ゾディアックとは何か?古代ギリシア語で「小さい動物の輪」を意味する天文学における語源となる意味と十二星座との関係
現代ではゾディアック(zodiac)というと、1960年代後半から1970年代前半にかけてアメリカで起きたゾディアック事件と呼ばれる劇場型で未解決の連続殺人事件や、
キリスト教の「七つの大罪」をモチーフにした1995年の映画『セブン』(Seven)の監督などとして有名なデヴィッド・フィンチャーが監督となったゾディアック事件がモチーフとなった2007年の映画『ゾディアック』(Zodiac)、
さらには、スイス製の時計のブランドの名前や、軍の特殊部隊の上陸作戦や渡河作戦などにおいても使用されているフランス製のエンジン付きのゴムボートの名前などが連想されることになりますが、
こうした英語におけるゾディアック(zodiac)という単語は、もともとは、天文学において地球から見た天球上の太陽の通り道にあたる黄道を中心とする帯状の領域にあたる黄道帯のことを意味する言葉であった考えられることになります。
それでは、こうした天文学における黄道帯のことを意味する英語におけるゾディアック(zodiac)という単語は、具体的にどのような由来と語源を持つ言葉であると考えられることになるのでしょうか?
古代ギリシア語において「小さい動物の輪」を意味するゾディアックの語源となる言葉の意味
そうすると、まず、
こうした英語におけるゾディアック(zodiac)という言葉は、もともと、
ラテン語において同じく黄道帯のことを意味するゾディアクス(zodiacus)という名詞に由来する言葉であると考えられることになります。
そして、
こうしたラテン語におけるゾディアクス(zodiacus)という言葉は、さらに、古代ギリシア語にその大本となる語源を求めていくことができる言葉であると考えられ、
それは、具体的には、
古代ギリシア語において「小さい動物」のことを意味するゾイディオン(ζῴδιον)という言葉と、「円」や「輪」のことを意味するキュクロス(κύκλος)という二つの単語が結びつくことによってできた言葉であると考えられることになるのです。
天文学におけるゾディアックと十二星座の動物たちとの関係
それでは、
こうした古代ギリシア語に大本の起源を持つ英語におけるゾディアック(zodiac)あるいはラテン語におけるゾディアクス(zodiacus)という言葉がもともと意味していたと考えられる「小さい動物の輪」とは、具体的に何のことを意味しているのか?ということについてですが、
それについては、
天文学において、地球上から観測において太陽や月や惑星たちが移動していくことになる天球上の帯状の領域に位置づけられている星座のモチーフとなったギリシア神話に登場する動物や人物たちがつくる輪、
すなわち、天文学における太陽の通り道にあたる黄道の近くに位置づけられることになる十二個ほどの星座たちが位置する帯状の領域のことを指して、
こうした英語におけるゾディアックや、ラテン語におけるゾディアクス、そして、日本語における黄道帯といった言葉が用いられていると考えられることになります。
そして、
こうした天文学における黄道帯のことを意味するゾディアックと呼ばれる帯状の領域に位置する代表的な星座としては、黄道十二星座として有名な
おひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座といった
ギリシア神話の登場人物や動物たちを題材とした十二個の星座の名前が対応づけられていくことになると考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
こうした天文学的な意味におけるゾディアックという言葉は、ラテン語や古代ギリシア語の由来に基づく語源的な意味においては、
地球からの観測において夜空に広がっていくことになる十二星座のモチーフとなったギリシア神話の登場人物や動物たちが形づくる円や輪にあたる帯状の領域のことを意味する言葉として解釈していくことができると考えられることになるのです。
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次回記事:黄道帯(ゾディアック)の天球上における具体的な位置とは?黄道座標に基づく天文学的に正確な意味における黄道帯の位置づけ
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