灰色植物とは何か?①灰色藻が灰色ではなく青緑色をしている理由とは?、藻類とは何か?⑪

前回までの一連の記事では、渦鞭毛藻クリプト藻ラフィド藻珪藻類藍藻類や、ユーグレナ植物といった様々な単細胞性の微細な藻類の種族について、

それぞれの生物の種族が具体的にどのような特徴を持った種族であると考えられることになるのか?ということについて詳しく考えてきましたが、

今回取り上げる灰色植物あるいは、灰色藻と呼ばれる淡水性の微細な単細胞性の藻類の種族も、これまでに取り上げた藻類の種族とはまた別の意味で特色のある特徴をもった種族であると考えられることになります。

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古代ギリシア語と英語における灰色植物(Glaucophyta)の意味とは?

灰色植物(かいしょくしょくぶつ)あるいは灰色藻(かいしょくそう)と呼ばれる藻類の種族は、日本語では「灰色」という言葉が入ってはいるものの、

生物自体の実際の体色は、灰色というよりは、むしろ、通常の植物藍藻類に近い少し青みがかった緑色をしていると考えられることになります。

それでは、なぜ、灰色植物や灰色藻と呼ばれる生物が、灰色ではなく青緑色をしているのか?という理由についてですが、

まず、

灰色植物と呼ばれる生物の種族は、ラテン語に基づく正式な学名ではGlaucophyta(グラウコフィタ)と呼ばれていて、こうした学名のもともとの語源となる言葉は、

古代ギリシア語ラテン語におけるglaucus(グラウクス)という形容詞に求められることになり、この単語自体は、地中海などの海の色に見られるような青緑色や青灰色といった色合いのことを示す言葉であったと考えられることになります。

そして、

こうしたギリシア語やラテン語におけるglaucusという単語が、英語ではglaucous(グローカス)という単語となり、

薄い青緑色、または、植物の葉や果実などに粉が吹いた時に見られるような白っぽい灰色のことを意味するより多様な色合いを示す言葉として用いられるようになっていったと考えられることになるのです。

ちなみに、

こうした英語のglaucous(グローカス)から派生した言葉の一つとしては、

例えば、

緑内障のことを意味するglaucoma(グローコマ)といった名詞が挙げられることになりますが、

緑内障は日本語では青底翳(あおそこひ)とも呼ばれるように、眼圧が高くなり視神経が障害されていくにつれて瞳孔が散大して青緑色に見えるようになる眼疾患のことを意味することになるので、

この場合の英語のglaucomaの語源となっているglaucousは、まさに、灰色ではなく、青緑色という意味で用いられると考えられることになります。

そして、

こうしたラテン語やギリシア語においては、青緑色や青灰色を意味し、英語でも灰色と同時に青緑色のことも意味する単語であったと考えられるglaucus(グラウクス)あるいはglaucous(グローカス)という単語が、

なぜか、日本語に訳される時には、そうした言葉に含まれる意味合いの内から青や緑の色合いの要素がすっかり抜け落ちてしまい

青緑色植物や青灰色植物ではなく、単に、灰色植物と訳されることによって、一見すると実際の生物の体色とは大きく異なる色合いのイメージへとつながってしまうような訳語となってしまったと考えられることになるのです。

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・・・

以上のように、

灰色植物や灰色藻と呼ばれる生物が、実際には灰色ではなく青緑色をしている理由としては、

灰色植物のラテン語における正式な学名であるGlaucophyta(グラウコフィタ)という言葉のもともとの語源が、

古代ギリシア語やラテン語において地中海の海の色のような青緑色や青灰色といった色合いのことを意味するglaucus(グラウクス)という単語に求められることになり、

こうした古代ギリシア語やラテン語におけるglaucus(グラウクス)が英語ではglaucous(グローカス)という単語となって、白っぽい灰色や青緑色といったより多様な色合いのことを広く意味する表現として用いられるようになっていったと考えられることなるのですが、

さらに、こうした英語におけるglaucous(グローカス)が日本語に訳される際には、後半の青緑色という意味合いが抜け落ちてしまい、単なる「灰色」として訳されることになってしまったということが

 灰色植物が実際には灰色ではなく青緑色なのに「灰色」と呼ばれるようになってしまった具体的な理由として挙げられることになると考えられることになります。

それでは、

こうした灰色植物や灰色藻と呼ばれる生物の実際の体色が、灰色でもなく、通常の植物のような単なる緑色でもなく青緑色であるということにはどのような理由があるのか?

つまり、そもそも灰色植物の体色はなぜ青緑色なのか?ということについては、また次回改めて詳しく考えていくことにしますが、

そこには、この地球上に存在するすべての植物の起源にも関わるような太古の昔における生物の進化の歴史が大きく関わっていくことになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:灰色植物とは何か?②あらゆる植物の祖先にあたる原始的な植物細胞に最も近い構造をした生物の種族、藻類とは何か?⑫

このシリーズの前回記事:ユーグレナ植物とは何か?①生物学における具体的特徴とミドリムシとの関係と健康食品としてのユーグレナ、藻類とは何か?⑩

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