夏至と日の出が最も早い日が一致しない理由とは?均時差における平均太陽時と視太陽時のずれと日の出の時刻との関係
夏至とは、地球から見た太陽の運行において、北半球において太陽の高度が最も高くなる日のことを意味していて、一年のなかで昼が最も長くなる日として位置づけられることになるのですが、
その一方で、
一年のなかで日の出が最も早い日は6月21日ごろの夏至の当日ではなく、そうした夏至の日の1週間ほどの前にあたる6月14日前後に早くも訪れてしまうことになります。
普通に考えると、
こうした昼が最も長くなる日にあたる夏至の日は、当然、一年のなかで最も早く日が昇って最も早く日が沈む日、つまり、日の出が最も早くて日の入りが最も遅い日になりそうにも思えることになるのですが、
このように、一年のなかで昼が最も長くなる日である夏至の日と、一年のなかで日の出が最も早くなる日とが同じ日にならずに、両者の間に1週間もの時間差が生じていってしまうことには具体的にどのような理由があると考えられることになるのでしょうか?
均時差における平均太陽時と視太陽時との関係
こうした、一年のなかで昼が最も長くなる夏至の日と一年のなかで日の出が最も早くなる日との間に時間差が生じてしまう具体的な理由としては、
均時差(きんじさ)と呼ばれる
現代の世界において日常的に使用されている通常の時刻のあり方のことを意味する平均太陽時と、実際の太陽の動きに基づいた時刻のあり方のことを意味する視太陽時との時差のあり方にその根本的な原因を求めていくことができると考えられることになります。
そして、
こうした平均太陽時と視太陽時と呼ばれる二つの時刻のあり方の基準となっている平均太陽と視太陽という二つの太陽の捉え方のうち、前者の平均太陽とは、
天文学においては、地球における赤道が天球上へと投射された大円にあたる天の赤道を常に一定の速度で動くと仮定された仮想的な天体としての太陽のことを意味することになり、
こうした平均太陽と呼ばれる仮想上の天体は、通常の時刻の進み方と同様に、常に一定の速さで運行していくことになると考えられることになるのですが、
それに対して、
後者の視太陽と呼ばれる実際の太陽の運行のあり方においては、こうした平均太陽における運行速度との間に、最大で16分ほどの時差が生じていってしまうことになると考えられることになるのです。
均時差の原因となる二つの要素と日の出の時刻との関係
そして、このように、
平均太陽時と視太陽時と呼ばれる二つの時刻のあり方に均時差と呼ばれる時差が生じていってしまうことになる理由としては、
①地球が太陽の周りを回っていく公転軌道が楕円軌道であること
②地球から見た太陽の年周軌道にあたる黄道が天の赤道に対して約23.4度傾いていること
という二つの要素がその主要な原因として挙げられることになると考えられることになります。
そうすると、まず、
前者の地球が太陽の周りを回っていく公転軌道が楕円軌道であるという観点からは、そうした楕円軌道としての地球の公転軌道が、天球上における円軌道としての太陽の運行のあり方へと置き換えられていくことによって、
地球が太陽に最も近づく位置にあたる近日点を通過していくことになる1月上旬ごろの時期に、地球から見た太陽の移動速度は最も速くなるように観測されることになるのに対して、
地球が太陽から最も遠くなる位置にあたる遠日点を通過していくことになる7月上旬ごろの時期に、地球から見た太陽の移動速度は最も遅くなるように観測されることになると考えられることになります。
そして、その一方で、
後者の地球から見た太陽の年周軌道にあたる黄道が天の赤道に対して約23.4度傾いているという観点からは、地球から見た太陽の位置が天の赤道から離れるほど一定時間あたりの天の赤道に沿った太陽の移動距離が長くなることによって、
地球からの観測において黄道上を移動していくことになる太陽が天の赤道から最も遠い位置に来る夏至と冬至の時期においては地球から見た太陽の移動速度は最も速くなるのに対して、
太陽が天の赤道と黄道の交点にあたる位置、すなわち、太陽が天の赤道と重なる位置に来る春分と秋分の時期においては地球から見た太陽の移動速度は最も遅くなることになると考えられることになるのです。
そして、
こうした地球からの観測における太陽の見かけ上の移動速度の変化のあり方に基づいて、
太陽の見かけ上の移動速度が平均より速い時期には、そうした移動速度の変化が一日ずつ積み重なっていくことによって、そうした視太陽の動きに対応する平均太陽時における時刻が徐々に早くなっていくのに対して、
太陽の見かけ上の移動速度が平均より遅い時期には、そうした移動速度の変化が一日ずつ積み重なっていくことによって、そうした視太陽の動きに対応する平均太陽時における時刻が徐々に遅くなっていくと考えられることになるですが、
つまり、そういった意味では、
こうした実際の太陽の動きのあり方に基づいて定められることになる視太陽時においては、日常的に使用されている通常の時刻のあり方である平均太陽時と比べて、
一日における時刻の進み方が一年の流れのなかでわずかながら季節ごとに変化していくことになると考えられることになるのです。
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そして、以上のように、
こうした平均太陽時と視太陽時と呼ばれる二つの時刻のあり方において生じていくことになる均時差と呼ばれる時差のあり方を考慮に入れた場合、
夏至の日が訪れることになる6月21日ごろの直前の時期にあたるちょうど6月中旬ごろの時期を境として、そこから均時差において平均太陽の移動速度と比べて視太陽の移動速度が徐々に遅くなっていく時期、
すなわち、そうした視太陽の動きに対応する平均太陽時における時刻が徐々に遅くなっていくことにともなって、日の出の時刻も遅くなっていく時期へと入っていってしまうことになるため、
それに先んじて、
そうした均時差の転換点にあたる6月中旬ごろの時期、すなわち、ちょうど夏至の日の1週間ほどの前にあたる6月14日前後の時期が日の出が一番早くなる日として位置づけられることになると考えられることになるのです。
・・・
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