日の出と日の入りの正確な定義とは?太陽の中心ではなく上端部分を基準とする定義が用いられる具体的な理由と歴史的な経緯
現代の天文学における定義では、
日の出は明け方に太陽が東の空から昇ってくるときに太陽の上端が地平線と接した瞬間のことを意味する言葉、
日の入りは夕方に太陽が西の空へと沈んでいくときに太陽の上端が地平線と接した瞬間のことを意味する言葉
としてそれぞれ定義されることになると考えられることになるのですが、
それでは、
こうした日の出や日の入りといった太陽の出没時刻が太陽という天体の中心ではなく、上端部分を基準として決められることになっているのには具体的にどのよう理由と歴史的な経緯があると考えられることになるのでしょうか?
太陽を除く一般的な天体における天体の出没時刻の定義
そうすると、まず、上記の図において示したように、
天文学の分野においては、
一般的な天体の出没時刻については、時刻が進んでいくにつれて天体が徐々に地平線の上に顔を出してきて、天体の中心が地平線と接した瞬間がその天体の出現時刻として定義されることになるのに対して、
それと同じように、さらに時刻が進んでいってやがて天体が徐々に地平線の下へと沈んで行って完全に隠れきってしまう前に、再び天体の中心が地平線と接する瞬間がその天体の没入時刻として定義されることになると考えられることになります。
そして、このように、
火星や金星あるいは月などといった太陽以外のすべての天体は、基本的には、こうした天体の中心を基準とした地平線との位置関係によって出没時刻が定められていくことになると考えられることになるのです。
太陽における日の出と日の入りの時刻の定義とその歴史的な変遷
そして、それに対して、冒頭でも述べたように、
現代の天文学における定義では、
太陽の出没時刻については、夜から昼へと移り変わっていく明け方の東の空において、太陽の中心ではなく太陽の上端が地平線と接した瞬間が太陽の出現時刻、すなわち、日の出の時刻として定義されることになるのに対して、
それと同じように、昼から夜へと移り変わっていく夕方の西の空において、太陽の中心ではなく太陽の上端が地平線と接した瞬間が太陽の没入時刻、すなわち、日の入りの時刻として定義されることになるのですが、
それでは、なぜ、
こうした太陽の場合だけに限って、出没時刻の定義のあり方が一般的な天体における規定のあり方と大きく異なるものになっているのか?ということについてですが、
それについては、
太陽のように巨大で強い光を地上にもたらす天体については、
通常の天体の場合と同じのように天体の中心が地平線へと達する時点まで日の出の時刻をのばしてしまうと、その時にはすでに空の大部分が明るくなりきってしまっていることになり、
そうした時刻を日の出の時刻として位置づけるのは、夜から昼へと移り変わる境界を意味する一般的な日の出のイメージとは大きくかけ離れてしまうことになるため、
空が明るくなりはじめる時刻にあたる太陽の上端が地平線へと達した時点の方を日の出の時刻として定める方がより実用的な定義のあり方として広く用いられるようになっていったと考えられることになります。
実際に、
近代の天文学が導入された当初の明治時代の日本においては、
現在の国立天文台の前身にあたる東京帝国大学の附属天文台として位置づけられていた東京天文台においては、
1902年ごろまでは、通常の天体における出没時刻の定義と同様に、太陽の出没時刻の定義についても、太陽の中心が地平線に重なった瞬間を日の出と日の入りとして定義する形で観測を行っていたと考えられることになるのですが、
1902年に発せられた文部省の告示によって、翌年の1903年からは、
太陽の上端が地平線に接した瞬間を日の出と日の入りの時刻として定義するという現在の天文学と同様の日の出と日の入りの定義が用いられていくようになっていったと考えられることになるのです。
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そして、以上のように、
一般的な天体については、天体の中心が地平線と接した瞬間がそれぞれの天体の出没時刻とされることになるのに対して、
太陽については、天体の中心ではなく天体の上端部分が地平線と接した瞬間がそれぞれ日の出と日の入りの時刻として定義されることになる具体的な理由としては、
太陽の中心を基準として日の出の時刻を定めるというのは、天文学の分野における学術的な意味における観点からは正しい定義のあり方ではあるとは考えられるものの、
夜から昼へと移り変わっていく時間の境界を象徴する一般的な日の出のイメージとしては、空が明るくなりはじめる時刻にあたる太陽の上端が地平線へと接する時刻を日の出として位置づける方がより適切な定義のあり方であるとも考えられることになるため、
そうした実用的な意味における観点から、太陽の上端部分の位置を基準として日の出と日の入りの時刻を定める現在の天文学における定義のあり方が定着していくことになっていったと考えられることになるのです。
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