世界で最初のマラソン大会とは?アテネオリンピックとボストンマラソンにおけるマラソン競技の導入とマラソンの距離の変更
オリンピックの最終日に競技が行われることが多い近代オリンピックにおける代表的な陸上競技としては、42.195kmを走る長距離走の種目にあたるマラソン競技が有名ですが、
それでは、こうしたマラソンと呼ばれる長距離走にあたる陸上競技が、世界ではじめて行われることになり、世界で最初のマラソン大会が開催されことになったのは、具体的にはいつの時代のことであったと考えられることになるのでしょうか?
1896年のアテネオリンピックにおけるマラソン競技の導入
そうすると、まず、
こうしたマラソンと呼ばれる競技が世界ではじめて行われることになったのは、
古代ギリシアのオリンピアの祭典において行われていた古代オリンピックにならって新たに開催されることになった
近代のオリンピックの第1回大会にあたる1896年のアテネオリンピックが行われた時であったと考えられることになります。
そもそも、
マラソン競技におけるマラソン(Marathon)という言葉自体の由来は、現在のギリシアの首都にあたるアテネの北東に位置していたマラトン(Marathon)と呼ばれる古代ギリシアの地名に求められることになり、
フェイディピアスまたはエウクレスという名として伝わるアテネの使者が、ペルシア軍との間で戦われたマラトンの戦いにおけるギリシア軍側の勝利の吉報を告げ知らせるために、
戦場であったマラトンからアテネまでの40kmほどの道のりを全力で走り切ったのち、アテネへと到着して使者としての役割を果たすと同時に力尽きて命を落とすことになってしまったという故事に由来していると考えられることになるのですが、
近代のオリンピックの創始者にあたるフランスのクーベルタン男爵は、彼の親しい友人であり、
古代ローマやギリシアの古典文献学にも精通した19世紀のフランスの言語学者であったミシェル・ブレアル(Michel Bréal)からの助言を受けることによって、
近代のオリンピックの第1回大会にあたるギリシアで開催されたアテネオリンピックにおいて、そうしたマラトンの戦いの故事に基づく長距離走の種目にあたるマラソン競技を行うことに決めることになったと考えられることになるのです。
1897年からはじまったボストンマラソンとその後のオリンピックにおけるマラソンの距離の変更
そして、
その後の歴代のオリンピック大会においても、こうしたマラソン競技がオリンピックにおける主要な競技種目として毎回取り入れられることになっていくのですが、
その一方で、
毎年行われることになる単独のマラソン大会としては、こうした1896年のアテネオリンピックにおけるマラソン競技の影響を受けることによって、
はやくも、その翌年にあたる1897年からアメリカのマサチューセッツ州において、ボストンマラソンが開催されていくことになります。
ちなみに、
こうした開始された当初のマラソン競技においては、1896年のアテネオリンピックでのマラソンの距離は約40km、1897年のボストンマラソンでのマラソンの距離は39.4 kmだったとされているように、
マラソンコースの長さについては、古代ギリシアのマラトンの戦いにおいてアテネの使者が走ったとされている40km前後という大まかな基準があるだけで、一定の正確な距離には定まっていなかったと考えられることになるのですが、
その後のオリンピックにおいて、1924年のパリオリンピックからマラソンの距離が現在のように42.195kmという一定の距離に統一されることになるのと、
それに対応して、同じ年にあたる1924年からボストンマラソンにおいても、マラソンコースの長さがオリンピックと同じ42.195kmへと変更されていくことになったと考えられることになるのです。
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以上のように、
マラソンという競技が世界ではじめて行われることになったのは、
近代のオリンピックの第1回大会にあたる1896年のアテネオリンピックであると考えられるのに対して、
毎年行われることになる単独のマラソン大会としては、
1897年からはじまったボストンマラソンが世界で最初のマラソン大会として位置づけられることになると考えられることになるのです。
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前回記事:マラソンの距離が42.195kmになった理由とは?ロンドンとパリの二つのオリンピックと当時のイギリスの王室事情
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