聖火リレーが妨害や抗議に遭うことがある理由とは?ナチス政権時代のドイツに由来する聖火リレーという活動自体への抗議

オリンピックの聖火を大会の開催都市へと運んでいく聖火リレーの際には、しばしば、そうした聖火を受け渡していくリレーの最中に妨害や抗議活動が行われることによって、意図的に聖火が消されてしまうといった不都合な事態が生じてしまうことがありますが、

このように、本来は、世界の国々スポーツ活動を通じて調和をもたらす平和の祭典であるはずのオリンピックの祭典の開催を祝って行われる聖火リレーに対して、

妨害や抗議といった攻撃的で批判的な反応が引き起こされることがあるということには、具体的にどのような理由があると考えられることになるのでしょうか?

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1956年のメルボルンオリンピックにおける偽物の聖火へのすり替え事件

そうすると、まず、

こうした聖火リレーに対して妨害活動や抗議活動が行われる具体的な理由については、大きく分けて、

聖火リレーという活動自体に対して向けられている妨害行為と、聖火リレーを行う主体となっているオリンピックの開催国に対して向けられる妨害行為という二つのパターンが存在すると考えられることになります。

そして、このうち、

前者の聖火リレーという活動自体に対して向けられた代表的な妨害行為の事例としては、

1956年のメルボルンオリンピックにおける偽物の聖火へのすり替え事件が挙げられることになります。

この事件においては、

当時、シドニー大学の学生であったバリー・ラーキンという名の男性が、聖火リレーナチス政権時代のドイツで行われた1936年のベルリンオリンピックではじまったことから、

そうしたナチス政権のような全体主義と差別主義に根差した悪しき慣習としての聖火リレーという活動そのものに対しての強い抗議の意志を示すために、

オーストラリアメルボルン市内をめぐる聖火リレーの途中で、本物の聖火ランナーになり替わって銀色に塗られた木製の椅子の脚でできた偽物のトーチを当時のシドニー市長に手渡すことによって、本物の聖火の受け渡しを妨害してしまうことになります。

そして、その後、

少し遅れて本物の聖火市長のもとに到着することになるのですが、その間に、先に渡された偽物のトーチを本物だと思い込んでいた市長は、すでに演説をはじめてしまっていたため、

受け渡されていた聖火が偽物の聖火であることに気づいて憤る会場の人々の怒号などのなかで、式典の会場は大混乱へと陥ってしまうことになったと考えられることになるのです。

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2008年の北京オリンピックへの抗議デモの影響による意図的な聖火の消火

そして、それに対して、

こうした聖火リレーに対して行われる妨害活動や抗議活動が、聖火リレーという活動自体に対してではなく、主に、

後者の聖火リレーを行う主体となっているオリンピックの開催国に対して向けられている場合の代表的な妨害行為の事例としては、

2008年の北京オリンピックにおける抗議デモの影響による意図的な聖火の消火行為が挙げられることになります。

この事件においては、

当時のフランスパリなどを中心とする世界の各地において、中国政府によるチベット弾圧に対する抗議デモが頻発していて、

そうした北京オリンピックの主催国にあたる中国政府へと向けられた抗議デモの影響によって、世界の各地をめぐっていく聖火リレーの途上において、

少なくとも三度、特に抗議の声が大きかったフランスのパリ警察による発表によれば五度にわたって意図的に聖火が消されるという事件が発生しまうことになったと考えられることになるのです。

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以上のように、

オリンピックの聖火を大会の開催都市へと運んでいく聖火リレーの際に、しばしば、妨害や抗議活動が行われることがある具体的な理由については、

ナチス政権時代のドイツで行われた1936年のベルリンオリンピックではじまったとされる聖火リレーという活動そのものへの抗議や妨害活動

オリンピックの開催国となっている特定の国家や政府へと向けられた抗議活動の一環として行われている聖火リレーへの妨害活動

という二つの側面から説明していくことができると考えられることになるのです。

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次回記事:聖火リレーと聖火ランナーの由来と大本の起源とは?古代ギリシアと近代ドイツにおける二つの起源

前回記事:聖火リレーの途中で火が消えても聖火の正統性や神聖さが失われない理由とは?永遠なる太陽の炎から等しく分かれ出た聖なる炎

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