ナノメートルくらいの大きさの範囲に位置づけられることになると考えられ、
一般的なウイルスの大きさとしては、だいたい直径100ナノメートルくらいの大きさをした球形の形状をしているものが一番多いと結論づけることができると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:花粉の大きさはどのくらいなのか?スギやヒノキなどの花粉症の原因となる代表的な20種類の花粉の大きさの比較
前回記事:ノンエンベロープウイルスの大きさはどのくらいなのか?代表的な15種類のノンベロープウイルスの大きさの比較
「ウイルス」のカテゴリーへ