ティーバッグとティーパックはどちらが正しい?英単語のbagとpackのもともとの意味の違い
紅茶や緑茶などの葉を1杯~数杯分ずつ薄い紙の小さな袋に詰めた茶袋のことを指す表現としては、日常的に、「ティーバッグ」や「ティーパック」といった表記が用いられていますが、
これらの表記は、英語の“tea bag“(ティー・バッグ)の発音をそのままカタカナ表記にした表現ということになるので、
基本的には、「ティーバッグ」の方が正しい表記ということになります。
それでは、
英語で「茶袋」のことが”tea pack“(ティー・パック)ではなく、”tea bag“(ティー・バッグ)と呼ばれる理由はどのようなところにあるのでしょうか?
そして、それでも仮に”tea pack“(ティー・パック)という表現が何らかの形で成り立ち得るとするならば、それはどのような茶袋の状態のことを示す表現になるのでしょうか?
今回は、そういったことについて、”bag“と”pack“という英単語のもともとの意味の違いまでさかのぼって詳しく考えてみたいと思います。
bag(バッグ)とpack(パック)のもともとの意味の違い、
「匂い袋」と「タバコひと箱」
まず、
“tea bag“(ティー・バッグ)の”bag“という英単語自体について考えると、
“bag“(バッグ)は、何かの入れ物としての袋のことを意味する単語であり、袋状の形状をしていて、そこに何か中身が入るようになっていれさえすれば、袋の大きさ自体は大きいものから小さいものまで様々な大きさのものを示すことができる言葉ということになります。
例えば、
“traveling bag“(トラベリング・バッグ)と言えば、かなり大きめの旅行用のカバンのことを指すことになりますが、
“handbag“(ハンドバッグ)、”umbrella bag“(アンブレラ・バッグ、傘袋)となると表現される袋の大きさが徐々に小さくなっていき、
“a bag of gold“(ア・バッグ・オブ・ゴールド)で「金貨一袋」、
“a bag of cakes“(ア・バッグ・オブ・ケイクス)で「菓子袋」、
“a bag of incense“(ア・バッグ・オブ・インセンス)で「匂い袋」といったことを意味する表現にもなります。
そして、
上記の表現と同様に、「中にお茶が入った小袋」すなわち「茶袋」という意味で
“tea bag“(ティー・バッグ)または、”a bag of tea”(ア・バッグ・オブ・ティー)という表現が用いられることになるのです。
これに対して、
“pack“(パック)という英単語の方は、もともとは、人や動物の背中に載せて運べるようにした包みや荷物のことを意味する単語であり、
例えば、
「リュックサック」のことを英語では”backpack“(バックパック)とも言うように、
“pack“は、比較的大きめのひとまとめになった荷物のことを指す言葉ということになります。
そして、
こうした複数の物を一つの荷物にまとめるという意味から、
“pack”(パック)は、同種の複数の品をひとまとめにしたひと包みやひと箱のことを指す表現としても用いられることになり、
例えば、
“a pack of cards“(ア・パック・オブ・カーズ)で「トランプカードひと組」
“a pack of cigarettes“(ア・パック・オブ・シガレッツ)で「タバコひと箱」
といった意味となります。
したがって、
背中に載せて運べるほどの大きめの包みでもなければ、タバコの箱のように複数の品がひとまとめになった箱や包みでもない「お茶が入った小袋」については、
それを”tea bag“(ティー・バッグ)とは表現できても、”tea pack“(ティー・パック)とは表現できないと考えられることになるのです。
お茶のパッケージ全体を表す「ティー・パック」と緑茶のティーパック
ちなみに、
それでも、「お茶の袋」に関連する表現として、どうしても”pack“(パック)という表現を使いたいとするならば、
要は、袋の大きさが”pack”(パック)と呼べるほどに十分に大きくなるか、それとも、複数のお茶の袋が一つにまとまってひと包みやひと箱の形になればよいということになるので、
例えば、
お茶の葉が入ったパッケージ(包装、容器)全体や、
複数の茶袋が一つのパック(包み、箱)に入った状態のことを意味する表現として、
“a pack of tea“(ア・パック・オブ・ティー)や、
“a pack of tea bags“(ア・パック・オブ・ティー・バッグズ)
というように言うことは、一応、可能と考えられることになります。
また、
そもそも英語の“tea“(ティー)は、通常は「紅茶」のことを示す表現であり、
「ティーバッグ」(tea bag)も、直接的には、「紅茶の入った小袋」のことを指す言葉ということになるので、
単に「ティーパック」とするのではなく、例えば、緑茶の入った小袋のことを指して、
「緑茶のティーパック」などと呼ぶとするならば、必ずしも間違いではないとも考えられることになります。
その場合でも、
前述した”pack”(パック)の原義である「背中に載せて運べるほどの大きさ」といったニュアンスからはだいぶ離れた少し違和感のある表現にはなってしまうのですが、
現に、日本国内でも、「煎茶三角ティーパック5g×12P入り」や、「緑茶ティーパック(3.5g×15パック)」などといったパッケージ表記で売られている商品も見られるので、
紅茶のティーバッグと区別する意味合いも兼ねて、緑茶の入った一つ一つの小袋のことを指して、あえてこのような表記をしているようなケースもあることはあるようです。
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