期外収縮と頻脈性不整脈との関係とは?連発型の期外収縮の危険性と頻脈発作への移行、一般的な不整脈の三つのタイプ④
前回書いたように、
頻脈性不整脈と徐脈性不整脈と並ぶ一般的な不整脈のタイプの一つである期外収縮においては、
単発の期外収縮の他に、二段脈や三段脈といった通常のリズムの脈拍と期外収縮の拍動が交互に現れるパターンの不整脈も存在します。
そして、こうしたタイプの期外収縮が、心臓自体に前提となる器質的な疾患が見られない場合は、比較的危険性の低いタイプの不整脈に該当する場合が多いと考えられるのに対して、
より問題となる期外収縮のタイプとしては、通常のリズムの脈拍をはさまずにイレギュラーな拍動が連続して現れる連発型の期外収縮や、期外収縮を含む脈拍同士の間隔が非常に短くなるタイプなど、頻脈発作に近い形へとつながっていくタイプの期外収縮が挙げられることになります。
期外収縮と頻脈性不整脈との関係とは?
期外収縮とは、通常の脈拍の間にイレギュラー(不規則的)な心臓の収縮が生じてしまうタイプの不整脈であり、通常の期外収縮の場合、全体的な心拍数や脈拍のペース自体はあまり変わらないと考えられることになるのですが、
通常のリズムの脈拍を間にはさまずにイレギュラーな拍動が連続して現れるタイプの連発型の期外収縮の場合、こうした法則は必ずしも当てはまらないと考えられることになります。
期外収縮は別名、早期収縮とも呼ばれるように、期外収縮におけるイレギュラーな拍動は、通常の脈拍のリズムよりも少し早いタイミングで現れることになるのですが、
連発型の期外収縮の場合は、心臓が通常の脈拍のリズムを取り戻す前に、どんどん前倒しにイレギュラーな早期収縮の拍動が積み重なるように出現してしまうことになるので、
期外収縮の連発が高頻度で現れる場合には、それが全体的な心拍数にも影響を与えるようになり、全体的な脈拍のペースまで速くなってきてしまうと考えられることになるのです。
つまり、
本来は一過性のイレギュラーな拍動であるはずの期外収縮においても、それが長い期間継続して連発して現れる場合には、
それはもはや一過性の不規則な拍動であるというよりは、不十分な心臓の収縮運動が連続して前倒しに積み重なっていく実質的な頻脈発作に近い状態へと陥ってしまうことになると考えられるのです。
また、こうした連発型の期外収縮において、それが実質的な頻脈発作へと移行してしまうケースが見られることがあるように、
そういった意味では、期外収縮という不整脈の種類は、徐脈性不整脈へと移行するケースよりは、どちらかというと頻脈性不整脈へと移行するケースが多い不整脈のタイプであるとも考えられることになります。
したがって、
一般的な不整脈のタイプに関するより大きな分類においては、期外収縮という不整脈のタイプは、頻脈性不整脈の中の一つの不整脈の形態として位置づけることができると考えられることになるのです。
連発型の期外収縮の危険性と脈拍の間隔が非常に短くなるタイプの期外収縮
そして、
上述したように、連発型の期外収縮の場合は、それが進展して実質的な頻脈発作へとつながってしまう場合もあるのですが、
こうしたケースにおいては、そこからさらに、より重篤な頻脈性不整脈の形態である心室頻拍や心室細動といった、心停止へもつながる致命的な不整脈の状態へと進展してしまう危険性も出てくるということになります。
したがって、
こうした連発型の期外収縮は、前回までに取り上げた単発の期外収縮や、単発の期外収縮が通常の脈拍のリズムをはさんで断続的に現れる散発型の期外収縮、あるいは通常のリズムの脈拍と期外収縮の拍動が一定の規則性を持って交互に現れるパターンの不整脈である二段脈や三段脈といった一般的なタイプの期外収縮と比べ、
より危険性の高い不整脈のタイプに分類されると考えられることになるのです。
そして、
こうした連発型の期外収縮の他に、危険性が高いタイプの期外収縮の種類としては、期外収縮を含む脈拍同士の間隔が非常に短くなるタイプの期外収縮が挙げられることになり、
こうした期外収縮とその前の脈拍との時間間隔の関係は、それがR on T型と呼ばれる波形をつくるときに最も危険性が高くなると考えられることになるのですが、
こうしたR on T型の期外収縮の形態については、また次回詳しく考えてみたいと思います。
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次回記事:R on T型の期外収縮の具体的な特徴と危険性が高い不整脈である理由、一般的な不整脈の三つのタイプ⑤
前回記事:一拍おきの期外収縮が二段脈で二拍おきの期外収縮が三段脈となる理由とは?一般的な不整脈の三つのタイプ③
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