英語で「大洋」や「海洋」を意味するオーシャンという言葉の由来とは?ギリシア神話における古代の海洋神オケアノスとの関係
ギリシア神話において海を司る神としては、英語ではトライデントと呼ばれる三叉の矛(みつまたのほこ)を武器として海を統治しているとされているポセイドンの存在が有名ですが、
そうしたポセイドンやゼウスなどに代表されるようなオリュンポスの神々が生まれるよりもさらに昔の太古の時代において海洋を司っていた神々としては、オケアノスやテテュスといった神の存在の名も挙げられることになります。
それでは、
こうしたオケアノスやテテュスといった宇宙の黎明期において海洋を支配していたと考えられる古代の神々は、ギリシア神話において、より詳しくは具体的にどのような特徴を持った神々として描かれていると考えられ、
英語において「大洋」や「海洋」を意味するオーシャンという言葉の由来は、こうしたオケアノスと呼ばれる古代の海洋神とどのような関係にあると考えられることになるのでしょうか?
ギリシア神話におけるオケアノスとテテュスと呼ばれる太古の時代における二柱の海洋神の存在
そうすると、まず、
こうしたオケアノス(Okeanos)とテテュス(Tethys)と呼ばれる二柱の神々は、どちらもギリシア神話における宇宙のはじまりの時代において、
ガイア(大地)とウラノス(天空)と呼ばれる原初の神々の間に生まれたティターン十二神と呼ばれる巨神族の一柱として数えられている神であり、
こうしたオケアノスと呼ばれる男性の神と、テテュスと呼ばれる女性の神は、互いに夫婦関係にあるともされている太古の時代における海洋と河川を司る神として位置づけられることになります。
古代ギリシア人の世界観においては、
人間が住む世界は、平坦な形状をした円形の大地のまわりをグルグルととぐろを巻くように還流しているオケアノスと呼ばれる巨大な大河に取り囲まれている形で存在していると考えられていたのですが、
こうしたギリシア神話において登場するオケアノスと呼ばれる太古の時代における海洋神は、そうした人間が住む大地を取り囲んでいる巨大な大河の存在が神格化されることによって生み出された神であるとも捉えられることができると考えられることになるのです。
英語のオーシャンの由来とギリシア神話のオケアノスとの関係
そして、
英語において、「大洋」や「海洋」などのことを意味するocean(オーシャン)という言葉も、もともとは、
こうした古代ギリシア人の世界観において、
人間が住む大地を取り囲んでいると考えられていた巨大な大河の存在が神格化された存在にあたるOkeanos(オケアノス)と呼ばれるギリシア神話における古代の海洋神の名前に由来する言葉であると考えられることになるのですが、
その後のギリシア神話の物語においては、
こうしたオケアノスとテテュスと呼ばれる太古の時代における二柱の海洋神の間には、
その数が3000にもおよぶオケアニデス(Okeanides)と呼ばれる池や泉の女神たちと、同じくその数が3000にもおよぶポタモイ(Potamoi)と呼ばれる河川の神々が生まれていくことによって、
世界中において細かく枝分かれしていくことになるすべての河川とその川の水が海へと流れ込む前にしばしとどまることになるすべての池と泉とが形づくられていくことになっていったと語り伝えられていくことになるのです。
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次回記事:ギリシア神話の海の神ポセイドンとオケアノスの関係とは?ティターン十二神からオリュンポス十二神への天空と海の支配の移譲
前回記事:ティターン十二神の具体的な特徴とは?それぞれの神が司る世界の領域や固有の権能とギリシア神話における神々の系譜
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