演繹法と帰納法の具体的な違いとは?必然的な論理展開と実証的事実に基づく両者における推論の進め方の違い

学問における論理的推論のあり方は、大きく分けて演繹法と帰納法と呼ばれる二通りの推論の方法へと分類することが可能であると考えられることになります。

詳しくは前回の記事で書いたように、演繹(deduction、ディダクション)帰納(induction、インダクション)という言葉自体の由来は、

ラテン語において「導出」を意味するdeductio(デドゥクティオ)という単語と、「導入」を意味するinductio(インドゥクティオ)という単語に求められることになるのですが、

今回は、こうした演繹法と帰納法と呼ばれる推論のあり方の違いについて、それぞれの推論の具体例を挙げていくことを通して、より具体的な形で考えてみたいと思います。

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演繹法に基づく推論の具体例と、前提に基づく必然的な論理展開

まず、演繹法とは、一言でいうと、

推論の土台となる前提から適切な論理規則にしたがって必然的に結論を導き出すという推論のあり方を示す概念であり、

それは、一義的には、

一般的な理論や普遍的な概念の定義から個別的な概念や具体的な事実などを導き出す推論のあり方として捉えることができます。

例えば、

「すべての人間は生き物である」「すべての生き物は必ず死ぬ」という二つの前提からは、したがって「すべての人間は必ず死ぬ」という必然的な帰結が導出されることになりますが、

こうした推論は、前提となる定義からの論理展開のみによって必然的に帰結が導き出されることになるので、

それは演繹法に基づく推論であると捉えることができると考えられることになります。

また、純粋に思弁的な学問である数学や論理学あるいは思弁哲学といった学問分野においては、そこで用いられる推論は、基本的にすべて演繹的推論が用いられることになりますが、

例えば、数学において、

「三角形の内角の和が180度」であるということは、具体的な実験や観察を必要とせずに、ユークリッド幾何学における平行線公理に基づく錯角と同位角の定理を用いた論理的推論のみによって証明することが可能であると考えられることになりますし、

それと同様に、

6÷32」といった計算式が真であるということも、具体的な実験や観察を必要とせずに、数の定義四則演算の規則に基づいた論理展開のみによって論証することが可能な演繹法に基づく推論であると考えられることになります。

また、上記の6÷32という普遍的な計算式から、6個のショートケーキを3人の子供に等しく分配すると2個ずつに分けられる」といった具体的な事例を導き出すといったことも、

それは前提となる計算式から論理必然的に結論を導き出すことが可能な演繹法に基づく推論であると考えられることになるのです。

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帰納法に基づく推論の具体例と、実証的事実および経験的事実との関係

それに対して、帰納法とは、一言でいうと、

演繹法の場合とは逆に、個別的な事例や具体的な事実の方から一般的な理論や普遍的な法則を見つけ出そうとする推論のあり方を示す概念ということになります。

例えば、

「太陽が東から昇って西へ沈む」ということは、前述したような演繹法に基づく推論の場合とは異なり、

「太陽は恒星である」や「太陽は地球上の万物を育てる光と熱の源である」といった太陽という概念自体の他の普遍的な定義から論理的に導き出すことができない事柄であり、

それは、もともとは、人間が日々、太陽の運行を観察することによって得られた観測的事実に基づいて実証された事柄であると考えられることになります。

そして、こうした経験的事実や、実験と観察に基づく実証的事実に基づいて、一般的な理論や普遍的な法則を見つけ出そうとする推論のあり方が帰納法に基づく推論の具体的なあり方であると考えられることになるのです。

・・・

以上のような考察に基づくと、

演繹法と帰納法の具体的な違いは、一言でいうと、以下のような点に求めることができると考えられることになります。

つまり、

演繹法においては、

数学における定理や数式の証明に代表されるように、前提となる定義からの必然的な論理展開のみによって、

一般的な理論や普遍的な概念の定義から個別的な概念や具体的な事実を導出する推論が進められていくのに対して、

帰納法においては、

実験や観察によって得られた実証的事実および経験的事実からスタートすることによって、

個別的な事例や具体的な事実の方から一般的な理論や普遍的な法則を見つけ出そうとする推論が進められていくという点に、

両者の推論のあり方の大きな違いがあると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:論理学におけるアブダクションの語源と具体的な意味とは?ラテン語のアブドゥクティオの意味と論理学との関係

前回記事:帰納(インダクション)と演繹(ディダクション)の語源とは?ラテン語における帰納と演繹の具体的な意味と由来

関連記事:ソクラテスの問答法とは何か?①エレンコスにおける演繹的推論と帰納的議論

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