生活に無理のないノロウイルス対策とは?ノロウイルス対策④
ノロウイルスの家庭内感染を完璧に防ぎきる、徹底した感染予防対策が難しい、とすると、
家庭内におけるノロウイルス対策の目標はどこにおくべきなのでしょうか?
今回は、そうしたことについて考えていきたいと思います。
ノロウイルス対策の成功とはどういうことをいうの?
家庭内におけるノロウイルス対策の目標はどこおくべきなのか、
この問題を考えるためには、まず、
ノロウイルス対策において、
何がノロウイルスに対する勝利であり、
何がノロウイルス対策の成功であるのか、
ということについて、突き詰めて考えておく必要があります。
これは、なにもノロウイルスだけに限ったことではなく、
致命的ではないウイルス一般について言えることですが、
致命的ではない一般的な感染症の場合、
無理をせず、水分や必要な栄養などを十分に摂って、
体力を消耗したり、体を冷やしたりしないように注意していれば、
症状が自然に経過していき、そのまま順調に回復へと向かっていくことになります。
そしていずれ、体内のウイルスは私たち自身の免疫細胞によって駆逐され、
ウイルスは人体の免疫軍に敗北し、私たちの身体の中ではすべて絶滅することになります。
あらゆる感染症、あらゆる病気について共通して明確に言えることは、
体内に侵入したウイルスや病原菌を免疫細胞が打ち負かし、
病気が治ってしまえば、人体の側の勝ち、ということです。
そうすると、
たとえウイルスに感染してしまったとしても、
最終的に感染症に打ち勝ち、病気が治ってしまえば、
それはウイルスに対する勝利であり、
その面では、ウイルス対策も十分に成功した、と言ってもいいということになります。
したがって、致命的ではない一般的なウイルスに対する対策の心構えとしては、
こじらせて重症化することや、
命に関わる状態にまで至ることなく治すことができれば、
とにかくウイルスには勝った、
同じ勝ちでも、症状の経過がよりラクになるようにうまくやり過ごせれば、
なおのこと良い、
というくらいに、おおらかに構えて、
気持ちにゆとりをもって、予防対策に取り組んだ方がよいのではないでしょうか。
その方が、心理的にだいぶラクになりますし、
予防対策にやっきになってキリキリすることもなくなり、
落ち着いて、家族全体にとって適切なバランスのとれた予防対策をとりやすくなると思います。
感染時期を遅らせることにはどんな効用があるの?
ノロウイルスは、体内にウイルスがわずか数十個入ってきただけで感染してしまう非常に感染力が強いウイルスです。
したがって、
家族にノロウイルス感染者が発生してしまい、家で一緒に生活しながらその人の看護をしなければならない場合、
徹底して感染を避け続けるのは難しいので、
ある程度予防対策を頑張っても、結局は感染してしまうということになってしまうかもしれません。
そうすると、
結局、感染を防げなかったのだから、予防対策はすべて無駄だった、とがっかりしてしまったり、
どうせ感染してしまうのだから、予防対策をとるのは無駄だ、
今後は一切、予防対策なんてやめてしまおう、と、
やけっぱちな気持ちになってしまうかもしれません。
しかし、
ウイルスを免疫でやっつけて「病気から治ってしまえばとにかく勝ち」、
あとは、予防対策や看護法のちょっとした工夫で少しでも感染機会を減らせて、
感染しても症状がラクに経過するようもっていければ大成功、
という考え方に立てば、
たとえ対策が不十分で、最終的には看護している自分自身も感染してしまったとしても、
できる範囲で感染予防対策をしておくことは、十分大きなメリットになるのです。
それは、具体的に言うと、例えば、
看護をしている人や他の家族の感染時期を遅らせることができるというメリットです。
そもそも、家庭内でノロウイルスの感染が広がる場合の最悪のケースというのは、
いったいどのようなケースでしょうか。
それは、単に、
ノロウイルスに家族全員が感染してしまうというケースではありません。
本当に最悪のケースというのは、
予防対策を全くとらなかったために、次々と連鎖的に短期間で家族全員にノロウイルスの感染が広がってしてしまい、
その結果、家族全員がほぼ同時期に症状のピークを迎えてしまう、
というケースです。
家族全員が、同時に、
ノロウイルスによる腹痛と嘔吐、下痢による体力消耗でダウンしてしまっては、
子供や高齢者といった、より体力・免疫力が弱い人の看護を十分に行うことができません。
また、さらに悪いことには、
家族みんなの腹痛のリズムまで重なってしまい、
トイレに行きたくても、先客も腹痛でトイレの中でウンウンうなっていて、
家族みんなでトイレのドアの前で悶絶・・・
という事態にまでなりかねません。
これこそまさに考えうる限り最悪のケースですね。
これがもし、
完全に感染を避けきるには不十分でも、ある程度の予防対策ができていれば、
たとえ最終的には看護している自分自信も感染してしまったとしても、
感染機会が減っていたことで、その分、発症のタイミングが遅れることになります。
そして、自分が発症する頃には、
うまくいけば、先に発症していた人はもうノロウイルスから回復していて、
今度は交代するようにこちらの看護をしてくれるかもしれません。
そこまでいかなくても、
家族全員の発症のタイミングは十分にずれているはずなので、
全員の症状のピークが重なって地獄絵図のようになる、という最悪のケースは避けられると思います。
つまり、
不十分だとしても、少しでも予防対策を積み重ねていくことで、
たとえ感染が避けられなかったとしても、その分、
看護している自分や、一緒に住んでいる他の家族が発症するまでの時間を伸ばすことができるというメリットがあるのです。
そうしたことにも予防対策の十分な成果があると言えるでしょう。
このように、
結局最後には感染してしまったとしても、
看護している自分や、他の家族が発症するまでの時間を遅らせることで、
家族全員同時発症という最悪の事態を避けられたのだから、
予防対策には意味があったし、
ノロウイルス対策にある程度成功したのだ、と思うことができれば、
ノロウイルスに感染してしまったら即失敗というプレッシャーから解放されて、
少しは肩の荷が下り、
あまり悲観的になり過ぎずに、
もっと前向きにノロウイルスの感染予防に取り組めるようになるのではないでしょうか。
まとめ
病気を治すことができれば、とにかくウイルスには勝った、
感染機会を減らすことができ、症状の経過がよりラクになればさらに大成功、
と考えれば、気持ちにゆとりができ、落ち着いて適切なウイルス対策をとりやすくなります。
感染が防げなかった場合でも、できる範囲で予防対策を積み重ねていくことには、看護をしている人や他の家族の感染時期を遅らせることができるという、大きなメリットがあります。
そのメリットとは、新たに感染する家族の発症時期が遅れ、家族全員が同時に発症するという最悪のケースを避けることができる、ということです。