ギリシア神話の海の神ポセイドンとオケアノスの関係とは?ティターン十二神からオリュンポス十二神への天空と海の支配の移譲

前回の記事で書いたように、ギリシア神話において海を司る神として位置づけられている主要な神々としては、

オリュンポス十二神のうちの一人にも数え上げられているポセイドンのほかに、オケアノスやその妻にあたるテテュスといった古代の海洋神の存在も挙げられることになるのですが、

こうしたポセイドンオケアノスというギリシア神話において海を司る神として位置づけられている二柱の神々は、

ギリシア神話における物語のなかでは、具体的にどのような関係にある神々として位置づけられていると考えられることになるのでしょうか?

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ティターン十二神の一柱であるオケアノスとオリュンポス十二神の一柱であるポセイドンとの関係

こうしたオケアノスと呼ばれる古代の海洋神の存在は、古代ギリシアの世界観において人間が住む大地を取り囲んでいるとされていた巨大な大河の存在が神格化されることによって生み出された神であると同時に、

ギリシア神話の物語においては、まだゼウスポセイドンといったオリュンポスの神々が生まれるはるか以前の神々と世界が誕生してからまだ間もない宇宙の黎明期の時代において、

ガイア(大地)ウラノス(天空)と呼ばれる原初の神々の間に生まれたティターン十二神と呼ばれる巨神族の長兄として生まれた神としても位置づけられることになります。

そして、こうしたギリシア神話の物語のなかでは、

オケアノスを長兄とするティターン十二神と呼ばれる神々は、そうしたティターン十二神と呼ばれる十二柱の神々の末弟にして、母なる女神ガイアと同じく大地を司る権能を持ったクロノスを盟主として、父なる神ウラノスの暴政に対して抗い、

ウラノスの支配を打ち倒すことによって、全宇宙がこうしたティターン十二神と呼ばれる神々によって支配されるティターン神族による統治の時代が幕開けを迎えていくことになるのですが、

その後、

ウラノスに代わって第二代の神々の王の座についたクロノスは、自ら同じティターン十二神のうちの一柱として数え上げられている女神である豊穣の女神レアを妻とすることによって、

クロノスレアと呼ばれる二柱の神々の間には、ヘスティアデメテルヘラハデスポセイドンゼウスといったのちにオリュンポスの神々として位置づけられていくことになる主要な神々が生まれていくことになるのですが、

このように、

オリュンポス十二神のうちの一柱であるポセイドンは、オケアノスの弟にあたるクロノスを父として生まれた神であり、

そういった意味では、

こうしたギリシア神話の物語のなかで語られている神々の系譜においては、

ティターン十二神と呼ばれる古代の神々の一柱として位置づけられているオケアノスと呼ばれる古代の海洋神は、

オリュンポス十二神のうちの一柱であるセイドンの伯父にあたる存在として位置づけられていると考えられることになるのです。

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クロノスからゼウスそしてオケアノスからポセイドンへの天空と海の支配権の移譲

そして、その後、ギリシア神話の物語のなかでは、

ウラノスが最後に残した「おまえも同じように自分の息子によって自らの王位を奪われることになるだろう」という予言の言葉を恐れたクロノスは、

自分の妻であるレアとの間に生まれたヘスティアデメテルヘラハデスポセイドンといった子供たちを生まれてきた順に次々に飲み込んでしまうことになるのですが、

このことを見て嘆き悲しんだレアは、クロノスのもとを去って、洞窟の中に隠れて最後に身ごもっていた末息子であったゼウスを生み

自分の夫であるクロノスには、産着にくるんだ石を赤子と偽って渡して代わりに飲み込ませることによって、自分の息子であるゼウスの命を救うことになります。

そして、その後、

成人となるまでに成長したゼウスは、自分の伯父にあたるオケアノスの娘にして、のちに知恵の女神アテナを身ごもることになる泉の女神であったメティスと協力して、

クロノスに神々が飲む不死の力を持った蜜酒であるネクタルに薬を混ぜて飲まて、ポセイドンを含むゼウスの兄弟たちを吐き出させて彼らのことを救い出すことによって、

こうしたクロノスを盟主とするティターン神族と、ゼウスを盟主とするオリュンポスの神々の間で、全宇宙の支配権をめぐるティタノマキアと呼ばれる壮大な神々の戦いが繰り広げられていくことになるのですが、

その後、

こうしたティタノマキアと呼ばれる神々の戦いに勝利したオリュンポスの神々による統治の時代が始まっていくことによって、

ゼウスが天空を支配し、その兄であるポセイドンが海を司り、さらにその兄にあたるハデスが冥界を司るという、現代においてもお馴染みのギリシア神話における神々の体制が整えられていくことになっていったと考えられることになるのです。

・・・

そして、このように、ギリシア神話の物語において、

天界と地上の世界における支配権が、クロノスオケアノスといったティターン十二神の側から、ゼウスポセイドンといったオリュンポス十二神の側へと移り変わっていくのにしたがって、

人間が船に乗って行き来する海や河川の領域は、ポセイドンを中心とする新しい世代の神々の手へとその支配がゆだねられていくことになり、

それにともなって、オケアノステテュスといった太古の時代において海洋を司っていた古代の神々は、人間が住む大地全体を世界の外側から取り巻いている外洋の領域へと静かに退いていくことになっていったと考えられることになるのです。

・・・

次回記事:ゲリラ豪雨とヒートアイランド現象の関係とは?古代の雨乞いの儀式における上昇気流の発生と都市部における局地的な集中豪雨

前回記事:英語で「大洋」や「海洋」を意味するオーシャンという言葉の由来とは?ギリシア神話における古代の海洋神オケアノスとの関係

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