古代と現代のオリンピックにおける競技内容の違いとは?水泳競技や球技種目などの新たな種目の近代における導入
1896年のアテネオリンピックからはじまった現在の時代にまで続く近代オリンピックの大本の起源は、
ギリシアの古代都市オリンピアにおいて行われていた古代のオリンピックとしても位置づけられるオリンピア祭典に求められることになりますが、
それでは、
こうした古代ギリシア世界において行われていた古代のオリンピックと、19世紀にはじまり現在の時代へと続いていく近代のオリンピックにおける競技種目の内容のあり方には、
具体的にどのような特徴の違いが見られることになると考えられることになるのでしょうか?
古代のオリンピックにおける陸上競技と格闘競技を中心とする競技内容
そうすると、まず、
古代のオリンピックとして位置づけられている古代ギリシアのオリンピアの祭典において実際に行われていたことが歴史上の資料における正式な記録として残っている競技の種目について、すべて順番に書き上げていくと、
こうした古代オリンピックにおける代表的な競技種目としては、
スタディオン走、ディアウロス走、ドリコス走といった古代の短距離走から長距離走の競技にあたる三つの徒競走の種目のほかに、武装競走や戦車競走といった装備や馬を使った競走競技が行われていたほか、
レスリング、ボクシング、パンクラチオンといった格闘競技の種目、さらには、五種競技と呼ばれるスタディオン走・走幅跳・やり投げ・円盤投げ・レスリングの五種目から成る混成競技などが行われていたと考えられることになります。
そして、さらに後代になると、
古代のオリンピックにおいては、そうした競走競技を中心とする陸上競技や格闘競技などといった運動競技に加えて、
祭典の開会を告げ知らせるのに用いられていたトランペットの演奏競技会や、説教者や伝令者による詩の発表と雄弁を競う現代で言うところの弁論大会にあたるような競技会も、こうした古代オリンピックにおける正式な種目の一つとして広く取り入れられていくことになっていったと考えられることになるのです。
現代のオリンピックにおける水泳競技や球技種目などの新たな種目の導入
そして、それに対して、
フランスのクーベルタン男爵の提唱によって、こうした古代のオリンピックとして位置づけられている古代ギリシアのオリンピアの祭典にならって新たに開催されていくことになった現在の時代へと続く近代のオリンピックにおいては、
ギリシア世界の内だけで行われた古代のオリンピックの場合よりもさらに広い範囲から数多くの競技種目が取り入れられていくことになっていったと考えられ、
具体的には、
2019年の時点における近代オリンピックにおける現行の代表的な競技種目としては、
100m走や200m走といった短距離走から、5000m走や10000m走やマラソンといった長距離走、あるいは、ハードル走などといった様々な種類の競走競技や、
走幅跳、走高跳、棒高跳、三段跳び、槍投げ、円盤投げ、砲丸投げ、ハンマー投げ、さらには、それらの競技が組み合わされた混成競技にあたる十種競技といったその他の様々な種類の陸上競技が行われているほか、
競泳や飛び込みやアーティスティックスイミング(シンクロナイズドスイミング)などといった水泳競技、
体操や新体操、トランポリン、ウエイトリフティングなどといった室内で行われる運動競技や、レスリング、ボクシング、柔道、テコンドー、フェンシングといった格闘競技や武術競技、
さらには、
サッカー、バレーボール、バスケットボール、ラグビー、テニス、卓球、バドミントン、ハンドボール、ゴルフ、ホッケー、ビーチバレーといった各種の球技種目や、
馬術や自転車競技、ボート、カヌー、セーリング(ヨット)、アーチェリー(弓術)と射撃といった種目のほかに、
そうした様々な分野の競技が複合された混成競技にあたる近代五種(フェンシング・水泳・馬術・ピストル射撃・ランニング)やトライアスロン(水泳・自転車・長距離走)
などといった多種多様な競技種目がオリンピックにおける正式種目として取り入れられていると考えらえることになるのです。
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そして、以上のように、
古代と現代のオリンピックにおける競技種目の内容のあり方について順番にすべて取り上げていく形で互いに比較していくと、
古代のオリンピックにおいては、競走競技を中心とする陸上競技と格闘競技に分類される競技種目によってすべての競技内容が構成されていたと考えられることになるのに対して、
現在の時代まで続いている近代のオリンピックにおいては、そうした古代ギリシアのオリンピックの時代から採用されていた伝統的な競技種目のほかに、
水泳競技や球技種目などに代表されるような様々な分野の競技種目が新たに導入されていくことによって、より大規模で多種多様な競技内容へと発展していくことになっていったといった点に、
こうした古代と現代のオリンピックの競技内容における具体的な特徴の違いを見いだしていくことができると考えらえることになるのです。
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