地衣類と腐生植物の違いとは?植物と共生する菌類の種族と菌類に寄生する植物の種族

以前に書いた「腐生植物とは何か?植物と菌類の二重の寄生関係」の記事のなかでは、植物に分類される生物でありながら、光合成を行わずキノコなどの菌類の菌糸を自らの根や地下茎の内部に取り込んでいくことによって、

そうした自らの植物体の内部に取り込んだ菌類に寄生して栄養分を吸収することによって生命活動を営んでいる腐生植物(ふせいしょくぶつ)と呼ばれる特殊な植物の種族について取り上げましたが、

このように、

植物の側が自らの体内に菌類を取り込んで寄生関係を営むことによって生活している腐生植物に対して、その逆に、

菌類の側が自らの体内に植物を取り込んで共生関係を営むことによって生活している生物としては、地衣類(ちいるい)と呼ばれる生物の種類の名も挙げられることになります。

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地衣類における菌類と藻類の間の特殊な共生関係

一般的に、

光合成を行わず自分自身では無機物から有機物を合成することができない従属栄養生物に分類される生物の種族である菌類は、植物などの他の生物に寄生するか、そうした他の生物の遺体に寄生することによって生命活動を営んでいると考えられることになるのですが、

それに対して、

こうした地衣類と呼ばれる生物は、そうした本来は従属栄養生物に分類されるはずの生物である菌類が、光合成を行うことによって無機物から有機物を合成することができる独立栄養生物にあたる藻類などの植物自らの体内に取り込むことによって、

そうした自らの体内に住まわせた藻類などの植物との共生関係を通じて、まるでコケ植物などの独立栄養生物に分類される植物の種族であるかのように自立的な生活を営むことができるようになった生物の種類として位置づけられることになります。

そして、

こうした地衣類と呼ばれる生物は、より具体的には

菌糸と呼ばれる菌類の栄養体を構成する糸状の細胞組織の内部に、シアノバクテリアなどの光合成細菌に代表されるような藍藻緑藻といった小型の藻類に分類される植物細胞を取り込んでいくことによって、

そうした自らの体内に取り入れた藍藻緑藻といった植物細胞が行う光合成の働きを通じて生命活動を営んでいくために必要なエネルギーや有機物の供給を受けていると考えられることになるのですが、

その際、

菌類が形成する菌糸構造の内部に取り込まれた藍藻や緑藻といった植物細胞の側も菌類の側からの一方的な搾取を受けているというわけではなく、

そうした比較的頑丈な菌糸構造の内部に取り込まれることによって外界の過酷な環境から保護されると共に、安定的な水分の供給を受けることによって、自らの生存に有利な環境を与えられていくことになると考えられることになるのです。

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以上のように、

こうした地衣類腐生植物と呼ばれる二つの特殊な生物の種族における具体的な特徴の違いとしては、

前者の地衣類と呼ばれる生物は、菌類の側が自らの体内に藍藻や緑藻などの単細胞性の植物細胞を取り込んで共生関係を営むことによって生活している菌類と藻類の共生体あるいは植物と共生する菌類の種族として位置づけられるのに対して、

後者の腐生植物と呼ばれる生物は、植物の側が自らの体内に菌類を取り込んで寄生関係を営むことによって生活している菌類に寄生する植物の種族として位置づけられることになるといった点に、

こうした地衣類腐生植物の両者における具体的な特徴の違いを見いだしていくことになると考えられることになるのです。

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次回記事:地衣類とは何か?葉状地衣類と樹状地衣類と痂状地衣類の具体的な特徴と分類される代表的な生物の種類

前回記事:独立栄養生物と従属栄養生物と混合栄養生物の具体的な特徴の違いと分類される代表的な生物の種類のまとめ

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