エアロゾル感染は空気感染と飛沫感染のどちらに近い感染形態なのか?広い意味での空気感染に含まれる中間的な第三の感染形態

前々回の記事で書いたように、エアロゾル感染とは、一言でいうと、

飛沫から分離して直径5マイクロメートル以下の大きさになった空気中に浮遊する水分を含む微細な粒子を介して感染が広がっていく病原体の感染経路のことを意味する言葉として定義することができると考えられることになります。

それでは、結局、

こうしたエアロゾル感染と呼ばれる感染形態のあり方は、空気感染飛沫感染といった呼吸器系のウイルスにおける一般的な感染経路のうちのどちらの方により近い感染形態として位置づけることができると考えられることになるのでしょうか?

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エアロゾル感染を飛沫感染の一種として分類することができない理由

そうすると、まず、こうした空気感染と飛沫感染という二つの感染経路のうち、

後者の飛沫感染とは、咳やくしゃみによって飛び散る直径5マイクロメートル以上の大きさを保った状態にある水分を含んだ体液の粒子によって感染が広がっていく感染形態のことを意味することになりますが、

こうした飛沫感染において感染源となる飛沫の粒子は、上述したように、直径5マイクロメートル以上の大きさの水分を含んだある程度の重量のある重い粒子であるため、

咳やくしゃみの勢いによって2メートルほどの距離までは飛んでいくことはあるものの、そのまま空中にとどまることとはなく、すぐに地面に落ちてしまうことになると考えられ、

こうした飛沫感染における飛沫の粒子エアロゾル感染における微粒子のように一定時間、空気中に浮遊し続けるといったことは基本的にはあり得ないと考えられることになります。

したがって、

飛沫感染と呼ばれる感染形態は、エアロゾル感染における空気中に浮遊する微粒子による感染という定義を満たすことがないという意味において、

こうしたエアロゾル感染と呼ばれる感染形態を飛沫感染の一種として分類することはできないと考えられることになるのです。

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エアロゾル感染は空気感染に含まれることになるのか?

それでは、次に、

こうしたエアロゾル感染と呼ばれる感染形態は、もう一方の感染経路である空気感染の一種として分類することはできるのか?

ということとについてですが、その問いの答えは、半分はYES半分はNOということになると考えられることになります。

詳しくは前回の記事で書いたように、

空気感染の定義については、前述した飛沫感染の定義の場合と異なり、その解釈のあり方に少し多義的あいまいなところがあると考えられ、

狭義においては、飛沫から水分が蒸発して直径5マイクロメートル以下の大きさになった乾燥エアロゾルの一種である飛沫核を介して感染が広がっていく飛沫核感染と呼ばれる感染形態のことを指してこうした空気感染という言葉が用いられると考えられるのに対して、

広義においては、乾燥エアロゾル湿性エアロゾルの両方を含む空気中に浮遊する飛沫から分離した微粒子を介して感染が広がっていくすべての感染経路のことを指してこうした空気感染という言葉が用いられるケースもあると考えられることになります。

そして、

こうした空気中に浮遊する飛沫から分離した微粒子のうち、乾燥エアロゾルにあたる飛沫核ではなく、湿性エアロゾルにあたる水分を含む微粒子を介した感染経路というのは、

まさに、冒頭で述べた飛沫から分離した空気中に浮遊する水分を含む微細な粒子を介した感染形態としてのエアロゾル感染定義を満たすことになると考えられることになるのです。

つまり、そういった意味では、

こうしたエアロゾル感染と呼ばれる感染形態のあり方が空気感染飛沫感染という呼吸器系のウイルスにおける一般的な感染経路のうちのどちらの方に近い感染形態と言えるのか?という問いへの答えは、

エアロゾル感染の定義そのものというよりは、空気感染の定義のあり方に応じて、その位置づけが異なっていくことになると考えられ、

一言でいうと、

こうしたエアロゾル感染と呼ばれる感染形態は、空気中に浮遊する飛沫から分離した微粒子を介して感染が広がっていくという意味において、広い意味では空気感染に含まれることになると考えられることになるものの、

その一方で、

飛沫核感染としての狭い意味における厳密な空気感染の定義に基づくと、それは、空気感染と飛沫感染のどちらにも分類することができない感染形態、

すなわち、

空気感染飛沫感染ちょうど中間に位置する第三の感染形態として位置づけられることになると考えられることになるのです。

次回記事:

前回記事:空気感染の三つの定義の違いとは?飛沫核感染と塵埃感染とエアロゾル感染との関係

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