真理へ至るための3つの道⑦ヘーゲル弁証法における正反合の論理の自己展開

前回述べたように、

肯定の道」と「否定の道」という
通常の論理に次ぐ、

第3の論理形式である
超越の道」は、


カントの超越論的観念論
がそうであったように、

同等に正しい
2つの相反する論理的主張について、

それぞれの論理的主張が
正しく機能する範囲を画定し、

両者の論理を俯瞰した
超越した次元から調停する、

ということに、
本来の役割があるのですが、

この「超越の道」という論理形式には、
もう1つの論理的手法としての使い方があります。

それは、

どちらがどのような意味では正しいのか、という
論理の住み分けを一切しないで、

2つの相反する論理的主張
同等に正当なものとして成り立つという

矛盾した論理ごと丸ごと飲み込んで

次の段階の次元へと
議論を引き上げてしまう、

という
破格の論理としての使い方です。

そして、

この破格の論理展開により、
自らの新しい哲学を作り上げたのが、

19世紀はじめドイツ観念論の哲学者、

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル(G.W.F.ヘーゲル)

であったと考えられます。

そして、

そのヘーゲル哲学における、
破格の論理展開の手法が、

弁証法

と呼ばれる論理展開の手法だったのですが、

それでは、
そのヘーゲル哲学の論理手法である、

ヘーゲルの弁証法とはどのようなものであったのか、

まずはその論理展開の形式を見ていくことにします。

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弁証法における正反合の論理展開

ヘーゲル自身は、
次回に述べるような理由から、

自分の哲学における論理的手法を、
形式化された静的な論理学としては提示していないのですが、

その哲学の具体的な論理展開のあり方を追っていくと、

ヘーゲルの弁証法は、

一般的には、以下のような
形式として捉えることができると考えられます。

その論理展開の形式は、
一言で言うと、

テーゼ)とアンチテーゼ)を
アウフヘーベン止揚)により、
ジンテーゼ)する、

ということになるのですが、

この論理展開の流れを、

議論の順番を追っていく形で、
改めて説明すると、以下のようになります。

まず、

ある考えが正しいと主張する人が現れ、
命題を立て、

この主張を、

テーゼThese命題、定立)とします。

すると、

この考えに反対意見を唱える人が現れてくるので、

その主張を、
テーゼに反対する主張、すなわち、

アンチテーゼAntithese立命題、反定立)

とします。

そして、

この両者の主張は論理的には同等に正しく
いくら議論を重ねても
堂々めぐりのこう着状態に陥ってしまうので、

両者の主張を乗り越えて
議論を前へと進めるために、

両者の主張を捨て去りつつ
それを同時に保持して

議論を次の段階の次元へと
引き上げる

アウフヘーベンaufheben止揚、揚棄)

という破格の論理展開によって、

二つの相反する命題、
テーゼ)とアンチテーゼ)を

新たな次元において、

ジンテーゼSynthese、総、統)する、

というのが、

ヘーゲルの弁証法における、
正反合の論理展開の流れとなります。

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弁証法の論理の自己展開と無限の発展

そして、

この新しい次元に到達した
ジンテーゼ(統)が、

今度は、

新たな次元における
新しいテーゼ命題)とされ、

さらにこれに対立する主張である
アンチテーゼ立命題)が現れ、

その二つの命題の間の
アウフヘーベンによるジンテーゼ(統)が改めて行われる、

というように、

弁証法の論理は
自己展開しながら、

どんどん先へと限りなく
発展し続けていくことになります。

テーゼ)とアンチテーゼ)の対立だけでは、

両者の論理的主張は、

前回の
認識論における卵が先かニワトリが先かの議論のように、

議論が、いつまでも
同じところをグルグル回ってしまって、一歩も先に進まない、
堂々めぐりのこう着状態に陥ってしまうのですが、

そこに、

超越の道」による、
破格の論理展開である、

アウフヘーベン止揚揚棄)によって、

対立していた論理的主張が、
新たな次元で、ジンテーゼ統合)されることで、

両者の対立が
発展的に解消され、

議論が、さらに
高次の次元へと引き上げられていくことになるのです。

このように、

ヘーゲルの弁証法における
正反合の論理展開は、

アウフヘーベンという
破格の論理展開によって解き放たれた

弁証法の論理自体が、

無限に自己展開しながら、

らせん階段を駆け上がっていくように、
新しい次元へと引き上げられていき、

どこまでも無限に、そして、ダイナミック
発展していくというイメージになります。

・・・

このシリーズの次回記事:
真理へ至るための3つの道⑧ヘーゲル弁証法と生命の論理の自己展開

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