コロナウイルスの四つのグループとは?分類される代表的なウイルスの種類と具体的な特徴
前回までの記事で書いてきたように、コロナウイルスと呼ばれるウイルスの種族には、人間に感染して咳かぜなどの症状を引き起こすHCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1という四種類のヒトコロナウイルスや、
SARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスあるいは2019-nCoVといった比較的症状が重い肺炎の原因となることもあるウイルスの種類のほかに、
コウモリに感染して主に呼吸器系の症状を引き起こす全部で七種類のウイルスに代表されるコウモリコロナウイルスや、ネココロナウイルスやイヌコロナウイルスなどといった人間以外の動物に感染する様々なウイルスの種類も分類されることになります。
そして、分子生物学的な観点からは、
こうした人間やその他の動物に感染する代表的なコロナウイルスの種類は、その多くがアルファコロナウイルスとベータコロナウイルスとデルタコロナウイルスとガンマコロナウイルスと呼ばれる全部で四つのグループへと分類されることになると考えられることになります。
アルファコロナウイルスとベータコロナウイルスに分類される具体的なウイルスの種類
そして、このうち、はじめに挙げた
アルファコロナウイルス(α-CoV)には、冒頭で挙げたHCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1という四種類のヒトコロナウイルスのうち、
HCoV-229E(ヒトコロナウイルス229E)とHCoV-NL63(ヒトコロナウイルスNL63)と呼ばれる二種類のウイルスの種類が分類されることになるほか、
ネココロナウイルスやイヌコロナウイルス、豚やイノシシに伝染性の下痢の症状を引き起こすブタ流行性下痢ウイルス(PED)や、前述した七種類のコウモリコロナウイルスのうちの四つのコウモリコロナウイルスの種類などもこうしたアルファコロナウイルスと呼ばれるグループに分類されることになります。
そして、それに対して、
ベータコロナウイルス(β-CoVs)には、冒頭で挙げたHCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1という四種類のヒトコロナウイルスのうちの残りの
HCoV-OC43(ヒトコロナウイルスOC43)とHCoV-HKU1(ヒトコロナウイルスHKU1)と呼ばれる二種類のウイルスの種類が分類されることになるほか、
前述した七種類のコウモリコロナウイルスのうちの残りの三つのコウモリコロナウイルスの種類に加えて、
SARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスあるいは2019-nCoVといった人間対して比較的症状が重い肺炎を引き起こすこともある危険性の高いウイルスの種類もすべてこうしたベータコロナウイルスと呼ばれるグループに分類されることになるのです。
デルタコロナウイルスとガンマコロナウイルスに分類される具体的なウイルスの種類
また、その次に挙げた
デルタコロナウイルス(δ-CoV)には、ヒヨドリコロナウイルスやツグミコロナウイルスといった鳥類に分類される動物に感染するコロナウイルスの種類が多く含まれることになり、
それに対して、最後に挙げた
ガンマコロナウイルス(γ-CoV)には、ニワトリを中心とする鳥類に伝染性の気管支炎を引き起こす鶏伝染性気管支炎ウイルス(IBV)などが分類されることになります。
そして、以上のように、
こうしたアルファコロナウイルスとベータコロナウイルスとデルタコロナウイルスとガンマコロナウイルスと呼ばれる全部で四つのコロナウイルスのグループのうち、
人間に感染することによって風邪や肺炎などの呼吸器系の症状を引き起こす危険性のある人間との関係性が深いコロナウイルスの種類としては、
特に、アルファコロナウイルスとベータコロナウイルスと呼ばれる二つのウイルスのグループが挙げられることになると考えられることになるのです。
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次回記事:SARSウイルスと新型コロナウイルスの分子生物学的な関連性とベータコロナウイルスに分類される四つのウイルスの系統
前回記事:ネココロナウイルスとイヌコロナウイルスの具体的な特徴と再感染のリスクと抗体依存性感染増強作用の問題
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