黄道とは何か?④天の赤道と黄道という天球上における二つの大円の位置関係と両者の交点としての春分点と秋分点の位置づけ
前回の記事では、天球における太陽の通り道のことを意味する黄道(こうどう)という言葉の日本語における言葉自体の語源とその大本の由来となる陰陽五行説といった古代思想との関係などについて詳しく考察してきましたが、
それでは、
こうした黄道と呼ばれる天球における太陽の通り道は、地球上からの実際の観測においては、具体的にどのような軌道を描いていくことになると考えられることになるのでしょうか?
天球上における黄道と天の赤道の位置関係
そうすると、まず、
詳しくはこのシリーズの初回の記事で書いたように、こうした黄道と呼ばれる天球上における太陽の通り道、すなわち、天球上における太陽の年周運動の行路にあたる大円の軌跡は、
地球の公転運動の影響によって生じていくことになる一年における太陽と天球の相対的な位置関係の変化のあり方を示す軌跡として位置づけられることになると考えられることになります。
そして、上記の図において示したように、
こうした黄道と呼ばれる天球上における太陽の軌跡のあり方は、
地球における赤道、すなわち、地球の中心を通り地軸と直角な位置関係にある平面と地表との交線が天球上に投影された大円にあたる天の赤道との位置関係においては、
天体の位置関係において広く用いられる角度表記のあり方である角度の度分秒表記のあり方においては約23度26分、一般的な角度の表記のあり方においては約23.4度傾いた大円として描かれていくことになると考えられることになるのです。
黄道と天の赤道の交点としての春分点と秋分点の位置づけ
そして、
こうした黄道と天の赤道と呼ばれる天球上における二つの大円の位置関係のことを表す具体的な指標としては、その他にも、
黄道と天の赤道の交点として春分点と秋分点と呼ばれる天球上における二つの地点が挙げられることになります。
そして、こうした黄道と天の赤道の二つの交点のうち、
前者の春分点と呼ばれる天球上の位置は、太陽が天の赤道を天の南極の側の半球から天の北極の側の半球へと横切っていって、そこから夏至へと向けて高度を上げていくことになる昇交点にあたる地点として位置づけられることになるのに対して、
後者の秋分点と呼ばれる天球上の位置は、太陽が天の赤道を天の北極の側の半球から天の南極の側の半球へと横切っていって、そこから冬至へと向けて高度を下げていくことになる降交点にあたる地点としてそれぞれ位置づけられていくことになると考えられることになります。
そして、
こうした天球における太陽の通り道である黄道と天の赤道とが交わる天球上の二つの交点のそれぞれの地点を太陽が通過する時に、
地球上における季節の流れにおいては、昼の長さと夜の長さがほぼ等しくなる春分と秋分と呼ばれる時節の移り変わりの基準となる節目の日が訪れることになると考えられることになるのです。
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次回記事:黄道が天の赤道に対して約23.4度傾いている理由とは?地球の公転軸に対する地球の自転軸としての地軸の傾きとの関係
前回記事:黄道とは何か?③日本語における由来と陰陽五行説との関係、太陽を表す色として赤ではなく黄色が用いられている具体的な理由
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