生物の八つの定義とは何か?生物を特徴づける具体的な五つの要素とさらに加えられるべき三つの要素

生命とは何か生物と無生物とを分け隔てている要素とは何か?そして、生命の本質とは何なのか?といった生物と生命に関する根源的な問いに迫っていくためには、

まず、その前提として、

一般的に、地球上に生息する生物を特徴づける要素、すなわち、生物の定義とはどのようなものであるのか?ということについてある程度十分に考えておくことが必要となります。

そして、

生物の定義については、生物学物理学哲学宗教といった様々な観点からの定義づけがなされていて、

それぞれの観点の違いや、生物という概念自体の捉え方の違いにおいて、その数も内容も大きく異なる定義づけがなされていくことになるのですが、

そうした一般的な生物の定義は、概ね、多くても十個程度、少なく絞り込めば三個程度の定義としてまとめられると考えられることになります。

そこで、まず今回は、

そうした生物を定義づける具体的な要素としてどのような要素が挙げられることになるのか?ということについて、なるべく多くの生物の定義のあり方を列挙していく形で考えていきたいと思います。

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生物に共通する五つの特徴

例えば、

NHK高校講座「生物基礎」の講座では、生物に共通する特徴すなわち、一般的な生物の定義として以下のような五つの具体的な要素が挙げられています。

それは、細胞から構成されている自らエネルギーを生産してそれを利用することができるDNAを持っている子孫を生む、そして、体内環境を一定に保とうとするという五つの要素です。

これらの生物を定義づける五つの要素の一つ一つについて、簡単な説明を加えると以下のようになります。

まず、はじめの定義である「細胞から構成されている」という要素についてですが、

地球上に生息している生物は、その細部を切り取って顕微鏡で拡大して見れば分かる通り、

動物でも植物でもすべて細胞によって形づくられているので、生物はすべて「細胞から構成されている」と定義づけられることになります。

そして次に、二番目の定義である「自らエネルギーを生産してそれを利用することができる」という要素についてですが、

植物ならば、太陽光を利用した光合成によって自ら直接エネルギーをを生産したうえでそれを利用することができ、

動物でも、他の動物や植物を捕食することによって、その消化吸収の過程でエネルギーを生産してそれを利用することができるというように、

あらゆる生物は、「自らエネルギーを生産してそれを利用することができる」と考えられることになります。

そして、次の三番目の定義である「DNAを持っている」と四番目の定義である「子孫を生む」という要素についてですが、

動物や植物などの一般的な生物を構成している細胞の中心部には核が、そして、その核の中には、細胞の設計図であるDNAがあり

その細胞の設計図であるDNAに基づいて細胞分裂や生殖が行われ、自分と同じ種族の新たな個体が子孫として生み出されていくことになります。

そして、最後に、五番目の定義である「体内環境を一定に保とうとする」という要素についてですが、

生物の体内においては、体温調節機能による体温の維持や免疫機能による病原体や異物の排除などに見られるように、常に体内の状態を一定に保とうとする力が働いていて、

こうした体内の状態を一定に保つ力は、例えば、栄養が大量に手に入る飽食に時には、体内に脂肪などの形でエネルギーを蓄積し、飢餓の時にはそのエネルギーを血中へと放出することによって血液中のエネルギー源の量を一定に保つといった生物体内のエネルギーの生産と利用の過程においても見られることになります。

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生物を定義づける六番目の要素とさらに加えられるべき二つの要素

ちなみに、上記のNHK高校講座においては、以上のような生物に共通する五つの具体的な特徴が述べられたうえで、

こうした生物を定義づける五つの空間的要素に対して、最後に、時間的な観点から生物を定義づける要素として、進化という要素が加えられることになり、

それが、生物を定義づける六番目の要素であるとされることになります。

また、ここでは述べられていないものの、一般的に生物の具体的な定義として挙げられることが多い要素としては、

さらに、刺激に対する反応や、成長といった要素も挙げられることになります。

このうち「刺激に対する反応」という要素については、

外界からの刺激に対して体内の各器官を適切に働かせるための神経系を持っている動物はもちろんのこと、

植物の場合でも、例えば、外界からの光に反応して、光源がある方向へと茎やツルを伸ばしていくように、

生物には、外界からの刺激に対して一定の秩序立った反応を見せるというある種のシステムが備わっていると考えられることになります。

また、「成長」という要素については、

生物の種族全体における時間的な観点からの変化を表す特徴が進化であるとすると、

それに対して、

生物の個体における時間的な観点からの変化を表す特徴として、成長という要素が挙げられるということになります。

・・・

以上のように、NHK高校講座の「生物基礎」における定義づけに従うと、

生物を定義づける具体的な要素としては、一般的に、

細胞」「エネルギーの生産と利用」「DNA」「子孫を生み出す」「体内環境を一定に保つ力」という五つの要素が挙げられると考えられることになります。

そして、さらにそこに、

進化」という六番目の要素や、「刺激に対する反応」と「成長」といった要素が加えられることによって、

全体としては、八つ程度の要素を列挙していくことによって、生物の具体的な定義を示すことができると考えられることになります。

そして、

以上のような生物を特徴づける八つの具体的な要素は、次回述べるように、さらに、より抽象的で一般的な生物の四つの定義へと集約して捉えることが可能であると考えられることになるのです。

・・・

次回記事生物の八つの具体的な特徴と四つの生物の定義との対応関係

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