空気感染の三つの定義の違いとは?飛沫核感染と塵埃感染とエアロゾル感染との関係

呼吸器を介したウイルスや細菌などの病原体の感染経路としては、通常の場合、飛沫感染空気感染と呼ばれる二つの感染経路が挙げられることになりますが、

このうち、後者の空気感染という言葉は、その概念の捉え方の違いに応じて、意味することになる具体的な感染経路の範囲が少しずつ異なっていくことになるという、ある意味では少しあいまいなところがある概念であるとも考えられることになります。

それでは、こうした空気感染と呼ばれる感染経路のあり方については、具体的にどのような定義のパターンが存在すると考えられることになるのでしょうか?

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疫学用語における飛沫核感染としての空気感染の定義

そうすると、まず、

こうした空気感染と呼ばれる感染経路のあり方は、疫学用語として用いられる際には、通常の場合、飛沫核感染同じ意味を表す言葉として扱われることが多いと考えられることになります。

そして、こうした飛沫核感染という用語に用いられている飛沫核(ひまつかく)という言葉は、

一言でいうと、

咳やくしゃみによって飛び散った水分を含んだ体液の粒子にあたる飛沫から水分が蒸発して直径5マイクロメートル以下の大きさになった乾燥エアロゾルのことを意味することになります。

したがって、

こうした疫学用語における飛沫核感染としての空気感染の定義においては、

空気感染とは、飛沫から水分が蒸発して直径5マイクロメートル以下の大きさになった乾燥エアロゾルの一種である飛沫核を介して感染が広がっていく病原体の感染経路として定義されることになると考えられることになるのです。

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空気中を浮遊する飛沫から分離した微粒子を介した感染経路としての広義における空気感染の定義

ところで、

上述した乾燥エアロゾルという用語に用いられているエアロゾルという言葉は、一言でいうと、空気中に分散した状態で浮遊している固体または液体の微粒子のことを意味する言葉として定義されることになりますが、

咳やくしゃみによって飛び散った飛沫から分離することになる微粒子のなかには、飛沫核としての乾燥エアロゾルのほかに、まだ水分が蒸発し切っていない湿性エアロゾルも含まれることになります。

そして、

こうした飛沫から分離した水分を含む微細な粒子としての湿性エアロゾルは、通常の場合、空気中においてすぐに水分が蒸発していくことによって、

上述した乾燥エアロゾルとしての飛沫核の状態へと移行していくことになると考えられるのですが、

その一方で、

気管挿管などの医療行為換気の悪い密室といった特殊な環境においては、こうした飛沫から分離した湿性エアロゾルを介して感染が成立してしまうケースもあると考えられることになります。

そして、

こうした飛沫核としての乾燥エアロゾルも水分が蒸発し切っていない状態にある湿性エアロゾルも、どちらも飛沫から分離した空気中に浮遊する微粒子であるという点において変わりはないので、

そういった意味では、広義においては、

空気感染とは、こうした乾燥エアロゾル湿性エアロゾルの両方を含む空気中に浮遊する飛沫から分離した微粒子を介して感染が広がっていくすべての感染経路のことを意味する言葉として定義することもできると考えられることになるのです。

土壌や排泄物から分離した微粒子を介した塵埃感染を含む空気感染の定義

また、その他にも、

空気中に浮遊する微粒子を介した病原体の感染経路のあり方としては、

病原体に汚染された土壌患者の排泄物などから分離した塵(ちり)埃(ほこり)のような微粒子にあたる塵埃(じんあい)直接吸引してしまうことによって感染が広がっていく塵埃感染と呼ばれる感染経路が挙げられることになりますが、

そういった意味では、

こうした塵埃感染と呼ばれる空気中に浮遊するちりほこりを介した病原体の感染経路も広い意味における空気感染の一種として分類することもできると考えられることになります。

ちなみに、

塵埃感染を引き起こすことがある病原体の種類としては、主に、経口感染による食中毒の原因となることで知られるノロウイルスなども挙げられることになりますが、

そういった意味では、

こうしたノロウイルスなどの消化器を介して感染を広げていくタイプのウイルスについても、塵埃感染としての空気感染を引き起こすウイルスとして分類することもできると考えられることになるのです。

・・・

以上のように、

こうした空気感染という言葉における具体的な定義のあり方について、

一言でまとめると、

①飛沫から水分が蒸発して直径5マイクロメートル以下の大きさになった乾燥エアロゾルの一種である飛沫核を介した感染経路のみを空気感染とする定義

②飛沫から分離した乾燥エアロゾル湿性エアロゾルの両方を含む空気中に浮遊する微粒子を介した感染経路のすべてを空気感染とする定義

③汚染された土壌患者の排泄物から分離したちりほこりなどの微粒子を介した塵埃感染も含めて空気感染とする定義

という全部で三つの空気感染の定義のパターンが挙げられることになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:エアロゾル感染は空気感染と飛沫感染のどちらに近い感染形態なのか?広い意味での空気感染に含まれる中間的な第三の感染形態

前回記事:エアロゾル感染の三つの感染経路のパターンとは?気管挿管などの医療行為と換気の悪い密閉空間とマンションの下水管

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